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最後のヘンリー2世を見てたら時代劇を連想しました
2017/05/20 21:53
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投稿者:J・P・フリーマン - この投稿者のレビュー一覧を見る
12世紀のイングランドを舞台にした歴史ミステリ。アデリア、シモン、マンスールの外国人3人組がイングランドに派遣され、そこで起きている子供ばかりを狙った殺人の犯人を捕まえるために奔走します。
残り100ページを残して犯人が死んで、まさか残りのページでアデリアとロウリー卿の恋愛を書くのかと思っていたら、まさかの苦境がやってきます。アデリアが危ういときにやってきたのがまさかのヘンリー2世。物語冒頭以来の登場です。イングランド王でありながら気さくな話し方をするおっさんです。ヘンリー2世がアデリアを苦境から救い出すシーンは見ていて小気味がよかった。アデリアとロウリー卿の関係はありきたりなハッピーエンドではないですが、続編が気になる終わり方となりました。
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12世紀イングランド。
ケンブリッジで起きた連続殺人を解決するために招かれたのは、ナポリのシモンで通る調査官と、検死を専門とする女医のアデリアと、その従者のサラセン人マンスール。
十字軍の時代に目立つ三人は薬売りとして旅をし、アデリアは娼婦と誤解されたりする。
修道院長の紹介で、沼沢地の出身で料理のうまい老女ギルサに世話をして貰い、その孫でみすぼらしいがじつは利発な少年ユルフとも次第に仲良くなる。このコンビがいいですねえ!
小さな女子修道院の院長はやり手で、最初に殺された少年を聖ピーターとして遺骨を祭り、訪れる人々から金を集めていた。
女は封印してきたアデリアが、異国の地で惹かれた男性は…?
ヘンリー王も登場!
シリーズ化されるのが楽しみ。
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上巻ではまだ検死から死因や死亡時期、殺された場所などを特定するという、ミステリ要素があった。けれど、下巻では冒険ものになってしまったかな、という印象。
上巻の最後でアデリアをイングランドへ連れてきた良き相棒・シモンが死亡。果たして事故なのか殺人なのか。そのどちらかを示す証拠を見つけたのは、アデリアが犯人ではないかと疑った税官吏のロウリー・ピコウであった。
シモンを失ったアデリアは、幼き子どもユルフとお守りの犬、そして驚くことにロウリーを相棒として連続殺人鬼に向かっていく。
ユダヤ人であるシモンを、その信じるべき神の元へ導くということが非常に困難なのだ。ユダヤ教が弾圧されているこの場所では。ミステリよりも、その時代の背景に興味を惹かれた。
何よりも力を持つ聖職者たち。時には王に刃向かうことも。裁判においても、その者がキリスト教の神を信じる者か否かが重要になってくる。どれほど不利な証拠が揃っていても、その者が聖職者であれば証拠そのものを信用できない、とする。逆に、神を信じない者に対しては、どんなに無実である証拠が揃っていても、ありもしない仮説が信用に足るものとされるのだ。
最後には勝利すべき者が勝利するわけだけれど、それはイングランド国王が登場したため。アデリアは運が良かっただけだとしか言いようがない。
さて・・・。
私としては女性検死官・アデリアは最後まで自分の仕事のみに目を向けるストイックな女性であってほしかった。けれど、下巻の後半はほぼ彼女の恋愛ストーリーで占められている。ある時には自分の医者としての仕事を投げ出しても彼を求めようとした。少し失望したのは私だけだろうか・・・。
こういうストーリーも、今後のシリーズ化に向けては必要だったのかもしれない。
ミステリとしてはかなり物足りない小説だった。殺人鬼も、論理的な思考に基づいて追い詰めていったわけではないし。ただ、歴史もの、冒険もの、恋愛ものの要素を全てちょうどよいバランスでミックスさせた小説である。一度、その世界に入ってしまえば、なかなか抜け出せない。その魅力的な世界観が大切。
次はシリーズ第二弾「ロザムンドの死の迷宮」へ。アデリアには娘がいるらしい。さて、どういう物語になっているのか、楽しみだ。
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連続殺人犯の魔の手はついにシモンとアデリアにも及ぶ…。
事件は結構あっけなく解決し、残りの頁で何を語るのかと思えば当時の裁判の様子。
裁判って言うより、教会がいかにして自分たちの罪を誤魔化すかが描かれる。
十字軍の時代が舞台なので、今では思いもよらない方法で犯人は断罪されてしまう。
