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投稿者:テラちゃん - この投稿者のレビュー一覧を見る
戦争、反日、朝鮮戦争、文化大革命、中国残留孤児などなど。テーマが多過ぎ、しかも3人の女性が登場するため、時代が急に飛んだりして粗削り。あらすじの域を出ず、せっかくの良いテーマがもったいない。想像録を膨らませ、上・中・下の三巻くらいの濃い密度にすべき。方言が多用されているのも読みづらさの一因。
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息を詰めるように、恥じ入るようにして読んだ。戦時中の満州でほんのいっときを共に過ごした3人の少女のその後が描かれる。家族と生き別れ残留孤児として中国で育った後に帰国する珠子、在日朝鮮人として日本で生きる美子、そして裕福な家に育つも家族を失い戦災孤児となりその後も独り身を貫く茉莉。貧しく無知で非力な者が戦争の犠牲にされる。子供であろうがそれはもう容赦なく。先日読んだ『波止場にて』(野中柊)とオーバーラップする部分もあり、この時代に生きた人々に思いを馳せた。
著者にとっては新境地というのではないでしょうか?
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作者は命を削る思いでこれを描き切ったんじゃないかな。それくらい意欲的で、傑作といえる。
毎回毎回重たく難しいテーマで挑み、書き上げる作家さんというイメージが強いが、今作はその中でも群を抜いて難しかったのでは。二十年温めてたとあるし。
以下出版社からの引用。
戦時中、高知県から親に連れられて満洲にやってきた珠子。言葉も通じない場所での新しい生活に馴染んでいく中、彼女は朝鮮人の美子(ミジャ)と、恵まれた家庭で育った茉莉と出会う。お互いが何人なのかも知らなかった幼い三人は、あることをきっかけに友情で結ばれる。しかし終戦が訪れ、珠子は中国戦争孤児になってしまう。美子は日本で差別を受け、茉莉は横浜の空襲で家族を失い、三人は別々の人生を歩むことになった。
ここにはこの時代を知らない人も、そこにあった事実を忘れてはいけないということ、繰り返してはならないということ、大切なことたちがうんとつまっている。
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世界中のこどもたちがみんな笑顔で手をつなぎ一緒に歌を歌えるような、そんな日が来ることを祈らずにはいられない。
満州開拓団の人たちのいわゆる戦後の苦労については、ある程度知っているつもりだった。
けれど、それはあくまで「知っているつもり」というだけで、どこまでいってもそのときの苦しみも悲しみも、分かることはできない。分かることができない私たちは、そういう苦しみと悲しみのない世界を手放さないように必死に「平和」にしがみつかなきゃならないはず。
全く別の環境で育った三人の少女が満州の地で出会い、とある出来事を通してつかの間の友情で結ばれた。その一瞬の友情がこんなにも大きく深く長く三人の手をつなぎとめる絆となるなんて。
幼いながらも彼女たちの中にあった「思いやり」という気持ち。その小さな思いやりの大切さをしみじみと思う。
多くの命を奪い、たくさんの幸せを壊し、人々を地獄へと突き落とす戦争という愚かな行為を、なぜ私たちはやめる事が出来ないのだろう。
一つしかないおにぎりを分け合い、自分がその一番小さなかけらを食べる。そんな優しさが世界中に溢れれば、みんなが笑顔で幸せに生きていけるはずなのに。
「いくらみじめで不幸な目に遭ってもね、享けた優しさがあれば、それをおぼえていれば、その優しさを頼りに生きていけるのね。それでその優しさを人に贈ることもできる」
今も世界中のあちらこちらに三人の少女がいる。彼女たちが血の涙を流さないように、今、できることを考える。
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戦時中に満州で出会った三人の少女が様々な過酷な出来事を乗り越え生きていく姿は哀しくも逞しい。戦争の悲惨さ愚かさを痛感させられる。そんな中で描かれる友情や思いやりに救われる。何度も心を揺さぶられた。読むべき一冊、今年のマイベストか。
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戦時中の満洲で出会った、歴史に翻弄された3人の女性の人生を描いた物語です。戦争によって各々の国でまともな生活を送ることができずに苦労した3人の女性の苦しみが切々と伝わってきました。まともな食事をすることすら贅沢だった時代を生き抜いた人たちの苦労を知ることのできるので、若い人たちに読んでほしい一冊です。
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そこそこ分厚かったですが、面白すぎて一気に読みました。
