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創作パターン
2010/05/01 19:54
2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:kumataro - この投稿者のレビュー一覧を見る
ボクの町 乃南アサ(のなみ) 新潮文庫
509ページの長編です。ラストシーンまできて、この作家さんは、「押さえたな」と気づきました。まずは、違う結末がつくられていたなと推察します。あえて、その結末を選択しませんでした。そこが惜(お)しい。本では最後が、主人公交番勤務の巡査(見習い期間中)高木聖大(せいだい)くん、22歳、身長174cm、体重66kgの女好きの話でまとめてあります。最初に作者が書いた結末は、職業人として、収入のためだけに働いているのではない。生きがいという崇高な理想を追求するために働いているという大きな感動を呼ぶものを用意していたことでしょう。それをあえて押さえて、冒頭の導入部で設定した彼の女好きという個性を結末でも出し、最初から最後まで1本の線を引くことを優先したのです。残念です。
同作者の名作「ニサッタ、ニサッタ」の主人公片貝耕平くん24歳がこの物語の主人公である高木聖大くんです。同様に竹田杏奈(あんな)さん20歳が小桜まひるさん24歳です。ダメ男をまんなかに置いて、そばに立派な女子を置く。この構成でいいと思う。このパターンでこれからいくつもお話を書いて欲しい。ワンパターンだとは思いません。以下、読書の経過をたどってみます。
「ボクの町」というタイトルを手にしたときに思ったのは、「炭坑の町」というものでした。なんとなくそう感じたのです。でも読み始めると交番で働く駆け出し巡査の話でした。「ボクの町」と強調するほど、ボクと町が密着していませんでした。その点で作者の力不足があります。最後は無理なこじつけになっています。
取材メモに基づいて、事例が順次列挙されていきます。親子関係の崩れも描かれていきます。人間社会の嫌な面が前面に押し出されていき、高木くんはもう仕事を辞めたいと思うのです。なりたくてなった警察官ではないし、女性が大好きでナンパが得意、ピアスを始めとしたおしゃれ好き、そして喧嘩っぱやい。彼はだんだん、「こちら葛飾区亀有公園前派出所」の両津勘吉さんに似てきます。人間なんて自分のことだけしか考えていないとか、町の人々の「関係ない」という言葉の連発とか、高木くんの怒りがよくわかります。さらに女心はわからない例として、同級生女子たちの言動も可笑(おか)しいくらいによく伝わってきます。「関係ない」という人の言葉に対する対処法として、小桜まひるさん(ニックネームはあひるさん)が言った言葉には感銘しました。
おまわりさん
2018/07/02 00:19
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投稿者:pope - この投稿者のレビュー一覧を見る
ネタばれあり。
新人おまわりさん物語。
ごく普通の今どきの若者が交番勤務で町を愛していくようになる。
読後感の良い話でした。
おもしろい!
2015/08/08 09:37
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投稿者:スナフキン - この投稿者のレビュー一覧を見る
エピソードの非日常感を感じさせない現実的な主人公描写が優秀。バイオリズム?や体調や繁忙状況で、年間読書量が10冊程度~100冊近い年と変わりながらも、結果大量に読み散らかしていても、中々読書後気持ちが良く印象に残る作品は少ないのですが、この作品は人に話したくなるレベルです。
乃南アサさんの本は初めて読みました。
2015/02/05 14:29
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投稿者:cate - この投稿者のレビュー一覧を見る
乃南アサさんの本を初めて読みました。
きっかけはテレビで「いつか陽のあたる場所で」を観て。
最初はそのテレビであったタイトルの本を読もうかと思ったのですが
スピンオフ小説と言う事でとても興味が湧き、こちらにしてみました。
ほのぼのとしていてとても読みやすく面白かったです。
もう一冊「駆けこみ交番」と言うのもあるみたいなので
そちらも機会があれば読もうと思います。