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理解と寛容、本当の知性、本当って何?
チョッと説教くさい部分もあるかな、と感じながらも、
それぞれの物語をエンターテインメント的に楽しみながら、
人類が本当に取るべき姿は?と考えながら読める。
他の動物・生命は、そして不完全な人類に生み出された
純粋な知能、論理の塊は人類に比べて感情を持たない分
劣っているのか、未来の人類はAIに「支配」されているのか。
その認識自体を。
とはいえ理屈として正しいと感じるというだけではなく
物語の持つ力にゆすぶられるのが
人類の感情なのかとも考えながら
一番グッと来たのが379ページの「がんばるぞお、おう」
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マシンが世界に君臨する未来の地球。僕はアイビスと名のる美しい女性アンドロイドに捕えられる。そして彼女は僕に機械や人工知能を題材にした物語を話し始める。
アイビスが語る物語は技術やマシンへの希望があふれているように思います。そしてそれによって救われたり、人工知能との絆を深める人々の姿も、未来の人とマシンはきっと関係を深められる、という希望以上の願いというものがあったのだと思います。
でも一方で人間という存在に対する疑問や矛盾も徐々に語られていきます。第6話に登場する詩音というアンドロイドが抱く人間に対する疑問、そして第7話で語られるアイビス自身の物語は、そうした人間の矛盾をこれでもか、と掘り下げてきます。
それでも僕は、この物語を読み終えて絶望しませんでした。物語の力は人を悪く縛ることはもちろんありますが、それを打ち破る物語の力というものも確かにある、ということをアイビスが6つのフィクションを通して、そして自らの物語を通して、読者である自分にも教えてくれたからだと思います。
人種、宗教、歴史、人間は様々な差異に囚われ、自分の正義を信じ、その結果いろんなものを壊してきました。最近の日本の隣国との関係もそうした差異と異なる正義のぶつかり合いのように思います。
第7話で語られる人間とアンドロイドの歴史の転換点は、そうした負の物語に対するたった一つの回答を示しているように思えてなりませんでした。人間賛歌の物語ではありませんが、人間の物語を創る想像力、物語を信じる力、そうしたものをしっかりと未来への希望につなげて語ってくれた作品でした。
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一番考えさせられたのが知能の高い相手と友情や愛情は芽生えるのかということです
私のことを認知症だと思っている相手と真に仲良くなれるのか
作中では何度も「決して見下してはいない愛している」とアンドロイドは言います、そこに嘘はないでしょう
しかしそんな相手と恋人になれますか
私が思う対等な関係とはお互いに相手のことを軽く馬鹿にしている状態だと思うのです
自分より優れている部分があることを認めつつもある部分では相手のことを低く見ている
そんな関係だからこそ冗談を言い合ったりふざけあったり喧嘩をしたり
小言を言い合ったり出来るのです
それが自分より全てにおいて優っている相手とどんな会話をしますか
そんな関係が世の中にあるとすれば
教祖と信者の関係だけです
しかしアンドロイド達は人間と対等に付き合いたいという
決して上に君臨し人間を導いていく存在にはなろうとしない
そこがまた人間のプライドを傷つける
ここからは
本当に私を認知症だと思っている相手と愛情が芽生えるのか考えてみます
まず自分が本当に認知症の場合これは成立しますそんな夫婦は実際に存在します
もう一つは相手がそう思っていることを知らない場合
知ってしまったらやはりプライドが許さないと思います
皆さんは対等な関係が気づけると思いますか?ぜひ意見を聞かせてください
読後感がモヤモヤするのは作者がそうなることを望んでいるからでしょう
彼はにんげんに絶望しているのです
一般的に見て不幸な出来事なのに作者はハッピーだと思って書いている時私はこんな気持になります
東野圭吾の「秘密」を読み終わった時もこんな気持になりました
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面白かった!
