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アフリカの角、ソマリアについて知っていることと言えば、国連も匙を投げるほど長年内戦状態にあり、海賊が跋扈する国ということだった。
私が認識していた「ソマリア」は、現在大まかに3つに分かれて三国志状態にある。
「誰も知らないラピュタ=平和な民主主義国家」ソマリランド、「海賊国家」プントランド、「戦闘激しいリアル北斗の拳」南部ソマリア。
なぜ単一の言語、単一の文化を持つソマリ人同士が争うのか。
そしてそれぞれが独自に(現時点で自称)国家を作り上げたのか。
かつ、何故その中でもソマリランド(北部ソマリア)は、内戦を止めて平和的民主主義国家を成立させることができたのか。
それはソマリ人社会を語る時に欠かせない、血縁による「氏族」制度故であった。
北部ソマリアはイギリス統治下にあったが間接政治を布かれた為、伝統的氏族制度が独立後も活かされていた。
それに反し首都モガディショを擁する南部はイタリア統治下にあり、植民地時代に1万人ものイタリア人を送り込んで統治し、氏族制度も破壊した。
北部ソマリアでは氏族の長老達が遊牧民の掟に従い話し合いにより過去を清算し、平和的民主主義国家が誕生することとなったが、南部ソマリアはその機能が働かず、現在に至るまで内戦状態が続いている。
この複雑に絡み合った氏族の系統や仕組みは国際的なニュースには決してならない。
著者が、ソマリ人社会に入り込み調べ上げていったおかげで、こうして細部に渡り分かりやすく理解することが出来た。
そして何より驚いたのが、アフリカ イコール ポレポレな先入観を気持ちよく打ち砕く、ソマリ人の「超速性」、そして全てにおいて遊牧民ならではの「契約」が最優先されること。
契約はあくまでも人ひとりの命がラクダ100頭といった「掟」の中できっちりと落とし前をつけて決着出来る非常に論理的なシステムなのである。
ソマリランドが国際社会からスルーされながらも(なんの資源も利権もないお陰で大国の影響を受けることなく)独自に平和的国家を創り上げていることに拍手を送る。
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紀行文かな?縁もゆかりも無い国の民俗や情勢はあまりにもファンタジックで面白いが、たぶんそれ以上でもそれ以下でもない。
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ソマリ人は遊牧民出身故住所を持たず、「○○家○○分家○○分分家のジョー」などと名乗り、個人を特定するという。途中で著者がわかりやすくマーキングをしている。日本で言うなら北条氏とか平氏とか、それはそれで混乱するけれど、なかったらないでもっとわからない。
海賊の件でばかり話題に上がるソマリアだけど、こんな地域(国?)もあったんだ、と知った。著者は産業を作ったらソマリアは安定する、というけれど、武力介入よりはマシだろうけど、もしソマリランドに産業が誘致され豊かになったら、プントランドや他の地域はなんだかんだ言って攻め入ってきたりはしないんだろうか。そういうリスクを背負ってでも現地に行く企業その他事業体はどれだけいるのだろう。でも何かをしないとずっと北斗の拳になってしまう。
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ソマリ文化にここまで作者が食い込んで書かれた本は少ないのではないでしょうか。文体はライトですが、本質的にジャーナリズムな書籍として、高く評価されるべき一冊だと思います。
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いやいや、映画のブラックホークダウンでしかソマリアを知らなかったけど、こんなことになっているとは!高野さんすごい。結局、今一番ヤバい都市は、ヨハネスブルクか?ハラレか?
