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「池波正太郎」の短篇時代小説集『新装版 熊田十兵衛の仇討ち 人情編』を読みました。
時代小説が続いています… 『新装版 夜明けの星』、『新装版 剣客群像』、『江戸の暗黒街 新装版』に続き「池波正太郎」作品です。
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悪名轟く盗賊「熊五郎」に夫を殺された「お延」。
ある日、「お延」は病に苦しむ旅の男を茶店にかくまい、そのまま男と深い仲になってしまう。
ところが、その男の特徴が、逃走中の「熊五郎」とソックリであることがわかり……。
女心の機微を描いた『熊五郎の顔』のほか、『あばた又十郎』 『喧嘩あんま』 『おしろい猫』 『顔』の5編の傑作短編を収録。
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1962年(昭和37年)から1964年(昭和39年)に「双葉社」発行の月刊小説誌『推理ストーリー』に掲載され、1996年(平成8年)に刊行された短篇集です。
■熊五郎の顔
■あばた又十郎
■喧嘩あんま
■おしろい猫
■顔
『熊五郎の顔』は、夫を盗賊の「熊五郎」に殺された「お延」が、夫の死後、深い仲となった男「信太郎」の特徴が、「熊五郎」にそっくりなことを知り、同一人物と思い込んで悩むが… 結局、別人でしたね、まさか双子とは。
『あばた又十郎』は、疱瘡(天然痘)にかかり、酷いあばた面になったことで顔が変わり、敵討ちから逃れられると喜んでいた「堀小平次」だったが、亡くなった浪人から正体を隠すために借りていた「熊川又十郎」というの名前のせいで、仇討ちに遭ってしまう… そして、「堀小平次」の仇討ちのために旅を続ける「津山鉄之助」は、敵が亡くなったことを知らず、「堀小平次」を探し続ける目に。
『喧嘩あんま』は、腕は良いが喧嘩っ早い盲目の按摩師「豊ノ市」を救った、元掏摸の「又蔵」の物語… 異父兄弟の家族愛でしたね。
『おしろい猫』は、生真面目な木綿問屋の若主人「平吉」が、偶然出会った幼なじみの「お長」と再会し、深い仲になり、同じ幼なじみの「栄次郎」に「お長」との別れ話の仲介を頼むが… 遊んだツケは本人に返ってくるんですね、女性は怖いな。
『顔』は、料理屋「鮒屋」で無銭飲食をした浪人「的場小金吾」は、「鮒屋」の主人「半蔵」が八年前に四十両もの大金を強奪した相手だった… 「半蔵」は、「小金吾」の顔を覚えており、脅しにきたと思い込んで、無銭飲食を許すだけでなく、小遣いも渡す、、、
四十両を強奪されてから薄幸な人生を送っていた「小金吾」は、自分は野垂れ死ぬだけと自暴自棄になっていた、そして「半蔵」のことには全く気付いておらず、理由がわからないが小遣いをくれる「鮒屋」へ入り浸る… 「小金吾」のせいで「鮒屋」の経営は傾き、事情を知らない「半蔵」の妻「おしん」は、「小金吾」にいい加減にしてくれと直訴する。
その後「小金吾」は、「半蔵」の命を狙う刺客と偶然出会い、刺客に襲いかかり相討ちとなる… うーん、「半蔵」に翻弄された「小金吾」の人生が哀しい物語でした。
『熊五郎の顔』、『あばた又十郎』、『顔』が印象��残りました。