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第一次世界大戦から学ぶべき教訓の一つは、同盟によって国々が戦争に引きずり込まれたという部分が印象的だった。
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佐藤優と池上彰の「新・戦争論」の発売が2014.11で、その1ケ月後の2014.12にこの本が発売されている。
当然テーマとしては重複しているものが多いが、内容は前者もなかなか面白かったが、本書の方がさらに面白い。
これは池上彰と手嶋龍一という対談相手の違いから来るのは当然だが、佐藤優は相手の議論の深さに合わせて、発言内容の深さを変えている。
つまり池上彰よりは、手嶋龍一の方が掘り下げ方が深く、それに相応して佐藤優がより切り込んだ意見を出している。
幾つかのポイントを見ると、
【ウクライナ】
・G7がロシアとの着地点を見出すことは、安易な妥協だとして批判があるだろうが、モスクワを北京・テヘラン枢軸側へ追いやって良いのか。プーチンはウクライナをNATOに渡す事は容認しない。(佐藤)
・第2次大戦で、赤軍がドイツを占領するや、真っ先に探したのがロケットの開発技術者です。その研究・開発・生産の拠点となったのがウクライナ。しかもその拠点は、親ロシア派とウクライナ軍が戦闘を繰り広げている東部と南部に集中している。(手嶋)
・元外務官僚の宮家邦彦氏が「米国の知らないところで、将来独露間にクリミア併合を黙認しウクライナを緩衝国家とする密約が結ばれる可能性はないだろうか・・・戦前の独ソ不可侵条約と同じことが再び起こらないとも限らない」と産経新聞に書いているが、これはヨーロッパの然るべき筋が安倍氏に近い宮家氏に伝えた「内緒話」だったと思います。(佐藤)
・・・・この話を読んでアメリカのNSAがドイツのメルケル首相の電話盗聴をしていた事に合点がいきました。
【イスラム国】
・アメリカに限らず、政治指導者のもとには政治決断の選択肢が下から上がってきます。
この場合もきっと①空爆の敢行、②軍事顧問団の派遣、③一切の軍事的関与を見送る。凡庸な指導者ほど②を選ぶ。オバマは②を選択し、その後に①にシフト。オバマはぶれている。(佐藤)
・政治指導者が避けなければならない最たるもの、それが戦力の逐次投入です。ベトナム戦争の泥沼も、最初は軍事顧問団の逐次投入から始まった。(手嶋)
・そうして中途半端なオバマの関与が、反米的なテロ集団である「イスラム国」のイラク浸透を助ける結果になった。「イスラム国」を無力化するためには米軍が地上戦に踏み切る必要があります。しかしオバマにその腹はない。事態が悪化すれば、いよいよオバマは「毒饅頭」に手を伸ばさざるをえないんです。つまり仇敵イランとの連携。(佐藤)
・アメリカの「力の不行使」は「超大国の終わり」の始まりです。そしてアメリカが日本の同盟国である以上、中東情勢を混迷に陥れるだけでなく、東アジアの安全保障にも影を落すことになる。(手嶋)
・アメリカがイランに助けを求め、その結果イランの核開発禁止の手を緩めれば、サウジアラビアをアメリカから離反させる。イランが核を保有する事態になれば、インテリジェンス業界では誰もが存在を疑わない「(パキスタンの核をサウジに持ち込む)パキスタン・サウジアラビア秘密協定」がいよいよ発動される。(佐藤)
・イスラエルも黙っていない(手嶋)
【その他】
キシンジャーの著書「外交」の話が「尖閣を防衛したがらないオバマ」に繋がる事や、番外編で、「外務省から休職を命じられた時にロシア、イスラエル、韓国等の『その筋』」からうちで働かないか」と誘いを受けた事を手嶋が佐藤から聞き出す・・・等々次々と面白い話題が出て来ます。
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2014/12/23 Amazonより届く。
2015/2/1〜2/6
当代きってのインテリジェンスの巨匠2人の対談本。先日、池上彰氏と佐藤氏の対談本も読んだが、こちらのペアの方が話が噛み合っていて、面白い。しかし、この外交問題が山積している昨今、日本はどこへ向かうのか。政府に有能な人材はいるのか、とても心配になる。
