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司馬遼太郎のデビュー作ともいえる「ペルシャの幻術師」と同時期に、本名・福田定一で華道の雑誌に掲載された連作短篇です。
花にまつわる伝奇、縁起、幻想譚。大活字にもかかわらず一篇わずか10ページほどの小短篇です。
初期に司馬さんが得意とした幻想小説であり、どこか中島敦を思わせる作品群です。
どの作家であれ、初期の作品には幻滅することもあり、余り期待せずに読んだのですが、それがかえって良かったのか、十分に楽しめました。もちろん生硬さは見え隠れしますが、流石は司馬さんと思わせるものがあります。
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司馬遼太郎がまだ福田定一だったころの作品。
華道流派の雑誌に掲載されたものなので、花でテーマが統一されているが、かなり習作っぽい感じ。
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国民的作家“司馬遼太郎”の最初期、本名の「福田定一」の名で華道の機関誌に掲載された、花をモチーフとした幻想譚10編を収録。ほとんどが10㌻前後の短い作品で、古代ギリシア神話のナルキソスのエピソードをはじめ日本、中国、モンゴルの歴史や伝承がベースになっており、どれも20㌻に満たない。後の司馬作品の代表作を愛読する人からすれば物足りなさを感じるかもしれないが、若書きで硬さはあるものの簡潔で歯切れのいい文章は、やはり読みやすい。
収録作中で怪奇幻想味がより濃いのは、農夫が項羽らの最期を幻視する「烏江の月」、『聊斎志異』を著した蒲松齡の自宅の庭に咲いた妖しい花「黒色の牡丹」、元禄期の(今でいう)催眠療法士の逸話「白椿」など。
個人的に司馬作品の有名どころの長編は読んだことがなく、既読は『果心居士の幻術』1冊のためか、かえってすんなりと馴染めたのかもしれない。
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幻想譚。
最初の方は、さまざまな形でよく知られてきた逸話が多いし、書きぶりもエッセイに近い感触で、なんだこんなものかと思っていたが、後半は展開の緩急がいかにも作家という趣になり、最後の一編の疾走感には興奮した。