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2巻は征韓論で西郷隆盛と大久保利通が対立する話でした。西郷隆盛が何故征韓論を出したのか、その理由がこの本を読んで初めて分かりました。そして、大久保利通が何故征韓論に反対したのかも分かりました。そして、彼らを取り巻く他の人達もどの様に考え、動いたのか、手に取るように分かるおもしろさです。
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明治革命後、新生政府の確立に奔走する幕末の志士および公家の維新物語。西郷隆盛、木戸孝允、大久保利通、伊藤博文、山県有朋その他もろもろ登場。
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西郷隆盛に明治帝からの遣韓の詔勅がおりた。これを好機と征韓派は勢いづく。副島種臣、板垣退助、桐野利秋ら──征韓派の役者は揃った。あとは廟堂での正式な決定を待つのみである…。しかし、征韓反対派──伊藤博文、大久保利通、(病欠がちで微妙に不参加だけど木戸孝允)らの謀議によって廟堂はなかなか開かれない。伊藤の指示で岩倉具視、三条実美もノラリクラリで誤魔化すばかりだし?待ちに待った会議の日になって岩倉から西郷への手紙!
「悪いんだけどォ、今日の会議、欠席してくんない?」
どうする西郷!内心、岩倉をボコりたい衝動に駆られつつ、活火山と化した西郷は岩倉邸へ抗議に押しかける!!
すんげい面白かったです。伊藤が木戸さんの面倒を甲斐甲斐しく見てやってるのがイイ。「真綿でくるむように」木戸さん(兄貴)を引き立ててあげる伊藤!大久保さんの記述も素敵。「大久保には人間としてのおもしろみは、皆目なかった。…酒でも女でも失敗することがなく、道楽といえば囲碁だけであった。」そんな鉄面皮な大久保さんが大好きです。
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征韓論に燃える西郷と、着実に芽を出しつつある政府の政治対決。
初代内閣総理大臣の伊藤博文の若き時代の活躍も描かれている。
なかなかに難しい内容だ。
政治的な問題と言うのは、いつの時代も難しい。
間に人がいる限り、単純に損得や効率で動くわけではない。
それをどのように、思う方向にかじを取っていくか。
と言う視点を持って読まないと、ただの小説で終わってしまうような気がしてきた。
魅力ある人物描写がいいのだが、それが、気持ちを描いた人間ドラマとしての印象になりそうだ。
ここから得たい結果をもう少しイメージして続きを読みたい。
気がつくと読んでいるあたり、面白いんだろうけどね。
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西郷の渡韓を妨げるべく、伊藤が裏で奔走し、最終的に岩倉や三条により西郷の主張が拒否される。幼い頃からの盟友である大久保と西郷が、これで完全に別れることとなる。
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西郷曰く、国が陵辱されるにおいては、たとえ国も人も斃れるといえども、正道を踏み、義を尽くすのが政府の本務である。ところが、政府の高官たちは平素、金穀や理財のことを議するときだけは英雄豪傑のようだが、いったん血の出る類のことに臨むと頭を一処に集め、ただ目前の平安だけを謀るのみである。戦の一字を恐れ、政府の本務を貶めるようでは、政府は商法支配所であって政府ではない。政府は正道を踏み、国も人も斃れるだけの精神がなければ、外国との交際はうまくゆかない。外国から軽侮され、好親がかえってやぶれる。・・・・・・日本の三権分立の政体をやがて破壊するにいたる「軍人勅諭」を山県有朋は憲法発布に先立って明治15年に実現しているのである。「兵馬の大権は朕が統ぶるところである」「兵馬の大綱は朕みずから之を攪り、肯て臣下に委ぬるべきものではない」とし、軍隊をもって天皇の私兵であるかのごとき印象をあたえしめている。山県がこの勅諭を実現せしめたのは、陸軍大将西郷隆盛の乱がふたたびおこらぬようにというむしろ軍人に対する道徳的説諭を目的としたものであったが、昭和期に入ってこの勅諭が政治化した軍人をして軍閥をつくらしめ、三権のほかに「統帥権」があると主張せしめ、やがて統帥権は内閣をも超越するものであるとして国家そのものを破壊せしめるもとをつくった。
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西郷にとっての征韓論とは、単なる枝葉に過ぎず日本人としての精神論に近いものを唱っているような感じがする。
