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『さよなら妖精』で登場した大刀洗万智が主人公。当時高校生だった主人公が10年後、ジャーナリストとしてネパールの首都、カトマンズにて活動を始めるところから物語は始まる。
社会情勢や異国の文化をなぞらえたストーリー、主人公がジャーナリストとして何がしたいのか迷い戸惑う心の葛藤、作品を通した社会に対するメッセージが上手く組み合わさった素晴らしい作品であると思う。
『さよなら妖精』を読んだことのある方には是非おすすめしたい一冊。
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ネパールでの王族殺害事件を軸に雑誌記者「太刀洗万智」が奮闘する物語。事件が起きている現場で記者がどの様に現場の状況を伝えていこうとしているのかが良く描かれている作品だったと思う。太刀洗万智のキケンながらも真実を知ろうとする人柄にとても惹かれる作品だった。以前に太刀洗万智が登場した作品はまだ未読だが、今後読むのが楽しみになった。
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ネパール取材で事件に巻き込まれる太刀洗さんのお話。毛色が違うと思っていたら、いつもの米澤ミステリー。新キャラでも良かったと思うけど、ファンサービスかな。
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モニターに当選して読ませていただきました。
自分の仕事が何に役に立っているのか。悩むことは多い。
仕事を否定されたとき、疑問を投げかけられたときに相手の話を無視して自分が正しいと猛進するわけでもなく、だからと言って、仕事を投げ出すでもなく。。。本当にすごいと思った。
こういう姿勢で仕事をしている人は尊敬できると思った。
今後、フリーのライターとしてどうなっていくのか。次の話があれば読みたいと思う。
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ミステリーとしてはひねりすぎだろう。
ネパールが舞台である旨味もほぼなかった。
ひとりの報道関係者の、仕事に対する姿勢が、よかった。
たとえば、軍隊が民衆に催涙弾をうちこむ映像はみたことがあるが、それが、
その軍隊が「2日間挑発に耐え続け、いまは銃を使うことなく群衆を追い払っている」姿かもしれないとは思ったこともなかった。
それに気づけること、そして悩めること。
私も私の仕事に対してそういう姿勢でありたいと思う。
ーーイヤ、まず、なりたい、かな・・・・・
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ゲラプレゼントに当選し、読ませていただきました。
とても面白かったです。
ネパール紀行としても面白かったし、ミステリー部分は秀逸。登場人物が少なく、それぞれがストーリーに大きく関わっていて、たいへん読み応えありました。彼らが語る言葉には重みがあって、深くうなづけたりも。伏線の回収に至っては、見事とすら思いました。サガルの叫びは痛いほどです。語る、表現する、ということに対する矜恃も教えられたようで、深く心に響きました。これほど胸に染みるミステリーはこれまでなかったかもしれません。
米澤穂信氏の作品を読んだのは初めてです。ずっと読みたいと思ってきましたが、今回の作品で制覇して行こう、と決意できました。彼の作品に出会わせてくれたことに感謝します。
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2001年、新聞社を辞めたばかりの太刀洗万智は、知人の雑誌編集者から海外旅行特集の仕事を受け、事前取材のためネパールに向かった。現地で知り合った少年にガイドを頼み、穏やかな時間を過ごそうとしていた矢先、王国で国王をはじめとする王族殺害事件が勃発する。太刀洗はジャーナリストとして早速取材を開始したが、そんな彼女を嘲笑うかのように彼女の前にはひとつの死体が転がり……。
遣る瀬無く、辛い結末。ジャーナリストという仕事とおそろしく冷徹に向き合っているお仕事小説寄りのミステリーだった。准尉との対話が印象的。切れ味の良い米澤さんだった。
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久々の長編書下ろしということで期待して読む。中盤から加速がついて一気に読み終える。1時間で読んでしまう。それだけ面白かった。ミステリー的な部分もあるけれど、やはり報道の意義を問うカトマンズの少年に心が摑まれた。この作品も米澤氏の代表作になる予感がする。
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最近評判高い、米澤穂信の長編ミステリ。
『さよなら妖精』の続編ということだが、特に続き物の要素はない。
異国で、その国の歴史的な事件に伴って起きる殺人を追うという、ひねりのある設定。
地力があるからだろう、謎解きの過程や帰結は、その設定を存分に活かしたものに仕上がっている。
また、二段構えの真相もよくできていると思う。
著者作品は、主人公がとても哲学的に悩むが、今回はそこに割かれるページ数がやや多かった印象。そこだけ、少し気になった。
4-
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誰でも
(自分とは何者なのか?)
