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これ不謹慎なのかもされないけど、すごく納得できる。過去の価値観の資本主義では成り立たない現代のゆがみが、この本そのものみたい。
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どんでん伏線ポインツについて、髪型とかはまあ良いんですが、セダン型の白い車については後出し感が否めない。しかしそれを差し引いても(例えどんでん返し系でなくても)★5である。ぐいぐい読ませる。
迫りくる自分の老後に、働けるうちにどれだけ貯蓄できるのかという不安が伸し掛かり、捨て捨て生活に磨きがかかっております。
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誰もが避けて通れない老齢介護を題材に取った小説。決して娯楽として面白い作品ではないが、読んで良かった。
色々思うところはたくさんあったし、登場人物それぞれに強い思い入れが入って冷静に読めてないのかも知れない。
感想は…ちょっと書けない。文章にしてしまうのが怖いところが大いにある。
あとがきで近藤史恵さんが書いているように、介護問題とは日本全体の社会問題である反面、極めてプライベートな問題でもあるんだということ、だからこそ感想は文章にできない。
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介護問題を扱ったミステリーです。
つらい描写から後半まで一気、でした。
心に重く残る。身近に感じる年になったという話もある。
クライム(犯罪)とシン(罪)。キリスト教的概念だけど、本作では重要ワード。
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介護問題は個々人によって様々で、いろいろ問題があり、ほんとに大変だと思う。でも、決して忘れてはいけないのは人間としての尊厳をどう扱うかではないか。考えさせられました。
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冒頭の「彼」の章から引き込まれる。彼は何をしたのか?何が目的なのか?
登場人物たちの立場での事件へと向かう経緯も興味深い。
ミステリーであるが、介護の問題や社会格差、善悪などたくさんの課題を投げかけられてしまった。
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現代社会が直面している少子高齢化社会、そして介護問題。果たして「彼」を罪人として裁くことが正義なのだろうか。考えさせられる問題作
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個人的には「絶叫」より衝撃的。犯人のミスリードにはまんまと引っ掛かった。"黙示"された危機を看過し、膿を溜め込む現代社会。<彼>のメスはその膿を背徳的に抉り出す。「絶叫」の綾乃同様、大友は在るべき姿に縛られ苦悩する。佐久間の感じた"厚い壁”もそうだが、社会のシステムが恐ろしい速さで変革する時代、従来の在り方はどこまで通用し意味を成すのだろうか。"お前はどう思うんだ?"と鋭利な刃物を突き付けられたような読後感。<彼>の物語が世界を変えることを願わずにいられない…。
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介護の問題がクローズアップされて、
介護は、美味しいビジネスとされた時期があった。
高齢化、少子化の中で、介護する老人が増大し、
その財政的な裏付けをどうするのか?
が問われている。それから、介護保険制度ができた。
しかし、現実はさらに深刻な事態が存在している。
老人が、健康でなくなり、寝たきりになる。
もしくは、認知症になり、介護している人さえ認識できない。
老人として、生きている意味があるのか。尊厳をどうするのか?
などが蓄積している中で、介護を受けている老人で、
家庭の負担になっていることを見計らって、ニコチン注射で殺人する。
という事件が、まず自分の父親から、そして、毎月のように
四十三人もの人を 殺したとする犯人。
その犯人が、実に巧みに姿を隠し、そして、その殺人を
捕まった時には、自供をする。
老衰による死と薬殺による死が 検視では見分けられない。
それを追求するのが、大友検事。
佐久間という同級生との対比が実に優れている。
佐久間は、営業でトップの成績を収め、
この介護ビジネスの幹部として、登場するが、
介護ビジネスが、傾きかけた時に、顧客リストに基づいて
振り込め詐欺に転身する。実に危うい存在である。
一方で、着々と 老人殺害が進んで行く。
犯人を捕まえた時点で、
犯罪と罪とのあり方、人を殺すことは悪いことですか?
では、検事さん。あなたは、私を死刑にして、殺人犯にならないのですか?
