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紙の本
調教系に甘い要素を加味した新境地
2013/01/13 21:08
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:DSK - この投稿者のレビュー一覧を見る
一般的な竹書房ラブロマン文庫のイメージを良い意味で裏切る作風と言わねばなるまい。男と女が想いを絡ませるラヴでロマンな側面はしっかり描かれている。しかし、そこに至るまでの展開にハードな調教を持ってくるアイデアには少々の驚きとともに感服してしまう。王道の甘いテイストを連想させるタイトルは、編集側からすると「してやったり」なミスリードかもしれない。このタイトルで誰が緊縛や放置といった様々な調教プレイが盛り込まれていると思うだろうか。そんな作品である。
メインヒロインは言うまでもなく兄嫁。これに主人公の職場の先輩の妻や、学生時代から知己だった高嶺の花たる美人秘書に何故か女子高生まで出てくる多彩なヒロインが陣取っている。女子高生との繋がりには物語の伏線があり、秘書とのサイドストーリーもある。こうした重層的で巧みな展開の果てに最後は全員が隷属的になっていくのだが、単なる調教とは一線を画した物語の良さと奥深さが本作の肝である。
それぞれの想いや思惑が交錯しながら、時には「仕掛けられた交姦」によって読み手にも軽い寝とられ感を与えながら、それでも最後には「ご主人様」を演じる主人公に秘められた深い愛情を受け止めた兄嫁が心を解放することで救われるまでを緻密に描き切っている。
正直なところ、その大半を占める調教的官能描写は好みではないのだが、最後の最後で実に素敵な結末を迎える逆転の破壊力により、本作の印象そのものが良い方向に傾いた作品だった。
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