途中、辛い部分もありましたが
最後は笑顔になれました。
たくさんの人に読んでほしい作品です。
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★★★★★
自分の幼い頃の思い出を辿るとき、自からぐり寄せる力では引き出すことのできない記憶や、それに覆いかぶさる感情が存在していることがある。
この小説に入り込んでいると、描かれている世界とはまた別に、自分の失ってしまっていた、たぐり寄せることのできなかった記憶が紡ぎだす世界をも旅していることに気がつく。
その記憶を引き出すフックになるのは、登場人物たちの心の動きが描かれる部分の数々。
「わたしの手をぎゅって開いて、キャラメルを取っていった人のこと。この手にね、まだ残っている」
「人生が壊れるような状況になっても、店のために、肉を仕込まなくてはいけない。それが、それでもここで生きていくということだった。」
自分のしっかりした記憶なのに、成長の過程で何処かに落としてきてしまい、そのこと自体も忘れてしまっているモノ。それに出会うには、誰かが届けてくれるか、偶然に委ねるかしない。
その誰かが、この『世界の果てのこどもたち』だった。
2015/07/28
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戦後70年、夏のこの時期に巡りあえてよかった。戦争の体験を伝えることは難しいかも知れないが、伝えていく必要があると思う。
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終戦記念日の今日、この本を読んだ偶然になにかを感じる気がしました。
もちろん気のせいですが…。
高知の貧しい村から満州に行った珠子、朝鮮人の美子、横浜のお嬢様の茉莉。
子供たちの上にも容赦なく戦火は降り注ぎ、その人生を翻弄する。
子供の視線で何が起きているかわからないまま、身の上に起こったことが描かれ、その後大人になってわかったことが描かれ、戦争によって失われたものが描かれています。
救いは、3人の子供たちが再び出会えたこと。
世界中にこういう子供たちが居ない時代がくればいい。
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反戦ものは、その裏に作為を感じ、反発を覚えるが、この本は、すとんと腑に落ちる。しみじみと暖かい気持ちになる。
悲惨な情景も多いが、主人公3人の、ひたむきな強さに引っ張られ、嫌な気持ちにならない。幼少期の周囲の善意が、その後の人生の支えになる主人公たち。困難な状況でぶれない姿勢に、育ちの良さの本意を思う。
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いやぁー考えさせられました。
戦争って戦地に行った人達だけではなく
いろんな人の人生を変えてしまうんだと。
大人より子供は戦争をはっきり理解してない分酷だ。
開拓団として満州に移住してきた珠子。
韓国人の両親をもち韓国から満州にきた美子
横浜から遊びにきた女の子。
この3人は子供の頃に
一緒に満州のお寺でおにぎりをわけあったことを生涯わすれることがなかった。この思い出が戦後3人を再会させた…
戦後の3人の子供の運命は壮絶でした…
今の若い方にも読んで欲しい作品です。
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日本、満州、朝鮮、かつての日本であったこと、戦争、略奪、実話ではなくとも、きっと似たようなことが、もしくはもっと悲惨なことが起きたのだろう。
そして、戦後さらに思ってもみない激流に飲み込まれていくこどもたち。
優しく、強く、時には飲まれ、また這い上がる姿に胸痛みながら読んだ。
三人が出会えて良かった。
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子どもに携わる仕事をしている者として。
戦争で犠牲にあった方たちや、哀しみの中力強く生きた人たちが作ってくれた、平和な今を生きる者として。
どうかどうか、いつどんな時代でも、どんな場所でも。争いの中でなく、手を取りながら、子どもたちが生きていけますように。偽善と言われても、平和ボケと言われても、そう願わずにいられません。
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ノンフィクションのはずだが、かなり事実に忠実に書かれていると思う。
事実の方がもっともっと悲惨だったと思うけど。
日本人、朝鮮人、中国残留孤児(日本人)。
幼い頃一度満州で出会い、短い日々を過ごした3人の女の子達。
別々の場所で戦争の悲惨な体験をしながら成長する。
人を狂わせてしまう戦争。
朝鮮から日本に連れて来られて、帰国できずに残った人達が受けた差別。
日本にいて空襲で親を失った孤児が受けた差別。
語り継がれていくべき事実だと思う。