シュタゲ好きなら読んでみては?
2015/09/04 10:31
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投稿者:やきとり - この投稿者のレビュー一覧を見る
「過去に限られた文字数のデータを送ることが出来る」というかなり地味な時間SF。数年前に大ヒットしたゲーム「シュタインズ・ゲート」がかなりの設定を流用していた事からも一時話題になっていた本作。
話はスコットランドの古城で暮らすノーベル物理学者チャールズ老が60秒過去へ6文字だけ送る事のできる装置を開発する。孫のマードック達を呼んで実験を繰り返すうちにパラドックスを起こす実験を行う事になるのだが不可解な結果に。矛盾を残す結果に納得の行かない彼らは新たなメンバーを加えて試行錯誤を繰り返すうちにある宇宙モデルに辿り着く。その頃世界ではある重大な危機が迫りつつあり、その事件を回避する為にこの装置を使用するのだが・・・・。
前半はこの世界がどの様な世界なのかを次々と仮説を立てながら検証していき最適な宇宙モデルを組み立てて行く非常に知的好奇心を刺激する展開に。シュタゲは並行宇宙でしたがこちらはある宇宙モデルの変型版を採用しています。そして後半は装置を使っての世界改変へと突入するのですが、様々な危機と主人公の恋の行方が複雑に絡んで結構切ない話に仕上がっております。
ハードSF作家たる者、一度は時間ものに挑戦しなきゃいかんでしょうと言う事で書かれた本書、成る程ホーガンはこう来たかと納得の時間SFです 。
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ハードSFの巨匠、ホーガンが手掛けたタイムマシンもの。タイムマシンといっても荒唐無稽さはなく、本当にある話のように理論的。ゆえにちょっと難解。ホーガン独特のスピード感と展開はスリリング。
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イギリスの片田舎の小さなお城の地下室で完成したタイムマシン。人間をその時代へ運ぶものではなかったが、それは過去へ通信を送ることが出来る装置だった! 通信を送るごとに違う未来が形成される。その結果は……。
ちまッちました感じがかえっていいv
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科学的な知識が乏しいので理論とかが難解だったが、途中にある図解はとても分かりやすく助かった。
時間跳躍ものは周りの人々を不幸にするものが多いような気がするが、これはそうではないのが新鮮だった。
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タイムマシンというよりは、タイムメール?24時間以内の過去と未来にメールを送ることが可能な機械と、関係があるのかないのかわからないたくさんの事件が展開していくお話。
設定に説得力のあるハードSFは、最初の設定部分を乗り越えるのが大変だけど、乗り越えるだけの甲斐のある面白さだよなー。久しぶりにこんなにがっちりしたSF読んだ。ホーガンとか、ハインラインとか、この辺の作家をまとめて読みたい。
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シュレーディンガーの悪魔
すばらしい。ここのところ、映画や書籍でタイムパラドックス関係に触れていたもので、ハードSFの作者がこれをどう描くのか興味があって手にとって見た。
タイムパラドックスについては、アニメを題材にした簡単な解説がある。しかし、ノベライズとなるとこれが難しい。
ノベライズ(小説化)する場合、それが特にSFである場合には、ストーリーの楽しさとタイムパラドックスに関する帳尻あわせが必要になる。このバランスをどの辺に取るかが作者の技量によるところだろう。
「未来からのホットライン」は、まさに熱狂的ファンが多いホーガンがこのバランスに挑戦した作品だろうと思う。私も「星を継ぐもの」以来、ホーガンのファンである。どこがいいかというと簡単である。「あっと驚く結末」であり、「破綻のない帳尻合わせ」である。
こっちのコメントが冗長になる前に今回の感想を書いておこう。まず最初から一気にのめりこんでしまった。いきなりマックスウェルという名前の猫が登場するのである。シュレーディンガーの悪魔が出てきてもおかしくない。このしょっぱなでホーガンの読者に対する挑戦が見て取れた。
(シュレーディンガーについて簡単な解説はこっち)
