ラスト、どこまでも深い天藍の空の青が、目にしみた
2009/02/01 00:05
8人中、7人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:東の風 - この投稿者のレビュー一覧を見る
新田東中と横手二中との運命の再試合。その開始前の束の間を描いた短篇「マウンドへと」。中学を卒業して高校へと進学した横手の五番打者、ショートの瑞垣俊二(みずがき しゅんじ)を主人公に、幼なじみのスラッガー・門脇秀吾(しゅうご)と瑞垣のその後を、四つのエピソードとともに綴った「白球の彼方」。
後者「白球の彼方」がバツグンに面白かった。天才バッターの秀吾に複雑な思いを抱き、大人が都合のいいように張るレッテルをひどく嫌う瑞垣のこだわり、心の揺れ。それが、ゆるやかに落ちるナックル・ボールのような雰囲気でもって、巧みに描かれていました。
「白球の彼方」は、「バス停で」「新田市営球場」「夜明け前のキッチンで」「桜木の家」の四つの話で構成された中篇です。瑞垣が妹の香夏(かな)と対話するシーンを描いた「夜明け前のキッチンで」を起承転結の転として、終章「桜木の家」へと持っていくストーリー展開が上手いなあ。香夏とある人物との、仄かなロマンスを感じるやり取り。「二度目はないですよ、瑞垣さん」と、ぴしりと放たれた台詞を、なぜか忘れることができない瑞垣の複雑な心境。そうした、いまいち吹っ切れない瑞垣のじわじわした懊悩が、うまく掬い上げられていましたね。
ラスト、「天藍(ティエンラン)」のどこまでも深い空の青が、目にしみたなあ。
バッテリーその後
2022/03/07 20:27
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投稿者:エムチャン - この投稿者のレビュー一覧を見る
てっきり完結かと思っていて、この存在をしらなかったです。短編集なのですが、特に最初のお話が、……。これは、瑞垣の目を通して語られます。新田東中と横手二中……。
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「バッテリー」ではサブキャラだった瑞垣を中心に語られる後日談。巧と豪メインだと、純粋すぎて痛いところがあるんだけど、今回のは硬軟合わさった感じで読みやすい。蛇足という感じはなくてとてもよかった。
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やっと読めた。文庫になるのを待ち望んでました。
あさの作品は大好きですが、読むのに体力を使います。
なんか歯を喰いしばって読んでることが多い。
「バッテリー」の横手二中、瑞垣俊二の目線で語られるあの試合。あの二人。そして彼について。
実はあまり、瑞垣好きじゃなかったです。海音寺のが好きだった(笑)
彼の人を食ったような、人の弱みを衝いて突き崩そうとする所がどうしても気に喰わない。
自分にも覚えのある所だった分、余計に。
でもこれを読んで、苦手ではなくなった。近く感じた。
彼の長年の劣等感、人生観、姿勢に、泣きそうになった。
確かに感じたことがある、考えたことがある。もしかしたら今だって思い続けている。
「天才」の隣で、ずっと彼を支え続けながら正反対の事を渇望し続ける。
「あいつのこと、一番よくわかってるのはお前だろう」
そう言われ続けることの幸せ。辛さ。歯痒さ。
逃げたくて、だから考え得る限り完璧に逃げ果せたと思ったのに。
それでも付きまとう、周囲から渡されるレッテルや枠に、大声で喚き散らして全部壊したくなる瞬間。
きっと誰にだってある。
あさの作品にはいつも、救われる言葉がたくさんある。
逃げたことを責められる人間なんて、きっと本当はどこにもいない。
子どもが子どもであることを、尊ばなくてどうするのだ。
ずっと心のどこかで思っていたことを、力強く肯定してくれる。
大人に分類される年齢になっても、忘れたくないことを思い出させてくれる。
でも、やっぱり私は海音寺のが好きです(笑)
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担当の子に教えてもらって読んでみたバッテリーの続刊。
相変わらず情景の描写が好き…だけでなく。結構ストーリーは少年漫画のはずなんだけど…心象風景の描写もうまいことに今回気づいた。
中学生から高校生の少年たちの変わっていく心。変わるってことはこんなに強さを持つことなんだってことを思い出した。
…なんかテイルズみたいw
若いっていいなって思った一冊。もはやこの思考の時点で老化してるのだろうか?(笑)
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完璧に門脇、瑞垣の話だから、外伝的なものである。
バッテリーのほうとはだいぶ趣向が異なっていると感じた。
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バッテリーのその後、と豪視点の巧に出会ったときの話。
あさのあつこの書かれる少年達は青春の重みがひしひしと伝わってくる。
瑞垣の器用そうに見えて不器用なところをしっとりと書いている。
バッテリーの中盤ほど重くて息苦しくはない分、読み手としては安心して読めた。
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バッテリーの続編です。んもー、感動!!!熱い!!この続編はバッテリーの主人公巧ではなく、瑞垣や豪、青波の話。瑞垣が熱いんです。これはもっと続きが読みたい。あさの先生お願いします!
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本編より面白かったのは、やっぱり結果が見えたからだな。
この先どんなことが起こるんだろうと、ワクワクさせる終わり方でした。
変わっていくもの変わらないものがあるけど、野球はずっと傍にある。
愛おしい小説でした。青春だな。
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ちょっとしんどいなぁ。読むのがしんどかった。
中学生はこんな語彙を使わないんじゃん。
なんか共感ができないんだよねぇ。
今中学生日記を見ても共感できなそうなのと、
根っこは同じだと想う。
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バッテリーの続編。瑞垣俊二の目線を通して語られる、最後の試合―。
門脇秀吾は推薦を蹴って地元に残った。
瑞垣は野球から離れたいのか。
原田と永倉のバッテリーに勝ちたくないのか。
少年期の葛藤を上手く描けていると思います。
あまり、この作品について語ることはないけど、バッテリーと一緒に読むことをお薦めします。
少し時間が経つだけで、忘れてた感覚を取り戻すまで時間がかかるから。
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「バッテリー」シリーズ後日談。ほとんど瑞垣のための物語といってもいいほど、彼が全面にフィーチャーされています。バッテリーは長いシリーズであるがゆえに巻によってムラがあり、好みが結構分かれるのですが、これはなかなか良かったです。作者も瑞垣という人物に愛着があったのではないでしょうか、きちんと彼なりのけじめというか一歩が描かれていて、ストーリーとしての決着がついた形に。ああーでもこれで最後かあ…巧にもう作品として会えないのはやっぱり淋しいです。感慨深いですね。豪が成長していて頼もしいやら先が思いやられるやら。でもこの巻である意味いちばんおいしいのは海音寺かもね!門脇のおばちゃん、横手の監督など新しい非少年キャラもいい味を添えてます。
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新田東中と横手二中の運命の再試合の結末が語られた一冊。高校生になって野球を辞めた瑞垣の視点で物語は語られる・・・。
野球を通じ、力強く成長していく少年たちに、本シリーズで出会えたことに感謝。「ありがとう!」
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2009年の12冊目。あさのあつこさんの「バッテリー」シリーズ、本当の最終作品。でも、中学生がこんなに大人びていねーよ、と突っ込みを入れたい気持ちもありますが、よい作品だと思います。
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新田東中と横手二中。運命の再試合の結末も。
高校生になって野球をやめた瑞垣。巧との対決を決意し、推薦入学を辞退した門脇。野球を通じ日々あえぎながらも力強く変化してゆく少年たちの姿を描いた「ラスト・イニング」他、「空との約束」「陽炎の彼方から」を収録。『バッテリー』を、瑞垣の目を通して語った、彼らのその後の物語。