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紙の本

思わぬ強敵振りを敵方に見る今後の展望

2011/05/12 21:43

1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:DSK - この投稿者のレビュー一覧を見る

物語の構成としては基本的に前巻と同じである。ガブリエラ達白兎騎士団のパートを中盤にでんと据えつつ序盤と終盤は『ガブリエラ戦記』全体としての進行を担っている。言うまでもなく新シリーズは『戦記』なので、今回の戦争、その局面局面を記す必要も当然ある訳で、そのためにどうしても白兎騎士団だけで物語は進められないのである。何が言いたいかというと、前シリーズ以来の白兎騎士団の面々が醸し出す阿吽の呼吸的やり取りの面白さに醍醐味を見出す諸兄には、残念ながら序盤と終盤はイマイチというか、常に何かが足りないようなもどかしさを享受しなければならないということである。

しかしながら、これを良い意味で割り切り、今回の戦争全体を俯瞰すれば本シリーズは面白い。なかなかの策士振りを披露する敵方(アリアンレイ)が、ガブリエラと同様にして同等の奇策で白兎騎士団(ベティス)側に戦局の側面から痛烈な一撃を加える面白さを今回も楽しむことができる。むしろ、ガブリエラとアリアンレイが真正面から対峙する奇策と奇策のぶつかり合いを早く読みたいと思わせるものがあった。

ただし、(これは舞阪作品の常とも言わねばならないが)物語の進行は速くない。今回も前巻と同様の前哨戦その続きの感がある。これを焦らされるなぁと感じるか、未だ姿を現さないヴィネダなどを含めた今後の展望を心待ちにするかで印象も変わってこよう。

それにしても中盤で繰り広げられる白兎騎士団のパートは相変わらずの面白さである。作戦行動が上手く運び過ぎて若干チートな気がしないでもないが、今回はクシューシカの出番が割と多く、この実直で堅気な“漢”が、程良いツッコミ役という幹部としての役回り(?)を少し得たことに何故か僥倖の念を禁じ得ない。ある意味では中間管理職的な悲哀をちょっぴり滲ませる番隊長筆頭様である。

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2011/03/09 00:11

投稿元:ブクログ

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