相変わらずホーガンらしく冗長さは残るし、小説としてのストーリーはきわめて単純。ウィルスや核融合を持ち出してはいるものの、その部分は薄っぺらい。飽くまでテーマはタイムパラドックスである。読者はどんな結末を用意しているのかを楽しみにひたすら読み進めることになる。
後半に入ったところで結末(小説としての結末という意味ではなく帳尻あわせの結末)が読めてくる。その手があったか!と気づくのである。タイムトラベルに関して、私の経験ではこの手法を用いたものはない。
過去を変えることで未来が変わる手法(これはあまりにアニメっぽいが映画で考えると「オーロラの彼方へ」はこの例だろう)、未来はやはり変わらない手法(これが多い)、そして過去を変えることでもうひとつ別の未来ができるという手法(これも多い)でパラドックスを克服しているものがほとんどだろう。
「未来からのホットライン」で使われたのは、これらの手法のいずれでもない。考えようによっては未来は変わるし、変わらないと考えても正しい。登場人物に感情移入する必要はない。これまで誰も気がつかなかった超観察者の手法を用いているのだから。賛否両論あるだろうがこれは傑作である。
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ノーベル物理学賞を受賞しつつも故郷スコットランドで世捨て人のような生活を送るチャールズ・ロス博士は、「60秒過去に6文字のメッセージを送る」時間間通信を可能にするプログラムを開発する。アメリカから駆けつけた数理物理学者の孫・マードックと仲間たちと共に研究を続けるうちに、この研究が持つ大きな意味に気づいていく。一方で、ある事件が世界規模で人類の未来を脅かしつつあり、時間間通信の研究は否応無しに歴史の渦中に飲み込まれていく・・・
ゼラズニイだのブラッドベリだのを続けて読んでいたので、久しぶりにハードSF読んでものすごく爽快感を味わいましたヽ( ´ー`)ノ
「タイム・マシンで過去を改変できるか」という、SF的発想の古典中の古典であるタイム・パラドックス・テーマに、超ポジティヴなハードSFの泰斗・ホーガンが真正面から挑んだ長編。この手のワン・アイディア・ストーリーって、普通は短編で充分というか、瞬発力勝負なんですよね。長編だと先が読めちゃってダレるんですよ。そこを敢えて長編で勝負するホーガン、いろんな意味でさすがです(笑)
この作品におけるホーガンの工夫は、誰がどう描写しても嘘クサくなる「タイム・マシン」を登場させず、「時間間通信」をメインのガジェットに据えてタイム・パラドックスを描いたこと。当時はありそうでなかったんじゃないでしょうか。物語後半が加速的に政治色が強まるところが実にホーガン的ではありますヽ( ´ー`)ノ人物造形が思いっきりステロタイプなところもホーガン的ではありますヽ( ´ー`)ノが、二転三転するストーリーのドキドキ感といい、余韻に残るハッピーエンドといい、実に「SF映え」する作品ですね。佳作だと思います。
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タイトルどおり未来から過去への干渉を描いた時間物。
過去への干渉を目的としない純粋な(空想)科学的実験の
繰り返しと、その中で生まれる恋愛ドラマ・・・と思いきや
一つの絶望的な状況の打破のため
これまでの素敵な世界を再構築して、無かったことにしてしまう
道を選んだにもかかわらず、並行で進んでいるもう一つの問題
悲劇的な世界、二つの致命的な問題を、どう解決するのか、
という二段(三段?)構えでドキドキワクワクの世界。
しかし素人・文系には科学的・理系に見える
小難しそうな理論でかためられた時間跳躍も
物語を進めるための小道具に思えてしまうのが残念。
一回目にメロドラマ風からチョッとドライに展開しつつ
最終的に暖かい希望を見つけられるラストはいいかも。
活躍はしないけど、キーポイントであるのが猫なんで☆は甘め
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まずタイトルでどんな話か分かるのが秀逸。まさにその通り、一日だけ過去へメッセージを送ることができる機械を中心に展開される物語です。
タイムパラドックスの解決方法が面白いのでそういう思考実験が好きな人におすすめ。
猫が展開上のキーポイントになるのも良いですね。
あとはいつものホーガンというか、きわめてユートピア的な世界観。最先端の科学技術に対してあくまでポジティブな見方をしているのが特徴です。核によるクリーンなエネルギーが供給され、飢餓問題解決、だけど冷戦は解決していない…など、現代からすると苦笑いなのですが、80年代ならしょうがないね!