コンセプトアルバムみたいな連作短編集。短編それぞれがロボット、アンドロイドについてとことん描いてて、それらが収束していく様は美しい。愛の物語、おすすめ。
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人間とAIの共存を描いた短編オムニバス作品。読み終えた時、人間はなんて不完全で不安定な生き物なのだろうと感じた。だからこそ深みや面白みもあるのだろうな、とも。人間は基本的にエラーを起こす生き物である事を意識するってかなり衝撃でしたし、新しい価値観を得られました。
この物語には、心穏やかに生きる為の「ヒトのあり方」が書かれているような気がします。
SFものではあるがとても読みやすいのも素敵です。
AIが普及している現代社会、それぞれが身近に本当に起こり得そうな話が多く没入できました。
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SFなのか、これはという思いにかられる作品でした。いや、本当にいい意味で。SFというのは自分のなかでは科学的な根拠に基づいた夢の話というイメージですが、この作品は「心」を描いているように感じました。
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ロボットもの、AIものが好きなので面白かった。
後味もそんなに悪くないし、意外とほっこり系の話が多い。
ただそこはかとなくオタク臭がするのがイヤな人はイヤかも。
ロボット(TAI)の思考や会話はアシモフを彷彿とさせ、イイ。
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いやー、ここ数日、睡眠時間持っていかれました(ノ∀`)
終盤勢いを欠いたようにも思うけど、ぐっとつかみにくる、引力のある作品だったなー。面白かった!
作中に描かれる彼女たちは、正しくないことを選択出来ないが故に人間にはなれない。人ならざるもの、無機質であるべきものに教えられる、人間といういきものの本質。痛烈な批判のようにも、あたたかな慈悲にもとれる、ただの「事実」。その事実を越えたところにある、「真実よりも正しいフィクション」。
SFが苦手ではないなら、充分楽しめる本だと思います(*´ω`*)
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『アイの物語』★★★★
「宇宙をぼくの手の上に」★★
「ときめきの仮想空間」★★★
「ミラーガール」★★
「ブラックホール・ダイバー」★★★
「正義が正義である世界」★★
「詩音が来た日」★★★★
「アイの物語」★★★
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『AIの反乱により荒廃した未来ーー女性型アンドロイド=アイビスは語り部の僕を捕らえ、ロボットにまつわる7つの物語を読み聞かせた。そこに隠された真実を通して、機械と人間の新たな関係を描く、壮大なSF小説』
最初の『宇宙をぼくの手の上に』で、いきなり感涙してしまい、この物語はすごいぞ、と強く確信しました。どの話も好きですが、ラストの『アイの物語』は、まさに未来の可能性を切り拓いた感動作でした。
SFはあまり読み慣れていませんでしたが、個々の物語が完成度が高く、スラスラ読めます。青春小説にも近い雰囲気で、マニアックな説明が多くなかったことも、読みやすい理由だと思います。
物語の力でホントに世界は変わるんだと、強く心に響きました。傑作です
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序盤はなんだか中二臭さを感じてしまい、語られる物語も薄っぺらな印象でチョイスミスかなあと思っていましたが、この本のテーマが明らかになってくると、俄然あらゆることばや物語が意味を持ち始めます。
「心」を持たないアンドロイドの語ることはすべて論理的であり、間違いがない。
論理的であり一切の間違いがないということに対して、人間は冷たいとか無機質とか否定的な感覚を持つけれど、この本の中でアンドロイドによって語られる人間に対する「愛」は、絶対的な真理であり不変の論理に支えられています。アンドロイドの中にそれは絶対に存在しないのにも関わらず。
ベースはSFなんでしょうが、ヒトにとって大切なテーマを回りくどく、でも解りやすく、かつ、自然と自分で熟考してしまうように仕向けられた良い本だと思います。
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(2014.12.04読了)(2013.07.16購入)
副題 Tales of One Thousand and One Nights for Machine and Man
(機械と人間のための千夜一夜物語)
談話室のお勧めの本として何度か登場していたので、読んでみました。
アンドロイドや仮想空間での人工知能についての物語です。
アンドロイドが人間を支配している社会で、アンドロイド支配に反乱を起こそうとしている男を捕まえて、物語を聞かせ、アンドロイドの支配する社会の語り部になってもらおう、という話です。
第1話から第6話までが、誰かがSFとして、書いたものという設定になっており、第7話が、主人公のアンドロイド自身の物語です。
アンドロイド語を楽しめればいいのでしょうが、難解です。
「ブラックホール・ダイバー」「詩音が来た日」がよかったかな。