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このお二人の対談集を読むようになってから、BS海外ニュースなど、以前は見ていても何も感じなかったのに、今は色々考えます。基礎思考能力が低い私でも、脳味噌にかなり刺激を受けたように思います。読んで満足、ではなく、読み終わった後で自然と考える、そうさせてくれる一冊です。
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アメリカの宗教 3つ
監督性制 カトリック
長老制
会衆制度 教会が自治運営 同志社やアマハースト イスラムもこれ
政治指導者が避けなければいけない最たるもの、それが戦力の逐次投入
オバマ シリアの化学兵器使用 レッド・ライトしたが、レッドラインを超えてもなにもせず オバマの不決断が中東に出口のない混迷を作り出した
今進行しているのは、アメリカの退潮、中国の拡大、アラブの退潮、ペルシャの拡大
オバマと関係がよい首脳はいない
オバマは自らがもつ価値観が自己肥大化し、過剰になってしまった政治家の典型
マニュエルトッド アメリカの民主主義というのは、ピューリタンたちが持ち込んだ思想 ピューリタンは選ばし人間たちには平等を保証、その外側にいるひとには無関心
外交敗戦 新潮文庫
将軍は常に昨日の戦争を戦う 過去に参加した戦いの体験を抜け出せないまま、目の前の戦争を戦ってしまう
剣豪小説 五味康祐
第一次世界大戦は各国が同盟条約を破ったからではなく、各国が同盟条約を忠実に守ったために始まった
東ガリツィア ウクライナ領 中心都市 リビィウ
西ガリツィア ポーランド領 中止都市 クラコフ
ノモンハン問題 日活映画 戦争と人間
メルケル首相 東ドイツの牧師の娘 東ドイツのエリート教育を受けている ロシア語も堪能 ロシア人の発想法、行動様式、ウクライナ観、ウクライナ人の価値観もわかっている
第一次大戦の教訓 中立政策は必ずしも国家の安全を保証しない ベルギーの例
インテリジェンス 積極諜報、防諜、プロパガンダ
石光真清
国家のインテリジェンスに関わるものが大切にすべきは愛国心
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手嶋氏と佐藤氏によるインテリジェンス対談第三弾。ウクライナ問題、イスラム国、集団自衛権等世界、日本の最新情勢の真相が分かり易く解き明かされている。
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日ごろのニュースで、点と点でしか理解していなかった政治事象を線で結ぶ解説をしてくれる本です。またその線の結び方も素人では気づかない歴史的背景を持った洞察であり、非常に内容が深いと思いました。私もこのくらいの洞察力を付けたいと思いながらも、まだそこまでの情報がなく、勉強の必要を感じました
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諜報員は金を出してくれる親分に忠誠を尽くす、これが鉄則。
力の本質は存外に単純。どの国の暴力集団でも、親分はいざっているときにはやるという構えを見せて、組織にも睨みを聞かせている。インテリジェンスは年季だから、今の日本の新聞のべた記事も捨てたものではない。
国際政局で重要なのは、自分がどう考えているかではない、自分がどう見られているか。
インテリジェンスの神髄は型破り・
歴史の中に分け入り、歴史から学ぶこと。
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いつもの通り、重複は多いけど、第四弾ということもあり、より噛み合ってる感じはある。ウクライナ、イスラム国、集団的自衛権など。
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佐藤優さんと手嶋龍一さんの“世界を読み解く対談集”、第3弾。
相変わらずに2匹の獣がじゃれ合うかのような面白さです。
題材は、ウクライナ、イスラム国、東アジア、集団的自衛権、
