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アイドル。10代。真由を香音ちゃん、碧を鞘師さんでイメージして読んでしまった。『スペードの3』とはまた違う。いま現在の女性アイドルが抱えているものが書かれているのかな。朝井さんはアイドルが好きらしいし、とても気を遣って書かれているように感じちゃった。愛子が導いた女性アイドルファンの心理は、私はちょっと違うなぁ…。
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「部活辞めるってよ」「何者」に続きこの作者の本は3冊目。
アイドルモノ。
読みやすい。読みやすいけど文全体が美しくない。
エンターテイメント性が強い。
そして若い作者だからかけるというところを押し出したいのかネット擦れしすぎている。確かにここに現代の若者は書かれていると思うけれど、それだけだと何?と思う。
そしてその現実に引き寄せるために使う例示に創作性がない。もろに「あぁAKBね」と思わせる。
「部活辞めるってよ」でも具体例を出す手法はとっていたが、そこをもう少し捻らないと文章自体が軽くなる気がする。作者らしい良いところなのかもしれないけれど私にとっては残念。
好きなところはオチ。ハッピーなだけじゃなく苦みを混ぜたご都合主義ではない現実に側したオチは好き。
碧と愛子の会話はもっと欲しかった。アイドル業界のことは結構言及したけど、大地の件について精神面はもっとゆっくり書いてほしかった。
長さは適当。
あんまり深く考えるよりエンターテイメント作品と思って読むのがよさそう。
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『ASAYAN』に熱中したつんく♂さん好きの著者が描いたのは、武道館を目指して駆け抜けたアイドルグループの物語。
炎上、白熱、恋愛禁止、卒業・・・確実の今の時代を切り取った1冊でした。
楽しみに購入した朝井さんの新刊です。
AKBをはじめアイドルファン以外の人にもアイドルが随分身近に感じられる時代になりました。
「アイドルはトイレに行かない」なんて言葉がちょっぴり通用しちゃうような偶像としてのアイドルから、今は夢に向かって頑張る等身大の存在としてのアイドルへとアイドル像が変化していく過渡期なのかもしれないですね。
もちろん前者みたいなアイドルを求める人は消えないのだろうけれど、ずっと若くいられないのだから、少女としてだけではなく、人間として愛されることも必要なんでしょうね。
これだけSNSも普及した中で、求められる姿をすべて演出するのには限界もあるでしょうに、それでも真摯に応えようとすればプライベートを犠牲にせずにはいられないはず。頑張っているのに磨り減っていくるりが痛いたしくも切ない。
公私混同禁止は仕事の原則ですが、アイドルのように明確に公私の線引きがしづらいと、しんどくなることもあるでしょうね。
さて、本書もまた物語の大筋とは別にざらっと心に残ることがいくつかありました。
時代を切り取ったこの小説が示す今の時代は、無料でいろいろなものが手に入れられるようになった時代、炎上や膨大な情報をスルーするスキルが磨かれる時代です。受身でいると、周りのものとの距離感が一定になってくるという指摘はまさにそのとおりだと思います。
よく、「本は買って読まないと身にならない」なんて言いますが、やっぱり自分で選び取って入手したものへは思い入れがその分大きくなるし、愛情もまた同様。
ただ流されていると、大事なものが見えなくなっちゃうよ、という警告にも感じます。
選ばなくてもいろいろなものが手に入るけど、自分で選んで、選んだものを正解にしていく生き方をしたいし、愛子のように自分の選択に胸を張って生きられたら素敵ですよね。
恋愛をしちゃいけないことも、大学に行けないことも、「アイドルなんだから」というものの前では理不尽に当然のように扱われて、私はそんなところに違和感を覚えるけれど、アイドルが放つ夢に向かうパワーの大きさには勇気をもらえるし、最後のシーンもとても感動的でした。
私は武道館に行ったことがないけど、「人は、人の幸せが見たいんだって、そう思わせてくれる場所」なんて表現できる場所があるなら、心から行ってみたいものです。
アイドルを消費する人、悩めるアイドルに向けては明確なメッセージを持って、それ以外の人にはこの時代を伝えるエンターテイメントとして楽しめる1冊だったと思います。
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アイドルに憧れたことがないので、ファン心理もアイドルの本音もよくわからず、客観的な視点から読み進めたが、おもしろかった。
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アイドル小説。
アイドルなんて別世界だけど、アイドルの前に普通の女の子であるという葛藤には共感が持てました。
映画化したら面白そう。
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女性アイドルグループの内情をアーティスト視点で描きつつ、プロデューサーの戦略も伝える。純粋に人前で歌って踊るのが大好きな少女が、憧れのアイドルになる。その世界にはグループであるがゆえの規律、順列があり、メンバー個々の意識の差だって当然あって、そこに楽しみも悩みも生じる。「握手券」をセットにしたCD販促商法については、是非云々ではなく実態の中で考えさせられることがある。とはいっても、まあその、次々と転機が訪れるんだけど展開に深みがなく、目標である武道館もぼやけてて感動し損ねちまった。
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アイドルは恋してはいけない?前髪がポイント。グループの人気が徐々に出てきて念願の武道館公演が決まるが、最後は主人公と碧の恋愛スキャンダルが発覚し、武道館はキャンセル。2人はグループ脱退。数年後13期生が武道館で公演をする時に、同窓会的な感じで1期メンバーがステージに上がる。