と日本の現実をリアルに、告発するのである。
その巧みさに、驚いた。その中に、深くクリスチャンであることを
染み込ませているのに、物語作りのうまさがある。
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戦後犯罪史に残る凶悪犯に降された死刑判決、何を目的に犯したのか、何が正義で、何が悪なのか、正義を強く信じる検察官の耳の奥に響く痛ましい叫び、悔い改めろ!
介護現場の実情と社会システムがもたらす歪み、誰もが直面する逃れられないテーマを緻密な構成の展開により吸い込まれていきます(^^)
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親の介護における、社会システムの限界について描かれた作品。社会派ミステリーだけれど、体感としてはノンフィクションに近いものを感じた。それでいて、しっかりミステリーとしても成立していて、これがデビュー作とは。。いやー完成度が高い。
葉真中さん作品を読んだのは2作目。いずれも、表面上は理性的で論理的、でも内面から熱いメッセージが噴出している。これは葉真中さんの作風なのですね。やみつきになります。
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"ミステリーとしても秀作でありつつ、哲学的テーマを突き付ける。
殺人が人助けになりえるのか?
死刑制度を含めて、人が人を殺めることを認めるのか?
一気に読み終えてしまった。"
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社会派ミステリー!
しかしながら、ミステリーというよりは、現代社会の深いところ、さらには、善と悪を浮き彫りとする物語。なのでミステリーとして読んではいけない(笑)
日本ミステリー文学賞新人賞受賞作品!
これがデビュー作なんて、凄い!
登場人物達の視点から語られていく構成です。
ストーリとしては、介護問題を軸に、殺人について、犯人<彼>と検事の大友との対峙の物語です。
<彼>は43人の人間を殺害し、死刑判決を受けた人物。
その<彼>は誰なのか?
といったところがミステリー仕立てです。
<彼>は介護老人を処置として殺してきた人物。
その<彼>を徐々に突き止めていくプロセスも面白いです。
そして、いよいよ<彼>の正体が明らかになります。
ここが、うまく想像と外されてしまい、満足(笑)。まさか、その人物が..ってな感じ。
しかし、この物語の本質はそこではありません。
その後、<彼>と大友との対峙です。
ここからネタばれ?含みます
自分自身も介護していた父親を殺したことが、自分も父親も救う事になったことを告白する<彼>
自分が誰かにしてほしかったことを自分自身で実行しただけ。
そして、老人を殺すことで、介護している家族と介護老人もを救う事ができる。それがロストケアと主張する<彼>
実際に家族を殺されて救われたと思う被害者。この矛盾が深い。
殺人は認めても罪としては、認めない<彼>
そんな<彼>に対して
救いの為の殺人を認めるわけにはいかない大友
そんな大友にさらにたたみかける様に
自分の殺人と自分に死刑を求刑しようとしている大友は同じだと主張する<彼>
深く、えぐい...
人を救うべき殺人は、個人は許されないが、司法というシステムでは許されるのか..
クリスチャンの大友を最後まで悩ませるキリストの言葉
「人にしてもらいたいと思うことは何でも、あなたがたも人にしなさい。」
介護、人間の尊厳、殺人と考えさせられる物語でした。
とってもお勧め!!
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衝撃は大きいが、後味は爽やかですらある「絶叫」に比べると、こちらの「ロスト・ケア」はズッシリ重い読後感。ラストが前者の朝焼けに対し、後者は夕日というのが象徴的。叙述トリックは見抜けなかった。
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今まで読んだ本の中でトップクラスに面白く、考えさせられた社会派小説。
社会構造のひずみから、地獄のような日々を送る人々の、一般良識に反する行いや思いは罪なのか。
殺人も経営上の不正も絶対的悪で、それを裁く法は絶対的正義なのか。
平和に見える日本社会が生んだ穴に落ちて地獄を見る人々に、想像力なき良識を振りかざす人、「安全地帯」にいる我々こそ、悔い改めるべきではないのか。
聖書の引用と伏線が最後までよく効いていて、すべての網の目のような連関に戦慄する。
少子高齢化も環境問題も、これから深刻化していくことはあらかじめ分かっている。
「日没まで、もうさほど時間はない。
それは、あらかじめ分かっている。
もうすぐ、夜が来る。」
の終わり方がずっしり来る。