ホーガンの小説には健全な人や健全な要素しか出てこないから個人的にはちょっと物足りないです。反動でむしょうにクトゥルー神話が読みたくなりました。
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イギリスの片田舎で作られたタイムマシン。過去一日まで遡りメッセージが送ることができるが、未来から届いたメッセージを過去に送らなくともメッセージに変化はない。
タイムマシン物の付き物たるパラドックスに対し、序盤ではかなり濃密な考察が展開されてこれだけでも満足感は十分。タイムマシン自体が厄介ごとを引き起こすのではなく、あくまでタイムマシンで厄介ごとを解決するという展開も非常に好き。ホーガン的な前向きなSF。
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【読了レビュー】大御所の著した時間SF。静かなる感動を呼び起こされ、鳥肌が立った。
作中で述べられている「時間」についての概念は、今ではもう使い古されているものであるにもかかわらず、作品としての纏め方が綺麗で、やられました。
今この瞬間に見ている世界も、消えていった時間線に懸命に生きた人々の、描かれなかった数え切れないストーリーを犠牲にして成り立っているという。
こういう美観で世界を見るの、好きです。
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物語は過去に情報を送る事ができるタイムマシンを軸に展開されていく。
タイムマシンでの実験を繰り返しながら宇宙の在り方についての推論を進めていく過程は少々難解だったが 作中でのマシンの実験は実に興味深い。
60秒後の未来から送られてきた情報を得て、敢えて彼等は60秒後に何もしないという選択をする。
当然そうすると 送信したのはだれか?という矛盾タイムパラドックスが発生するが、彼等は敢えて問題を棚上げにして様々な実験を繰り返します。
その結果、歴史改変は可能であると知りそれに宇宙はパラレルワールドではないことを突き止めます。
歴史改変が行われた瞬間に、それまでの未来は塗り替えられ新たな未来として更新されてしまう。作中では時間線の再構築と呼ばれてましたが。
まさになかったことになるというわけです。今作ではそこが辛いところ……。
作中で起こるノストラダムス級のカオス事件はマシンのお陰で未然に防ぐことに成功しますがその代償が何とも切ない。
マードックとアンのラブストーリーが世界中で起こり得るであろう悲劇の縮図であり、歴史改変によって何度も強制的な別れを強いられる二人の心境は涙腺を緩ませました。
再構築された世界は以前の世界と然程変化は無い様に思えるが、その僅かな変化がもたらす影響が凄まじい。
映画バタフライエフェクトを見たことがある方はそれを思い浮かべてみればわかると思います。
バタフライ効果よろしく、なかった事になるという事実は時間を遡るほど世界の人々に深刻な影響を与えていく。更に人々はそれに気づくことさえ無い。
歴史改変とは極めて罪深いものであり、バックトゥーザフィーチャー3のドクの判断も納得がいく心境です。
SF最高!!
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ノーベル賞受賞の物理学者チャールズ・ロスは、スコットランドの寒村にたたずむ古城でタイムマシンを開発する。それは、60秒過去の自分に6文字までメッセージを送るプログラムであった。チャールズは自身の孫・マードックらとともにタイムマシンの実験を続けるなかで、「未来から届いたメッセージを60秒経っても送信しない」という選択をする。しかし、60秒前に届いたメッセージは依然手元にあるまま。いったい、これはどういうことか…
本書は、「星を継ぐもの」で有名なハードSFの巨星が描く時間SFです。序盤は、タイムマシンの存在そのものが提起する難題(タイムパラドックスとか)を説明するため、ページの大部分が仮説の検証に費やされます。実際のところ、この時間に関する考察がとても刺激的でした。
一方、中盤以降は実際にタイムマシンを活用し、世界を破滅へ導く大問題を未然に防ごうとします。ここでいきなりドラマチックな展開になるんですね。なお、ここではタイムマシンを使用するうえでの倫理的課題について少々の指摘はあるものの、タイムマシン自体については、基本的にポジティブに描かれます。物語の進行からすれば、確かにポジティブに描かれるのが正しいのでしょうが、予定調和のようなポジティブな展開にどこか違和感。
とはいえ、序盤の時間に関する問題提起ときれいなオチのつけ方に総じて楽しめた作品でした。
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ーーーアメリカ西海岸で技術コンサルタント事務所を開いているマードック・ロスは、スコットランドの古城に住む引退した物理学者の祖父に招かれ、友人のリーとともにイギリスへ向かった。 祖父が政府の助けもなく、独力でタイム・マシンを完成させたというのだ。
『星を継ぐもの』シリーズ以来のJ•P•ホーガン
よく言えば外さない、悪く言えばありきたりのタイムマシンとそれに伴うパラドックスにまつわる物語
他の書評を見る限り、「シュタインズゲート」はこの小説にインスパイアされて生まれた作品みたいやね。
前に読んだシリーズでもそうやったけど、破綻の無い理論構成はグイグイ引き込まれる。
ただ、ひとつの欠点として、取っつきにくいというか理解するまでに時間がかかる。
ただ、絶妙なところで図解が用意されていくので置いていかれることは無いと思う。
この物語の面白さは指数関数的に上がっていき、素晴らしい余韻を残したエンディングへ収束するので、今まで踏み込んだことのない領域までイメージを広げて楽しんでもらいたい。
「人類の全歴史を通じて、きょうの子供たちはきのう魔法だったものをふしぎとも思わず、あくびをしながら眺めているーーそういうことがつづいてきたのです」
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SFって面白いと、素直に思える作品。時間不可逆を翻す理論と、実験による検証。
過去にメッセージを送るマシンの存在と、過去にメッセージを送ることで、変わる世界、では現在はどうなるのかというパラドックス。
丁寧に論理は展開され、どんどん引き込まれるが、前半は物理わからないとどっちきにくいかも。