この辺、好き好きだろうなあと思う。
こういうオチがダメな人も多いんじゃないかな。
一方、医術一筋で生きてきたアデリアが恋に落ち、結婚と仕事をはかりにかけて悩むところなど面白かった。
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女性の検死官が連続殺人事件を解決するミステリー、と書くとパトリシア・コーンウェルのシリーズを連想するが、こちらは12世紀のイングランドが舞台。その点だけでも充分ユニーク。
時代が時代なだけに捜査や検死の方法に多少迷信じみた要素が入るかと思いきや、そこは想像していたよりも現実的で、むしろ現代小説を読んでいる感覚に近かった。
もちろん風俗習慣、思想、時代背景は12世紀のそれが鮮明に描かれているので、現代小説を読む感覚で時代小説を読むという不思議な読み応えを感じた。
子供を餌食にした犯行も残酷だが、当時まかり通っていた迷信や無知、差別もまた別の意味で残酷なので、現代が舞台の犯罪物を読む時より精神的にエネルギーが削られる気がする。
それでも続編を読もうと思うくらいに面白かった。
上巻での衝撃は退場すると思っていなかった人物いきなりの退場、下巻での衝撃は主人公アデリアまさかの恋。
バリバリキャリア志向かつ男まさりのアデリアが恋に落ちる姿はなかなか可愛らしいのに、たとえ快楽に味を占めても思考はナチュラルに医術と直結している残念な彼女には今後も残念なままでいてほしいw
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下巻。
上巻を読み終わった後、一気に読み終えてしまいました。
怒涛の展開と、事件に迫る主人公の感情が爆発して、上巻とはまた違った展開に。
事件は恐ろしい展開に向かいつつ、まさかの干物女にロマンスが?!
いやー、ちょっと笑っちゃいましたが、彼女は頑張ったので、安易な展開も仕方ないね(笑)
それにしても男性の下半身が良く出てくること。まあ、女性は汚らわしいとされていたキリスト教へのあてつけですかね。
忘れちゃならないのが主人公にいつも付いて行く、ものすごく臭い子犬の「お守り」(犬の名前ね)がコミカル要素を追加してくれて、ほんとに一気に読めました。どんだけ臭いのかよ!って突っ込みたくなりますよ。
同じ主人公の続編もあるらしいので、探して読みたいな。
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えっ、この人が死んじゃうの?とびっくり。
今のような科学的な捜査方法のない時代の犯人探しは、大変だっただろうなあ。
恋模様もからんできて、おもしろかった。
続編に期待。
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残酷なことが沢山起こったけれど、史実を巧みに盛り込んでいて、とても面白かった。
「昆虫の羽音」と表現されたところは、普通の人たちの行為なので、本当に恐ろしかった。
世界史の授業で習ったけど、いまいち分からなかった教会と王との関係も明快に。教会関係者を王が好き勝手に罰することはできなかったんやね。
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当時の服装や髪型、町中の風景など12世紀のイングランドがうまくイメージできない。そのせいかファンタジーや SFでも読んでいる気分になった。
とは言え、教会や十字軍、ユダヤ人への差別問題など、歴史をメインに据えて読むとなかなか興味深い。一国の王さえ黙らせるほどの教会の権力は、後のヨーロッパを型作るのに必要不可欠だったかもしれないが、キリスト教徒ではない日本人には理解し辛いかもしれない。
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さて、下巻です。
上巻最後にシモン殺害というショッキングな事件が起こりましたので、
その遺体を検死するところから始まります。
なぜそう思えるのか理解に苦しむところですが、
自分たちは安全だと信じて疑わなかったアデリアは、
かなり動揺しています。
事件の様相も、どんでん返しの連続で意外な展開となります。
疑わしかった人物も実は・・・。
そして満を持して登場したあの人が、
そもそも何故アデリアが派遣されることになったのかを語ります。
残酷な場面もいくつかありました。
擬音語・擬態語のたぐいや直接的な表現はそれ程でもありませんが、
充分想像できる程度に表現されています。
上下巻通して、
この時代のキリスト教社会とか十字軍の内実が描写されていて、
現代に生まれて良かったと心底思えました。
そしてなによりも。
犬や豚への仕打ちが酷かったです。
動物好きの私にはかなりきつかった。