維新後の日本は、立身出世主義や官僚的な思想に囚われ、かつての士族の精神がやや褪せていた感がある。
それに危惧していた西郷は、例え朝鮮を責めることで列強に責められ日本が荒野となろうとも、日本人としての精神が残ることの方に重きを感じていたのではないか。
2008/02/25
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征韓論を巡る政治的根回しが延々と記載され、その中で、西郷、大久保、木戸らを中心にその周りの人物の詳細説明は挿話される。
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司馬遼太郎に初チャレンジした作品。が、10作もあり読むのに2ヶ月超もかかってしまったww
舞台は戊辰戦争後の明治初期。西郷隆盛を大きな軸として揺れ動く日本政府の動向をあらゆる人物の観点から追っている。よくもここまで調べたなって感心してしまう
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全巻通読後のレビュー。
全10巻という超大作であるが、もともと毎日新聞に連載された小説であるから、多々同じ記述が見られる。
しかしながら、明治維新後の日本の姿を鳥瞰的手法で世界史と関連付けて論じられている点で、日本近現代の始まりを理解する際の基礎理解には最適の入門書であると考える。
島津久光という超保守派の考え方から、維新を支えた革新派の面々の考え方が手に取るように分かる小説である。重要なのは士族の不満、百姓の不満がどのようなものであったか、であるが、それもこの小説では網羅されている。
物語は維新開始直後から、西南戦争(明治10年)を経て翌年の紀尾井坂の変(大久保の死)、さらに川路利良の病没までを描く。
明治維新は天皇の威を借りた王政復古という形でスタートした。それが後に軍の独走いうものを招くが、この時点ではそうせざるを得なかったということも、小説中で書かれている。
後の日本を支えていく山県有朋、伊藤博文、板垣退助、軍人で乃木希典、川村純義などが登場する。
西南戦争は8巻の半ばくらいから始まる。桐野、篠原ら薩摩隼人に担がれた西郷、悲劇のような最後の激闘である。西郷が桐野や篠原といった兵児(へこ)を最も愛し、彼らと生死をともにしたことは、西郷をうかがい知る上で、見逃せない点である。
西南戦争の中身についての描写は一流である。
時間がない方にも、8~10巻は読むことをお勧めしたい。
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世の革命と運営の違い。
・伊藤には、政治家としての哲学性が、西郷や木戸ほどには無かった。…が、哲学性がより薄いぶんだけ、政治というおそるべき権力の戦場における作戦能力が西郷や木戸よりも高かった。(234頁)
・大石(円)の政論の是非はべつとして、かれの政治的進退のあざやかさと政府批判の態度は、日本における野党精神の源流をなす一人かもしれない。(262頁)
・(岩倉)「左様、赤誠は尊い。ところが、赤誠だけでは国も立たず、政府も動かぬ。…赤誠はじつは太政官の倉にも庭にも山積みにするほどあるのじゃ。赤誠がござるというのはキンタマがござるというのと同じで、そんなものを何万個積みあげても、どうにもならぬ」(281頁)
・可能の限界を明示することは大久保の政治感覚のなかでもっとも重要なことであった。(291頁)
・大衆は明晰よりも温情を愛し、…明晰と拒否と正論をやがて悪として見る(292頁)
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1西郷の新政府のなかでだんだん孤立していく姿が痛々しい。しかしながら、日本国の歴史にとってはこのほうが良かったであろう。
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・2/7 早速第二巻に突入する.
・2/15 読了.うーん、なかなか面白い.西郷と大久保の関係がどうだったのかは今まで考えたこともなかった.確かに幕末から西南戦争までの事情はあまり知識としてなかったから、読んでて面白い.
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征韓論に対する人間描写がしつこいほど描かれています。
人間関係も編み目のように複雑に描かれていて、小説全体が脂っこいほど濃厚です。
読むのに時間がかかりました。小説というより論文のようでした。
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大久保利通,伊藤博文,西郷隆盛と言った歴史上の重要人物のやり取りが面白く記載された小説.おもに西郷隆盛に焦点を当てている.