「すべての人間は、認知症」というのは、同感できる正しい判断だと思う。
【目次】
プロローグ
インターミッション1
第1話 宇宙をぼくの手の上に
インターミッション2
第2話 ときめきの仮想空間
インターミッション3
第3話 ミラーガール
インターミッション4
第4話 ブラックホール・ダイバー
インターミッション5
第5話 正義が正義である世界
インターミッション6
第6話 詩音が来た日
インターミッション7
第7話 アイの物語
インターミッション8
エピローグ
解説 豊﨑由美
●ノンマルス(90頁)
ヘアピン、ブローチ、ブレスレット電話をはずし、シールド・ボックスに入れた。ノンマルスは強力な磁場を用いる。身に着けた金属製品が磁化したり、携帯電話が故障したりする危険があるので、あらかじめはずしておかねばならないのだ。
●小説(116頁)
「ヒトの心は、ヒトの書いた小説を通して、おぼろげに理解できる」
「映画やテレビドラマや演劇はヒトの表面しか映さない。俳優の表情や演技からキャラクターの内面を推測するのは、私たちには難しいことなの。その点、小説はキャラクターの感情がじかに記述されるから、分かりやすい。心がときめくとはどういうことか。なぜ人は英雄的な行為や自滅的な行為に走るのか。何がヒトを笑わせ、何がヒトに勇気を奮い起こさせるのか―表面的な観察からは理解しがたいことを理解できる」
●AI(145頁)
核となるプログラムはエンブリオ(胎児)と呼ばれる。人間の子供と同様に、エンブリオは外部からの情報によって経験と学習を重ね、自らのアルゴリズムを進化させてゆく。最終的には人間のように考えるAIが誕生するはずだ。
●意識(161頁)
「意識というのは体性感覚と密接な関係があるの。ボディを持たないAIは、体性感覚を持てないから、意識も芽生えない。ヒトと似た意識を持つには、ヒトの姿を持ち、ヒトと同じ本能、ヒトと同じ感覚を持っていなくてはならないの」
●在宅電子投票システム(265頁)
二〇年ほど前、国会議員選挙での在宅電子投票システムの採用が、反対多数で見送られたことがある。表向きは「不正工作への対策が完璧ではない」という理由だったが、裏に別の理由があるとも聞いている。投票所に足を運ばなくても投票できるようになると、要介護者の投票率が増加するため、福祉を重視しない候補者に不利になるから、というのだ。
●ミスを犯す(273頁)
人工知能の父であるアラン・チューリングは、1946年にこう言っています。『あるマシンが絶対にミスを犯さないとしたら、そのマシンは知的存在ではない』
●すべてのヒトは認知症(353頁)
「すべてのヒトは認知症なのです」
「ヒトは正しく思考することができません。自分が何をしているのか、何をすべきなのかを、すぐに見失います。事実に反することを事実と思い込みます。他人から間違いを指摘されると攻撃的になります。しばしば被害妄想にも陥ります。これらはすべて認知症の症状です」
●律法(356頁)
『自分がして欲しくないことを隣人にしてはならない。これが律法のすべてであり、他は注釈である』
●楽しい記憶(384頁)
「死んでゆくすべてのヒトに、楽しい記憶をあげたい。死が避けられないのなら、せめて楽しい記憶と共に去ってほしいんです。」
●正しいフィクション(396頁)
「私たちマシンにとって、ある話が真実かどうかはたいした問題じゃないの。大切なのは、それがヒトを傷つけないか、幸せをもたらすかどうかよ。人を惑わせ、憎しみをかきたて、不幸にするのは悪いフィクション。幸せにするのは正しいフィクションよ」
(2014年12月18日・記)
(「BOOK」データベースより)amazon
人類が衰退し、マシンが君臨する未来。食糧を盗んで逃げる途中、僕は美しい女性型アンドロイドと出会う。戦いの末に捕えられた僕に、アイビスと名乗るそのアンドロイドは、ロボットや人工知能を題材にした6つの物語を、毎日読んで聞かせた。アイビスの真意は何か?なぜマシンは地球を支配するのか?彼女が語る7番目の物語に、僕の知らなかった真実は隠されていた―機械とヒトの新たな関係を描く、未来の千夜一夜物語。
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ロボットが人間を管理する時代。なぜそんな事態に陥ったのか?ロボットが語る架空のお話から手懸かりを探り、歴史を辿る不思議な話。
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SFは苦手意識があったけど、この本のお話はどれも読みやすいし、いい感じでまとまってた。
仮想現実の世界の話や宇宙の果ての話など、いろんな世界観の話があって飽きずに読める。
「詩音が来た日」は長いけど、最後は感動できた。こんな世の中になったらいいなって思える。
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面白かったな。
こういうオムニバスが最後に一つにまとまっていくような話は好きではない。しかも一つ一つの短編が最初から別物。フィクションとして語られるのだ。
もともと全く別に書かれた短編を、こういう形でまとめたらしくって、そう見ると驚きだ。
相変わらずアイデアが分かり易くて、オチまですんなり入っていける。
のだが、相変わらず背中がむずむずする山本調を感じるのは何故なんだろう。登場人物が全く生きてなくって、キャラになってるからなのか、毎度考え込む。