フト、わからなくなる時がある。
ここ、カトマンズに滞在している
日本からやってきた女。
彼女もまた、魂が抜けた線の様なシルエットしか見えず、
(私は前作を読んでいないので特に。)
最初、見知らぬ女の案内で
初めて訪れる異国を巡ってでもいるかの様な旅気分でぼんやりと、ページを捲っていた。
そんな女の二の腕を
いきなり掴む冷たい手。
「おい、
この国の王が今、死んだぞ!
殺したのは息子で
家族も巻き添え、
しかも自身は自殺を図ったそうだ。」
そのNEWSを聞いた途端、
彼女の体に熱い血がどっと流れた。
(そうだ、私はジャーナリスト!)
我に返った彼女は
さながら目を描き入れた仏像に魂が宿るがごとく
自分が何者であったか?に気付いた。
なぜ、息子は王を殺した?
さらに、家族をも殺す必要がどこにあった?
そして
自分の命を立つ事情とは…
国は必死で事実を隠蔽しようとする。
彼女は自らの身に危険が迫りつつも
(それでも事実を暴き、
国民に伝えるのが私の役目。)
と、使命に燃え、ペンを握るのだが
「一体、それは何の為だ?
民衆とは自分の身に降りかからぬ陰惨な事件は好物だ。
それは、さながらサーカスでも見るようにな。
お前らジャーナリストは
民衆の好奇心を満たし、その見返りでただ飯を食っているだけじゃないのか?」
と、問う者。
更に
ジャーナリストの存在意義に対する否定的な正論に揺らぐ彼女。
何の罪もない市民を無残に殺す兵士を撮った写真を世界に配信し、賞賛を受けるカメラマン。
それで戦争の悲惨さを伝えたつもりか…
写真一枚撮ってるヒマがあれば、人の命を救えたのではないか…
読者はジャーナリストなんかじゃない。
が、それは
死刑制度の賛否を問われて
正しい答えを導き出せぬ事と同様、
全ての人達に隣接している真っすぐな問いかけ。
ミステリー要素も加わり、
深い霧の中を彷徨うような物語の中にあって、
それでも
彼女が一歩一歩すすむべき方向を選択し、
歩む道の後からは、柔らかい光が追いかけている様に思えた。
正解も間違いもないこの世界で
<正しい>を導き出すのは
やはり人が持つ信念なんだなぁ。
貴重なゲラ刷りの献本、ありがとうございました!
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大人になった太刀洗が、きっと、あの出来事があったからこそ悩んでもがいてきたのだと思った。
「知ること」が正義とは限らない。
誰のために知りたいのか、自分のためならばなぜ知りたいのか。
誰かを傷つけないで生きていくことは無理だ。
わたしたちはただ祈るしかない。
ネパールで起きた王宮事件。
この残酷さと苦々しさは、確かに「さよなら妖精」の続編なのだと感じる。
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ネパール王殺人事件を追った物語。軍人が殺され、背中には「密告者」の文字。この二つの事件は繋がっているのだろうか?
たまたま観光取材に訪れた、フリーの記者が事件に深く関わってしまう。途中、この仏像を帰る時に日本へ持って行ってくれないでしょうか?という文面に違和感を感じた。実際には、王殺人事件と軍人殺人事件は別のものであり、鍵はやはり仏像にあった。中々面白く読めました٩(๑❛ᴗ❛๑)۶
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題材も面白いし、カトマンズ現地の登場人物もそれぞれ魅力的。なのになんか例えは悪いが生徒諸君のナッキーが苦悩しているみたいな感じで、報道のあり方についての考えにあまり入り込めなかった。
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迷い考え抜いてまた迷い、その末に結論を出す主人公の心の葛藤と、ネパールの複雑な社会情勢が絡み、最後まで緊張感を保って読んだ。これはいい米澤節。
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『さよなら妖精』の高校生ヒロインを主人公に据えた作品。旅行ガイドブックの取材でカトマンズを訪れていたジャーナリストの太刀洗万智が国王殺害事件に遭遇します。
登場人物が少ないので犯人はおおよその察しがついてしまいましたが、動機は犯人や被害者との会話に堂々と伏線を忍ばせているのにも関わらず全く気づきませんでした。
また、舞台設定や主人公の心の葛藤を丁寧に描いてテーマを浮き彫りにする構成も秀逸で感心しました。