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久しぶりに心が大きく揺さぶられる物語だった。
自分の生い立ちとかぶる所がたくさんあり読みながらどんどん小さい頃の記憶が蘇えってきた。
自分に当てはめてしまうと、過去、生い立ちに対する劣等感や肯定感や虚無感、もう色んなものがごちゃ混ぜになり読後頭の中はまさにカオス、の一言だ。
この世に生を受けた時から全ての人間が「袖触れ合うも多生の縁」の連続で人生を歩んでいく。
運命だから仕方ない⇔努力は報われる
だらしない生活⇔きちんとした生活、白と黒…生きるという事は常に両者を往き来し、もがき葛藤するはずなのに、主人公の泰子、智、智の母、直子はそんな観念とはまた別の次元で、まるで言葉を持たないピテカントロプスのような人生を歩んでいるようだ。皆がどこかでタガが外れてしまい、それが良き事なのか悪い事なのかの判断もつかずつけようという発想もなく垂れ流しの日々を過ごすのである。現代社会の負の産物なのか。
ただ人間は本来そういうものだったのかと妙に腑に落ちた。
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居候をしながら転々と住むところを変えて生きる直子と、その子供の智の描写から、「普通に生きるとは」ということを考えさせられる一冊。人生には様々な選択肢が存在するが、結局は皆、自分が望む方向へ、自分の意志で生きている訳か・・と気づかされました。
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こんな初期衝動みたいな、強い勢いの本。。。すごい。。。
誰かには耐えられないような散らかしっぷりを自分もしているんだよな。。。
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人生全ての出来事は他人がどうという訳でなく、自分の足が向いた方へ動いていたということ とても良かった
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2017/11/15
全ては繋がっているというところに共感。
単に父親と母親が出会ったから子どもが生まれたのではない。
父親・母親が出会った人たち、環境、第三者、それぞれが繋がって今があるのだ。
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直子のような人間に負けたくなくて、自分なりに精一杯頑張って、誇れるものを手に入れたと思っても、彼女はそんなものに興味がない。そして、なんとかなる、と、その日を閉じていくことだけを考えて人生を歩み続ける直子には到底およばないことにうっすら気づきはじめる。
不幸に追いつかれた、と泰子が感じるのは、真っ当な道を外れていったからではない。はたからみれば不幸に見える暮らしや生き方が、ちっともそんなことはないと自覚してしまうことなのだ。
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誰かのせいにしたり、不本意だけど流されただけだと思うことも多いが、何だかんだで自分で選んでいる。そのことにハッとさせられた。
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読んでいて登場人物のだらしなさが目立って、この人たちとは一緒に暮らせないな~と思った。
最初の方の主人公は智だったが、智とその母親直子と、直子の恋人辻井とその娘の泰子が出てくると、泰子が主人公になってゆく。
智と直子が来なかったら、私泰子と父と母一代は離婚しなかったのではないのか?私は普通の家庭で過ごせたのではないのか?その日暮らしのフリーアルバイターのようになってはいなかったのではないか?と思っているところへ、智が泰子を訪ねてくる。智も普通に結婚して家庭をもつものだと恋人にプロポーズしたら『私は生活がしたい』と言って振られてしまったので泰子を訪ねてきたのだ。
それには母親の直子に連絡を取って、泰子の住所を聞いたのだが、母親はネコか犬のように定期的に誰かに拾われて暮らしていた。
泰子は不幸に追いつかれた、と思った。
だが、いつも誰かのせいで不幸になる、と思っていたのだが、最後の最後にそれは偶然であろうと必然であろうと、自分が自ら選び取った選択なのだと、気付く。
本当の意味で泰子が自由になるという終わり方で、少しは救われた。
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ふつうって、なんだろう。
かぞくって、なんだろう。
解説の破壊していく女たち、という表現が絶妙で好き。
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*幼いころ、泰子の家でいっとき暮らしをともにした見知らぬ女と男の子。まっとうとは言い難いあの母子との日々を忘れたことはない泰子だが、ふたたび現れた二人を前に、今の「しあわせ」が否応もなく揺さぶられて―水面に広がる波紋にも似た、偶然がもたらす人生の変転を、著者ならではの筆致で丹念に描く力作長編小説*
「ふつうの生活」…って難しい。ここまでかけ離れている人もいないと思うけど。
と思うのも、自分の「ふつう」が言わせてるんだろうな。
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明日花がうまれたとき、やれやれと思った。
?・・・・
やれやれ?
どっかで聞いたような、
確かに聞いたな
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仕事をせず結婚をせず定住せず都市を転々としつつ男に支えられながら生きてきた女と、その息子、かつて一時その親子と暮らした女。様々な分岐点を経ながら人生は流れて行くがその流れのきっかけを他人のせいにしては苦しくなる。これだけ共感したくないキャラ設定でありながら引き込まれる不思議な筆力。
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皆、被害者なのかもしれない。
そして同じくらい加害者なのかもしれない。
誰が誰の人生にどれだけの影響を与えたか。
結果的に良い影響だった場合もあるし、
悲惨な結果になってしまうことだってあるのだろう。
誰かのせいにすることは、簡単なことだ。
ふつうとは?
当たり前とは?
そんな問いが繰り返される物語でした。
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もっと丁寧に読めば味わい深く感じられたかもしれない。ちょっと急いで読みすぎた気がする。
なんというか…泰子は「あの時父親が直子と出会っていなければ」って、人生のボタンが掛け違った瞬間みたいなことについてずっと思い・考え続けていたけど、実際のところ、実の母親も割と自分勝手な人間だったし、だから歪んでいたのは泰子だけじゃないし、泰子が当たり前の幸せみたいなものに違和感を覚えるのは後天的なものじゃなかったというか、一代の血なのだ、ということでわたしは解釈したんだけど、泰子自身がそれに気づいた(と思しき?焦って読んでしまったので解釈が微妙かも)瞬間がすごく鮮烈で、爽快だった。
なんであの時智とセックスしたのかな、と思った。あの流れならわたしもするだろうか。泰子から見た智がいつも子どもじみているのが気になった。実際子どもなのかもしれないけど、現在の智に過去の姿を見ていたんだろうか。
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家庭、子育ての環境の「普通」というのは人それぞれの価値観があると思うけど、ここに出てくる人たちは「負(不)」の連鎖から逃げられてないのは間違いない。
いやだいやだと言いながら、自分も逃れられず逃れようともしない。「血」なのかなと思ってしまう。