何度も選択をして、それが正しい選択だったことにするしかない。
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恋愛禁止や握手券、炎上商法や卒業など現代の地下アイドルの現状を描いた作品。アイドルが好きだからこそ、ここまでリアルな作品に仕上がっているのではないだろうか。何もかもを我慢してまでファンに媚びていかないと叩かれてしまう現状。これは昨今の地下アイドルの課題ではなかろうか。アイドルも人間なのだから恋愛くらいはする。それをファンも理解し、アイドル達がのびのびと活動できる日がくればとこの作品を読んで思った。この作品は朝井リョウの新たな一面が垣間見える。
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アイドルとは現代における磔刑だ、とは誰の言葉だったか。
人生ゲームのコマを進める度に「選択」していく。ひとまずのゴールは武道館だ。「卒業」や「恋愛」を選択してフェードアウトする者もいれば、生き残るためのニッチを見つけてそちらへ進む者も。
DeNA創業者、南場智子さんが自著で、「(トップとは)決断したからには、それが正しい選択だったと仕向けるしかない。」と言っていたが、トップ経営者に通ずる選択を迫られるプレッシャーに耐えながら、他人から選択され消費され尽くすことに反旗を翻し、自ら選択していき、正しい選択だったと落とし込むしかないのだ。
苦悶と悦楽は表裏一体、相反する欲望を満たすアイドルとは『下界に舞い降りた異物』。サイリウムの海の中、少女達は自ら処刑台に乗る。誇らしげに可愛らしく。
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ファンに夢を与えるアイドル。偶像である彼女達の、外側から決してうかがい知れない内側を描いた小説。
武道館でのツアーを目指して日々努力を続ける彼女達は様々なことを犠牲にしてゆく。過剰なダイエット、恋愛、学校での友人との楽しい平凡な日々...。にも関わらず世間は彼女達の一挙手一投足に目を光らせ何かあれば容赦ない誹謗中傷を投げつける。
それでも彼女達は偶像であることをやめない。傷ついた心をひた隠して、スルーしていかねばならない。
「きっと、大人になればなるほど、人は怒ることができなくなる。自分の器の形を隠したくなる」
でも、武道館を目指して頑張る自分も、誰かを好きになる自分も、どちらも自分。その両方が両立できなくなったとき、どちらを選べばいいのか
「正しい選択なんてこの世にない。たぶん、正しかった選択、しか、ないんだよ」
最後アイドルを脱退するまでもう少し丁寧に描いてもいいかなと思ったけれど、とても面白かったです
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HKT48兒玉遥推しとして、興味深く読ませてもらいました、ホントにアイドルという仕事も大変ですね。でも、普通では味わえない楽しさも経験できる。
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もうここまでくると
恐ろしい、朝井リョウ!
アイドルの気持ちまで分かってしまうなんて
やはり男の子が書いたのが
分かっていてもすごいリアリティ。
今どきのアイドルグループの子たちの
大変さがシミジミ感じられて
ラストの歌詞で泣けてしまうほど
入り込んだ。
なんかアイドル見る目がちょっと
変わったかも。
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実在のアイドルに起きた事件や商法なども混ぜ混んだアイドル小説。
嫌いな人ほど声を大にし
本当に好きな人は声も出さずにじっと見つめている
ってな描写は確かに。
【図書館・初読・6/4読了】
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消費者にとってアイドルはコンテンツだ。だけどアイドルは人間なのだ。アイドルが物語や空想ではなく、現実に生きる人間であることをだれもが知っている。誰もが知っているからこそ、自分にとっての「理想」と「生身の人間であるアイドル」がピタリと重なることを望むのだと思う。そんな大勢の期待と理想という名の概念のようなものにアイドルがずるずるとハメられていく様を描く。
メッセージありきの作品だと思う。
「人生の選択」「幸せを願い、不幸を願う欲望」「正しさ」...
主人公「愛子」の感情描写は一部を除き、みずみずしくはない。全体的にどこか淡白で無機質な印象だ。
しかし、この作品内での「構図」や「事実」、そしてそこから生まれる「メッセージ」がこの作品の本質だ。だからストーリーも短編でもいいくらいシンプル。
そんな中でも登場人物は丁寧に描かれていて、架空のアイドルユニット・NEXT YOUが実在していると錯覚し、NEXT YOUを観てみたくなる。
映画化にぴったり。実写化希望!
※追記 2016年にドラマ化されるようです!
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普段あまり朝井さんは読まないのだが、以前に読んだ『星やどりの声』がよかったことと、アイドルの話だということに興味を覚えて手に取った。
話の構成の仕方に(自分が)慣れないところがあったものの、比較的読みやすく、感情移入もしやすかった。
きついな、と思った言葉がいくつかあった。
アイドルだけでなく、芸能人って本当にしんどい仕事だなと。
何かあれば、もてはやしたり、蔑んだり。一般人ではなにも言われないことでも、芸能人というだけで酷い扱いを受けたりする。
媚びているように見える子も、必死で食いついているだけなのかもしれない。
朝井さんはASAYANを見ていたそうな。
たしかに、あの番組を思い出す本だった。
これは映画化しそうだなぁ。