そしてまっとうな意味での“愛国心”、な感じで。
興味深かったのは、いわゆる“公開情報”を分析するだけで、
国家が生き抜くための“インテリジェンス”を抽出できるとの点。
そして、右派にも左派にもそれぞれに批判を加えながら、
見失ってはいけないのは愛国心であろうとは、なるほどと。
いずれにせよ、ブレない“軸”を作っていかないとなぁ、と。
ん、「イスラム国」の傍若無人さから始まった今年、
この1年を生き抜くためのヒントがちりばめられているのかな、なんて。
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☆2(付箋9枚/P268→割合3.36%)
・手嶋 彼の経歴を見ると、親欧米派のユシチェンコ政権時代の2005年、半年だけ保安庁長官をやっている。保安庁こそウクライナのインテリジェンス機関の中枢です。
佐藤 ええ、要するにウクライナの秘密警察なのです。従来は旧KGB系のメンバーが主要なポストを占めていました。ところが、トゥルチノフ長官が彼らを全部追い出して、アメリカのCIAと連携を強化すべく、保安庁人事を刷新してしまいました。いわば彼は、現在のウクライナ・インテリジェンスの「中興の祖」。ですから彼はいまでもCIAやイギリスのSISとは関係がいい。こうしたネットワークを背景にしているだけにウクライナではキー・プレイヤーです。
手嶋 ということは、過去はともかく、いまのウクライナの秘密警察は、旧ソ連のKGBとは切れているとみていいんですね。
佐藤 ええ、それに対してモンゴルも含めて中央アジアの秘密警察はみな、今なお旧KGB人脈とつながっている。完全に切れているのはウクライナとバルト三国だけでしょう。
・佐藤 アメリカのNSA(国家安全保障局)がドイツのメルケル首相の携帯電話を盗聴していた―ロシアに亡命したエドワード・スノーデン氏が2013年にこの事実を暴露したことで、ワシントンとベルリンの間柄は随分とギクシャクしました。それが何とか片付いたと思いきや、今度はCIAがドイツの公務員を買収し、国会議員の政治活動の機密を探り、ドイツ軍の戦略情報まで入手していたことが発覚しました。それでCIAのベルリン支局長が国外追放になったのです。ここで注目すべきは、この件でアメリカ人が誰も逮捕されていないことです。ということは、外交特権で守られ、逮捕されない立場の者―つまり大使館員の身分を持つ人間が工作活動に携わっていたんです。
・手嶋 今でも冷戦当時と同じように、「西側陣営」という表現が使われ、アメリカを盟主にイギリス、フランス、イスラエル、そしてドイツや日本がそこに含まれます。とはいえ、インテリジェンス・コミュニティとして「西側陣営」をくくると、それは正確さを欠きます。アメリカとイギリス連邦諸国は、電波・通信の共同傍受を通じて固い絆で結ばれています。対して、ドイツと日本は傍受の基地は提供していますが、その成果の分け前には与っていません。
・佐藤 プーチン大統領は、ドイツのメルケル政権がEU側の制裁強化には難色を示すはずと読んでいた節がうかがえました。
手嶋 ところがメルケル首相はEU加盟国との連携を優先する決断を下してしまった。確かにドイツは、国内で消費する天然ガスの35%をロシアからの輸入に頼っています。しかもドイツ企業はロシアに様々なかたちでビジネスの出先を築き上げており、その投資額はなんと200億ユーロ、三兆円に達しようとしています。1990年代半ばにドイツに特派員として在勤していた私の実感からすれば、現実の独ロ関係は、こうした数字を超えて、切っても切れない絆で結ばれているように思います。
・手嶋 2013年に入ると、終戦前後に北朝鮮地域で死亡した日本人の遺骨収集に関する短信が地方紙を中心に報じられるようになりました。個々の遺骨収集団の北朝鮮訪問は、全国紙��大きく報じるほどニュースバリューはありません。でも、ああ、平壌から関係改善のシグナルが出始めたなと、佐藤さんと分析し、原稿に書いたり、コメントしたりしましたね。2014年5月に発表された「日朝合意」の文書にも、日本人の遺骨収集が盛り込まれていた。われわれの読み筋は間違っていなかったわけですね。
