紙の本
イスラム国の実態
2015/01/26 20:53
6人中、5人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:キック - この投稿者のレビュー一覧を見る
日本人が、イスラム国のテロに巻き込まれましたが、安倍政権批判に無理やり繋げようとする一部の政治家やマスコミ報道には、辟易します。
それにしても、イスラム国は何故全世界を敵に回すのでしょうか?イスラム国の実態を知りたいと思い、手に取った3冊目の関連本ですが、本書が最も分かりやすかったです。特に基本知識〔スンニ派とシーア派の違い(83ページ)やイスラム過激派の説明(148ページ)等々〕をきちんと説明しているのが、良かったです。
本書の構成は、第1章は国家としての概観について、第2章は組織構造や収入源(寄付・強盗・身代金)等について、第3章はイスラム国の異常性について、第4章は広報・宣伝活動について、第5章はイスラム過激派の系譜について、第6章は今後の予想となっています。
結局は、イスラムの名を冠するに値しない「カルト集団」(109ページ)というのが実態のようです。譬えるなら「オウム真理教」と同列ということでしょうか(142ページ)。また、『イスラム国という「国家」の壊滅は、時間の問題であって、それほど本質的な危機ではない』というやや楽観的な結論でした(197ページ)。むしろ、21世紀のアラブ世界にとっての最大の脅威は「イラン」とのことです(200ページ)。
あとがきに、イスラム国の正体が簡潔にまとめられていましたので、引用します。
『アルカイーダ系の過激派でありながらアルカイーダと絶縁までして国家を宣言し、カリフをいただく「イスラム国」。(中略)イスラム国の実態が不明なのは、初めから明確な理念の下にきちっとした組織があって発展してきたというよりも、その場対応式に膨れ上がり発展してできた組織という側面があるからでしょう。インターネットの巧みな利用実態にも、そんな一面がうかがえます(223ページ)』
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270117 ムハンマドの時代を理想として拡大する過激派。オスマン帝国解体からの流れ、近隣諸国の思惑、アラブの春、統治機構、若者の心の隙につけ込む洗脳とテロ、奴隷制。
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ごく普通の解説本。元外交官ということでマスコミや中東研究者とは異なる解説を期待したのだが、そうした要素はあまりない。あと各項ごとの関連性が薄くて、本として統一感がないような気がする。今後も「イスラム国」関連の本が続々出版されるであろう状況を考えると、あえて本書を手に取るメリットはない。ということで、ないない尽くしの本です。強いて良い点を挙げるとすれば、内容は手堅く、トンデモな記述がないという意味で安定感はあると思います。
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日本人ジャーナリスト誘拐・殺害事件を受けて、やはり、「イスラム国(IS)」知ろうと思いました。
いくつか、似たような本が出ている中で、国枝さんのを最初の一冊に選んだ理由はプロフィールです。
<引用>
一橋大学卒業後、外務省入省。
1978年在エジプト日本国大使館一等書記官、
1989年在イラク日本国大使館参事官、
1991年ジュネーブ軍縮会議日本政府代表部公使。
2006年在シリア特命全権大使に就任、2010年退官。
中東に滞在し、イスラム教の人たち関わってきた人ということで、感覚も違うと思いました。
知らなかったこと、たくさんあります。
まず、イスラム教と「イスラム国」とは違うということ。
そして、多くのイスラム教徒は「イスラム国」という名称を拒否しているらしいこと、など。
一回では理解できないことも多いので再読してみようと思います。
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イスラム国の背景、現状、展望、そして筆者の見解がわかりやすく示されていて読みやすかったしとてもいい入門書。
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イスラム国入門として読んでいるが、わかりやすく初めて読む人にはオススメできる一冊。
今後また他のイスラム国関連の本と合わせて読んでみたいと思っている。
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イスラム国による日本人拉致、殺害があり、自分は何もできないけれど今何が起こっているのかを知りたいと思い読みました。イスラム国だけでなく、イスラム教や中東問題、イスラム過激派をわかりやすく解説しています。私の知識不足で難しく感じ、再読が必要と思いますが,それでも以前よりは新聞やテレビのイスラム国関連のニュースも以前より理解出来るようになったように感じます。
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外交官経験者による現地事情をふまえたISISの現状。
なぜこのような状況になっているのか、地域性、歴史、周辺の状況などから明らかにしていく。
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3/3読了。イスラム国を取り巻くイスラム教やアラブ世界の独裁政権や各国の野望など、全てが繋がっているのだね。わかりやすく学ぶことが出来る。
そして恐ろしいのは軍事主義が当たり前のように日常生活の身近な存在となっていること。
世界は広く、そしていろいろなことが深い。
この本を読んだことで自分の日常の悩みなどちっぽけであることに改めて気づいた。
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結局は石油をめぐって欧米がアラブ世界を非イスラム教の論理で翻弄してきた歪みが、イスラム国を生んだということだろうか。
アラブ世界の中にも、覇権のために欧米を使用してきた側面もあるだろう。その結果、金、武器、敵対関係が複雑に絡み合って落とし所が見えてこない。
アラブ世界では欧米の民主主義は通用しない。また、石油消費大国の日本もイスラム国を取り巻く混乱の中にいる。
とにかくイスラムを理解しなければ自分の意見が決まらないことを痛感した。
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イスラム国関連の本 2冊目
書かれている内容は非常に分かりやすかった。
基礎知識としてこの本を一冊読んでおけば、良いと感じた。少し興味を持った人にはこの本をオススメしたい。
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長く中東で外交官として務めた人物による、イスラム国とその地政学的解説も交えた書。
単に「イスラム国」と名乗る過激派だけにとどまらず、それらを生み出した近代史的経緯、イスラムにおける価値観の相違、欧米、周辺各国の思惑と広範にわたりわかりやすく説明されている。
視線はイデオロギーを廃した中立的なものと感じ、おおまかに今起こっている問題を俯瞰できる良書と思う。
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今年1月に出版された本で情報も新しく、ISの組織構造や、過激派の人たちが拠り所にしているとする思想家などが記されている。著者は『報道されない中東の真実』の国枝昌樹元シリア大使。
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アラブ社会に10年住んだ経験から、急速に拡大するイスラム国の組織や資金、首切りの理由、世界中の若者たちを惹き付ける理由、過激派の系譜など、背景を説明する。
戦国時代のメンタリティに、現代の最新技術。
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外務省に入賞し、エジプト日本国大使館一等書記官、イラク日本国大使館参事官、ジュネーブ軍縮会議日本政府代表部公使、シリア特命全権大使などを歴任した著者の書いた本。
イスラム国の本って、政治学者、ジャーナリスト、そこに住んでた人、官僚など、その人の立場によって、視点が変わってくる。
当たり前だけど。