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もう、タイトル通りだ。
上も下もしたたかといえばしたたかなところはあるが、基本的に力が正義な文明圏。
目先のことしか考えないこの文明が、更に力を持ってきたらどうなるのだろう。
だが一方で、世界中に「貧者」がいるからこそ、我々が生きていける現実があるように思う。
すべての人間が、例えば、みんな先進国的な生活をするとすれば、地球のキャパは完全に破綻するんじゃないか。
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階級差別、癒着、ありえない金銭取り引き。都合が悪いことは隠すが、臭い物には蓋をしない。これを読んでも中国という国体は全く理解できないが、なぜ大国として君臨できているかは何となく分かったような気がする。
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良書。
いわゆる「反中」「嫌中」本ではなく、筆者のフィールドワークに基づき、中国が抱える問題について、丁寧に書かれた本。
中でもやはり、中国独特の戸籍制度の問題がある(「農民工」、「土地制度」など)。
選書版あとがきにあるように、お互い冷静になって外交をしなければ、共有圏をうまく活かせないのではないかと思う。
個人的には、副題にあるように「中国格差社会からの警告」とあるように、制度は違えど、抱えている問題は日本も同じであり、社会的な大きな歪みを抱えている。「農民工」、つまり農業を捨て(地方の疲弊)、都市に出て、低賃金で労働し(格差問題)、…というのは、日本が直面する「地方消滅」の問題と重なって見えた。
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現代中国の格差社会の闇、深いなぁ…。
おいおいそりゃちょっと、と言いたくなるような腐敗っぷりの事例が本書の中には満載です。
中国の格差問題研究としては草分け的な研究者さん(本書をおすすめしてくれた友人談)による、非常にわかりやすく、丁寧に書かれた現代中国の暗い側面。
東京でもしばしば見かけるような、日本に観光に来る中国の方は13億人のごく一部。中国の特に農村部では、日々辛い暮らしに耐えている人々の姿があることを本書で知ることができます。
読み進んでいくと、仮に完全フィクションのマンガだったとしても「そんな悪役キャラ実際には絶対いない!」と突っ込むレベルの予想の斜め上な感じのお役人やお金持ちのみなさまが登場します。
例えば、不衛生な病院で採血されてHIVに感染して支援を求めてきた人たちに「お前らが全員死ねば、問題は解決する」と言い放った自治体のお偉いさん。
彼女とドライブ中に女性をひき逃げした後、ナンバー見られたかもと思って引き返して、負傷した女性を助けるのかと思いきやナイフで刺し殺した大学生(車は親に買ってもらったとか)。
被害者サイドも、目先のお金のために安い価格で手持ちの土地を売ってしまう農民、自分の畑から排水したいと公道を壊しながら掘り進む農民(しかも村のチーム長?的な立場)と、色々と心配な気持ちになります。。
後半には少し希望がある話で、インターネットの発達によって市民が権力を監視するくだりがあり、最後の第7章は今後中国はどうなるのかを考察しています。中国の憲法や制度から紐解いていて、ほぼ素人の私でも非常に理解しやすく感じました。
※中国憲法にも言論の自由の規定ってあるんですね。。
真面目に興味深い本でした。悪平等は良くないと思うけど、ここまでの格差社会は。。
ただ、都市部の住民は農村部の犠牲のもとに暮らしが成り立っていることをあまり認識していない、という調査結果は、もしかすると今、自分も誰かに対する加害者になっているんじゃ?という疑念を思い起こさせます。
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中国における農民を出生地に縛り付ける戸籍問題、土地所有問題。一方で都市に出稼ぎに出る農民工の問題と貧困化し疲弊する大半の農村部の実情。腐敗する行政官庁の役人の実態や教育水準の地域格差や大学などの進学問題など、著者自身による長年のフィールドワークに基づいた現状分析が特徴的な著書。