行ってみないとわからんということですね。
みなさま、相当おすすめの本です。
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高野秀行の渾身の力作であり、500ページもの大著でありながら、飽かずに読ませる。単なる旧ソマリア旅行記ではない。現地の風習に身を置き、様々な人々に話しを聞き、現在どのような社会になっているかを記したルポルタージュである。多くの氏族の関係を、日本の源平や武将の名前を当てて分かり易く説明するなど、正確性だけでなく理解しやすさにも配慮してある。風俗、慣習、近現代史、政治、経済などあらゆる面から現在のソマリ人の国々を見ている。旧ソマリア紙幣など20年前の紙幣を使っているが、その後誰も発行しないのでインフレにならない、など興味深い社会現象がたくさんある。ソマリアは混乱しているとか、海賊が跋扈しているなどの報道は、この労作を読んだ後では、表面しか見ていないことがよく分かる。最後に示される戦乱解消の提案もいい考えと思う。本書を英訳し世界中で販売したら、理解者が増えるのではないだろうか。武将での説明をちょっと変える必要があるだろうけど。
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とても面白かった。色んな人に読んでもらいたい。
リアル北斗の拳とも言われる崩壊国家のソマリア共和国、その中にはなんと平和を維持する民主主義国家である独立国ソマリランド。そんな国が存在し得るのか?と思って読み始めた。そして著者はソマリランドだけでなく、海賊業で成り立っている隣国のプントランド、無政府状態のソマリアをも訪問する。
だが決して重々しいルポタージュではなく、大体向こうの合法ドラッグであるカートなんかを食べながら旅をしているので、戦闘地域のルポでさえもホワッとしている。インタビューも大体ソマリ人とのカート宴会で行っている。けれどもその肩肘の張らないおおらかさが、ソマリ人の様子をリアルに描いてくれているように思う。
そしてニュースでは見えない、ソマリアの実情も分かる。アルジャバーヴのような原理主義が勃興する理由も。外国からは見えない、氏族という関係によって読み解ける紛争だったのだ。そしてソマリランドはその氏族をうまく活用することで、時代と実情に併せて民主主義を発展させており、日本や欧米よりも高度な面さえある。イメージに反して、実はソマリアも含め、とても発展していたり豊かだったりする。
ソマリランドに至っては誰も銃を携帯せず、銀行さえ警備員もおらず金庫に足を置いているレベル。
この本を読むと、世界の紛争は下手に国連が介入しない方がいいのかもしれないとさえ思う。むしろ国連が平和な地域を認めていくことで、その地域に人が訪れ、潤っていき、周りの国が見習う、という循環が起きるのではないか。そのようなモデルケースとして、ソマリランドが国際化社会で正式に認められて欲しい。そして、このようなハイパー民主主義国家の存在が世界に周知され、影響を与えていって欲しい。
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ソマリランド、プントランド、ソマリア、ジブチ、エチオピア、ケニア。
在日ソマリ人も知らないソマリアの実態。
こんなに太い本なのにあっと言う間に読んでしまった。さすがの高野本。
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おもしろかった。
とにかく読みやすいし起承転結も豊富。
最後のエピソードで心温まる。
おまけに国家って何なのか、ということまで考えることができる。
メインは国家についてなんだけど、生きるパワーについても書いてあった。
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しばらく本屋で探したけど無かったから、Amazonで買って届いたらその分厚さにびっくりした。5cmくらい。
帯に「終わりなき内戦が続き、無数の武装勢力や海賊が跋扈する崩壊国家ソマリア」とある。
「ブラックホークダウンで有名になったソマリア」などとあるけれど、あぁなんか、聞いたことあるかも〜程度の知識で。
ただ全く知識が無くても、そういう、内戦が続き、きっと貧しい国の中に、「自らの力で平和を維持している独立国がある」しかもそこに行ってきた!なんて言われたら読むしか無い。
ソマリアは「独立民主国家ソマリランド」と「海賊の拠点プントランド」と「リアル北斗の拳 南部ソマリア」からなるらしい。
一国のなかに国家が3つあるってところからもう理解を超えているのだけど…
ソマリアの歴史について、日本の、源氏とか、平氏とかに例えて説明が続く。
筆者は解りやすく、しかも子細な説明は省けてラッキーと思っているかもしれないけれど、わたしには全く理解不能だった。
その部分はほぼ読み飛ばしてしまった。ごめんなさい。
こういうルポは楽しく読んで、しかも歴史の学べるってのが読む目的のひとつなのだけれど、このいらない例えのおかげで一個★を減らした。
ソマリ人の、せっかちで強引な性格が、なんとも素直で気持ちがいい。幸せでいる為に、あまりにも正直なんだろうな。
