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#読了。
ブラック企業に勤め、私生活では同棲相手に逃げられ鬱病気味の潤。ふらりと立ち寄った夏祭りで金魚を手に入れる。しかしながらこの金魚、美女に変化し潤の前に。リュウと名付けた彼女の生い立ちは。。。
リュウのユーモアある日本語やしぐさと対比し、悲しい出来事も。死者が見えてしまうのを読んでいて忘れたころに、元カノの件は切ないものがあった。ラストはそっちにくるのかと。
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ブラック企業で神経をすり減らしながら働いている潤。
同棲していた恋人は、未来が見えない関係に見切りを付けて出て行った。
明日が来なければよいのに。死んでしまえればよいのに。そう思いつつ、自殺する勇気も出ない。
泥水の中をのたうつような毎日。ある日、潤はふと祭の縁日にふらふらと入り込み、金魚すくいの夜店で1匹の琉金を掬う。
古代中国。1人の女が夕闇をひた走る。
女には相思相愛の男がいた。しかし理不尽にも2人の仲は引き裂かれた。
激しい怒り、強い恨みを抱き、女は走る。
どこへ? この憎悪の赴く先に。姿を変え、時を渡り、どこまでも。
女は暗い沼に身を投げる。
2つの人生が時空を超えて交錯する。
偶然であるかのように見えた出会いは、1つの流れの先にあった。
時に支流に入り込みつつ、最後に1つの河口に至る著者の手腕に心地よく乗せられる。
ブラック企業の描写は、渦中の息苦しさを感じさせ、十分な取材を重ねた上と思われる。
金魚の化身として現れる女は、艶美なだけでなく、お茶目でかわいらしく、一方で妖しの凄みも抱えて魅力的な造形。表紙も本作の雰囲気をよく醸し出している。
タイトルから、何となく室生犀星の『蜜のあわれ』を思い出したのだが、また違った味わいで、しかし、これはこれで余韻が残る。
夢のように水中を漂う緋の魚には、人を異界に誘い込む妖しい力が潜んでいるのかもしれない。
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図書館で借りた本。
同棲していた彼女が去り、自暴自棄になっていたある日、神社の夏祭りで奇麗な金魚をすくってきた。金魚すくいには珍しい琉金だった。金魚の飼い方を知る為に入った古本屋で、一冊の本を購入して始まった金魚との生活は、不思議なことばかりだった。
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数千年の時を超え、琉金に身をかえて愛する男の復讐に蘇る女。思いもかけない発想と物語の展開に引き込まれた。
哀しい物語なのにクスッと笑えるところが作者らしい。
最後の展開は思いがけなかった。
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不思議な話。金魚を買い始めたとたんお化けが見えるようになり、おかげで急に仕事が上手く行き、元カノも戻ってきたけど…。いくつもの話が複雑に絡まって、結末に向けてどんどん進み、最後は、意外な結果に。一方でもしかしたらそうかもと思っていたところもあった。不思議な魅力の本でした。
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キュンとするラブファンタジー。
ブラック企業やらうつ病など現代の問題を入れつつ突然現れた金魚から姿を変えた美女(きっとここがポイントなんだなw)とのお話。
見えざるものに導かれてリュウ(金魚姫)と出会い、そして別れ。
人魚姫のようであり鶴の恩返しのようでもあり雪女のようでもあり。主題は古典的なんだけどそこがとても良い!
コミック化するのにピッタリのお話だった。
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1956年埼玉県うまれの荻原浩さん、「押入れのちよ」「愛しの座敷わらし」の系列の物語でしょうか・・・、「金魚姫」、2015.7発行です。中国・唐の時代、許嫁を無実の罪で殺された美しい娘は沼に身を投げ金魚(琉金)に。時代は巡り、日本の夏まつり、江沢潤は金魚すくいで赤い色の琉金をすくいあげました。潤とリュウ(1700歳になる・・・金魚に体を借りた娘)との奇妙な暮らしが始まり、因果がなせる衝撃の事実と感動のラストが涙を誘います。今年これまで読んだ作品で、「人魚の眠る家」と並ぶ感動作です!
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切なくて悲しくて優しい。そんなお話だった。
中国の名前が難しいのと、漢字も難しい字が多くて、ちょっと読みづらい。
リュウが可愛かったな~。
知ったぶりしてる所も可愛いし、一生懸命普通の女の子っぽく振舞うのも。
ネタバレになるから詳しくは書かないけど、潤が亜結に「来てくれて、ありがとう」って言うところが好き。心に沁みた。
勤め先はブラック企業、うつうつと暮らしていた潤。日曜の夕刻、近所の夏祭で目に留まった金魚を持ち帰ったら、部屋に妖しい美女が現れて……!? 金魚の化身に戸惑う潤。だがそれ以来、商談が成立するようになり。
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社会順応できない青年と金魚の化身とのファンタジー小説。
ユーモアの中にももの哀しく、切ない物語となっていました。
主人公の勤めている会社のヒエラルキーや社長のワンマンさには誇張されているとはいえ現代社会の風刺も入っていると思います。
ファンタジーで落としてくると思ったラストは悲しくも現実的なハッピーエンドだと思います。
しかも金魚や中国風習や仏壇のうんちくは興味深く、かなり調べられているようでした。
ただ、「無問題」は広東語なので他の中国普通語と違和感がありました。
普通語に合わせるなら「没問題」とすべきだと思います。
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金魚と暮らすことにより、見えざるものが見えるようになり仕事の成果があがってくる。
輪廻ファンタジーですが、ちょっぴり悲しい二人(苦笑)の物語。結末は悪くないです。
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現代のファンタジーであり、切なく悲しい時空を超えた恋物語。物語の出だしは現代のドロップアウトしかけの若者の話であり、このまま主人公のどうしようもない辛い現実世界を綴っていくのかと思った。
しかし題名が示すように、金魚の化身との出会いから、ユーモラスでかわいらしくも愛しくもある金魚の化身の動向を表現しながら、一気にファンタジーへと、そして過去から主人公が生きる現代までの恋物語へと広がっていく。
思わずくすりと笑ってしまう金魚姫の動向にはユーモア小説とさえ感じさせながら、終盤には辛くしかし美しい恋物語へと読者を誘っていく。思わず涙を潤ませてしまいそうになった。
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なんだか不思議な話だった。
出だしの部分、主人公の日常がつまらなくて、
やめちゃおうか?と思ったりした。
途中から面白くなってきて、だんだんと主人公の気持ちがわかるようになり、なんとか読破。
終わりに近づいてくるにつれて、胸が締め付けられるような気持になりました。
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大昔、金魚になった女の子と鬱ぎみな青年の恋物語。
色使いが綺麗な作品。主人公の潤がブラック企業に務めているシーンが重く、息苦しく、辛く、読んでいてこちらまで同じような気持ちになりました。金魚から人の姿になるリュウと出会い、生活が変わり、彩られていく感じははらはらしつつも読んでいて楽しかったです。
途中泣けるシーンもあり、ラストはそうなるのかと切なくなる綺麗な小説でした。
「人が死んだんだぞ。他人の不幸を食い物にしやがって」
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この著者らしい、やさしさとユーモアと切なさと哀しみが同居する物語。人生に絶望した主人公と、金魚の化身リュウとの奇妙な生活。すべては繋がっているーその終焉に向けての二人の心情が切ない。
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途中で予想していた結末を見事にひっくり返され(私の想像が単純すぎるから?)、切ない終盤に胸がギュッと押し潰されそうでした。
でも大丈夫。ラストはビタースイートです。