佐藤 実は北朝鮮と日本のように国交がない国同士の外交では、「遺骨」というのは関係改善の明らかなシグナルになるんです。
・佐藤 「情報戦」で重要なポイントは、誰かが事前に重要情報をリークする場合、「こんないいことがあるぞ、こんなことができそうだ」と期待を押し上げる内容であれば、それは成果を潰そうとする操作だとみていい。逆に「これもできない、あれも無理そうだ」と期待を下げるような内容であれば、交渉の成果を引き立たせる操作です。
・佐藤 「将軍は常に昨日の戦争を戦う」という言葉があります。過去に参加した戦いの体験から抜け出せないまま、目の前の戦争を戦ってしまうことを戒めた箴言です。
・手嶋 この名著(外交 上・下)のなかでキッシンジャーは、第一次世界大戦の本質に真っ向から挑み、多角的な分析を試みています。とりわけ、この人の慧眼が光っているのは同盟についての考察です。「第一次世界大戦は各国が同盟条約を破ったからではなく、各国が同盟条約を忠実に守ったために始まったのである」と喝破しています。
・佐藤 じつは、ここで初めて明かすのですが、2002年に私が東京地検特捜部に逮捕され、外務省から休職を命じられていたとき、ロシアやイスラエル、それに韓国などいくつもの国のそ「その筋の人」たちから、「うちで働かないか」とリクルートを受けたんですよ。
手嶋 インテリジェンス・オフィサーとしての誘いだったわけですね。この場合は、ありていに言って、スパイにならないかと誘われたのですね。
佐藤 ええ。驚いたことに、どの国も提示してきた金額がほぼ同じだったんです。
手嶋 インテリジェンスの時価が果たしてどのくらいのものかを知るために、ぜひ具体的な金額を教えてくれますか。
佐藤 うーん、まあ、いいでしょう。家族にも明かしたことがないのですが、年収と経費を含めてしめて5000万円でどうか、というオファーです。じつは、外務省時代も、年収が1000万円、使っていた経費が3000万から4000万円でしたから、要するにこのくらいの金額が、私の「適正価格」だったわけですね。それで三年間ぐらい使ってみて、役に立たなければ用済みにするということでしょう
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#読書開始
・2015/5/19
#読了日
・2015//
#経緯
・尊敬する上司が同僚に勧めていたため。
#達成、満足
・
#感想
・
#オススメ
・対象者(年齢、性別、業界)
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インテリジェンスに必要な事は、愛国心だというのが佐藤優の意見だ。ハッとさせられる。以前読んだ藤原正彦の、論理は情緒を起点に展開するという文脈を思い出す。大事な事だ。論理にしても、技法にしても、それを振るうのは、自らの理念だ。その理念を形成するのが人格、好き嫌い、つまり、愛国心が重要だ。これは企業人にも通ずる考え方であり、意思決定の依拠する理念が、愛社精神に無く、個人利害の場合、あるいは、背任行為を助長しかねない。または、他社を愛するならば、決断は変わるだろう。揺らいではいけない部分。それこそが愛国心なのだろう。
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この対談シリーズも3冊目。
今回は、ウクライナ、イスラム国、東アジア(北朝鮮、中国等)関連、集団自衛権、反知性主義のレジスタンスの全5章。
対談という形が読みやすく、二人の経歴からインテリジェンスとして読み解くことの楽しさが伝わる本だった。
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外交に詳しい二人がインテリジェンスについて対談。ウクライナ問題・イスラム国など様々な事象について議論を展開。気になったのは集団的自衛権について。なぜ安倍政権がこれを押し切ったのかというと1.岸信介が経験した50年前の日米安保条約のトラウマ 2.外務省が経験した25年前の湾岸戦争のトラウマ があるからだと説く。物事が生じるウラには何らかの原因があり、そこには過去の歴史が反映されていることを考えさせられる書籍。