生活に入り込んで現地の人の特性をとらえる筆者の冒険の仕方がとても面白い。
もっと無茶してくれたらいいのにと、ちょっと思う(笑)
ソマリランドの実に理にかなった民主政治の成り立ちは、今後ぜひ世界中で取り入れて欲しいすっきりとしたものだけれど、
成熟した国家には受け入れられない、清潔で美しすぎるものだ。
筆者にはぜひ今後もソマリに里帰りして現状を伝えて欲しいし、
最後にあった、らくだの旅も実現して欲しい。
だからたくさん本を買わせていただきます。
がんばって旅をして楽しい本を書いて読ませてください。
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ソマリランドの民主主義は日本よりも制度的に洗練されている。その民主化へのモチベーションは国際社会に認められることにあると指摘し、同時に最も驚異的であることは「紛争」「海賊行為」といったトラブルを主要財源としていない事であるという。
読後、このような人たち(冒険家/ノンフィクションライターとしての筆者)の職能は何か?という疑問を持った。未知の事を調べ、体験し、一般化するというのが彼らの仕事だが、データ化をしないという点が研究者と異なる。
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高野秀行『謎の独立国家ソマリランド』本の雑誌社、読了。世界的に名高い!「破産国家」のソマリア。全土が無政府状態ながら一部はソマリランドとして独立(国連未承認)、以外と安定との事。「リアル北斗の拳」の世界に辺境探検作家が挑んだ。大部の著作ながらぐっと読ませるノンフィクション。
国家承認されている南部は莫大な国際支援とは裏腹に内戦は止まない。対して北部のソマリランドは貧しいものの、武装解除に成功し、世情は安定している。核となるのは、ソマリ社会氏族とその分家の掟だ。トラブルは賠償で清算。相互対面機会の大切を教えられる。
遊牧民社会とは争いとその歴史といってよい。ことあるごとに問題解決に迫られる。対価で成敗するその英知がソマリランドでは有機的に機能しているといってよい。それを内実としての民主主義といってよいだろう。南部とは対称的である。
さて、本書圧巻は、著者の蛮勇に満ちたバイタリティーだ。とても真似できるものではないが、手に汗握るのは間違いない。民主主義の原型を考える示唆になるとともに、定型のニュース報道では「映らない」光景で認識を一新することができる好著。
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冒険作家の高野秀行の新作で、旧ソマリアの現状を取材したルポ。
紛争が続く南部と対照的に、武装解除に成功し、平和な(自称)独立国家ソマリランドとはどんな国なのか?
日本のメディアからほとんど無視され、情報がほとんど入ってこない旧ソマリアの現状を知ることが出来る。
非常に面白い本。
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何気なく書いてあるけど、腕から肉や血と飛び出すとかは、ヒョーっと思った。
そして、湧き上がる古代王国プントの謎。
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ページをめくるごとに驚愕の本だった。
たしかに、ソマリランドが民主主義国家で、国連も国際社会の介入もなしに自発的に武装解除した挙句に、選挙による平和裏の政権交代まで成し遂げただなんて、まったく知らなかった。
ソマリ人がそんなに攻撃的な気質だということも読んで驚きだった。
文化人類学を少し学んだので、氏族社会の構造は理解はできる。だけどそれがここまでリアルに描かれると理屈で学んだことが立体的になるようで嬉しい。
この本の中でも氏族を源平に例えているけど、著者もわかって書いていると思うけど、もし600年ぐらいまえにタイプスリップして当時の日本社会に行けたら、この本に出てくるソマリ人の気質とか、社会の作り方になるかもしれない。
我々がいかに国家というものに囚われているかを浮き彫りにしてくれる。たぶんこの国家は近世的な意味だ。
そして圧巻なのは、日本的にいうと(たぶんヨーロッパ的にいっても)中世的なこの社会が、国家を形成し、近代的な社会サービスまで提供していることだ。
政府は分かる。金と武器があれば、政府は作れるだろう。
民主主義もわかるとしよう。
驚愕なのは社会インフラだ。政府がないのに、インターネットがあり、携帯電話がある。
「完全民営社会」と著者は言う。
「この国には、普通の国家にあるものは全てある。ないのは中央政府だけだ。」
「中央政府が消滅してから、シリングは強く安定した通貨になった(新札が発行されないから)」
たしかに、夜警国家そのものだ。
夜警国家というか、国家ってなんのためにあるんだ?
なかなかうまくまとめられていないが、書ききれない。
ソマリランド、プントランド、ソマリアのことをごっちゃにしてしまっている。さらに、海賊のこともこのレビューでは書いていない。海賊の見積もりは圧巻の一言に尽きる。
レビューがまったくレビューの体をなしていなくて、悪文で申し訳ない。
すごいものを読んだので、整理も消化もできていない。