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詩人であり、評論家であり、推理小説の祖であり、SF、ホラー、ゴシックなど幅広いジャンルに不滅の作品を数々残したエドガー・アラン・ポー。しかし彼は愛妻を病で失い、酒と麻薬に溺れ、文学的評価を受けられず、極貧のまま、40歳で路上で生を終えた・・・。
ポーはアメリカ合衆国において文筆だけで身を立てようとした最初の著名な作家。ポーと言えばゴシック小説であり、推理小説、特に死に対する疑問、病や腐敗、早すぎた埋葬、死からの再生といったテーマが好んで取り上げられた作品が多いことが特徴かなと思います。
またポーのもうひとつの特徴は「作家として母国アメリカでは正当な評価を得られずにいたこと、最初に評価を得たのは欧州、フランスであったこと」が挙げられると思います。例えばフランス印象派を代表する作曲家クロード・ドビュッシーが「アッシャー家の崩壊」をもとにした未完のオペラを作曲し、ポーに傾倒した大詩人シャルル・ボードレールがポー全作品を翻訳したそうです。この欧州の高まりの影響か後にポーの功績はアメリカでも認められ、現在に続くアメリカ文学に大きな影響を与えたとのこと。
今回このポー短編集は以下の短編が入っています。
黒猫
赤き死の仮面
ライジーア
落とし穴と振り子
ウィリアム・ウィルソン
アッシャー家の崩壊
個人的には「黒猫」がやはりポー作品な感じがします。まさに恐怖小説。この「黒猫」の軸は黒猫で恐らく黒猫にまつわる数々の迷信や伝説を生かしたものではないか、今回の黒猫は非常に頭が良い、と思います。しかし私としてはこの黒猫よりも人間の方が凄まじかったです。
この「黒猫」は黒猫に狂わされる人間が恐怖と狂気を発揮していく物語なのですが、この人間がとにかく凄いんです。そもそも狂気に狂わされる前に少しおかしい人間。そんな人間が愛しいと思いながらも虐待する、禁じられているから犯罪に走る、といった人間の持ちえる天邪鬼の狂気をこれでもかと言うくらいに発散していきます。そして最終的にある結末を迎えます。
この「黒猫」の面白さは人間の持つ天邪鬼と思います。他はウィリアム・ウィルソンも分身恐怖っぽくて好きです。
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独特の世界観だなぁと思いました。
「黒猫」、「ライジーア」、「落とし穴と振り子」が好きです。
最初は入りにくいかなと思っていたけど、読んでいて、気づいたら引き込まれていた感じがします。
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あまりにも有名な「黒猫」・「アッシャー家の崩壊」
エドガー・アラン・ポー
読んだことはなかったけれど、タイトルや著者ぐらいは聞いたことがある。
しかし…
確かに雰囲気はあるのだが
ごめんなさい、この本の良さがわからなかった…
ただつらつら描写があるだけで…
「黒猫」は最後まで言い訳を続ける主人公に怖さを抱いた。
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ポーと言えば「黒猫」
初めて読んだ時の、ラストシーンに登場する黒猫の存在感とインパクトは今でも忘れられない。
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とりあえず推理小説の原点から読んでみようと思って購入、
したらミステリーじゃなくてゴシックだった。
「黒猫」
面白い。
深い愛情は深い憎悪を含むという、
二律背反をホラーとして描いている。
オチがなんとも滑稽でよい。
心理と行動のちぐはぐな関係は、
かなりフロイト的だということがわかる。
しかもフロイトよりだいぶ前の人なのよね。
「赤き死の仮面」
解説にあったけれど、
ペストのことを「Black Death(黒死病)」というらしく、
これを彷彿とさせるが、
実際には1832年のコレラ大流行の際に、
フランスで開かれた舞踏会からヒントを得たそうだ。
死を遠ざけようとする様と、
舞踏会での饗宴が異様な高揚感を伴っている。
最終的には死の輪舞曲といった風情で、
非常にプリミティブな印象を受けた。
「ライジーア」
うーん。
よくわからん。
途中の詩はよいなぁ。
「落とし穴と振り子」
読んでて乙一の「SEVEN ROOMS」を思い出した。
絶望的状況下で俯かない人間の気高さ。
結果はどうあれ、
その時その瞬間の必死な様は心震える。
怖いけど。
「ウィリアム・ウィルソン」
自分とそっくりな自分と違う存在と対峙する。
それは自己嫌悪の時に似ている。
自己嫌悪する時、
「嫌悪する私」と「嫌悪される私」に分裂していることに気がつく。
そこでもし、
分裂した片方を殺してしまったとしたらどうなるか。
そんな恐怖譚がこの話なんだろう。
萩尾望都の「半神(16Pの超面白い短編)」に、
非常に近いものを感じた。
「アッシャー家の崩壊」
なんかに似てる。
なんだっけ。
うぅぅぅぅうん。
そうだ。
シャイニング。
意志を持つ家。
シャイニングの原点にこれがある気がする。
と思ったら解説に丸々書いてあった。
読んでる途中、
キッチンに吸盤で固定していたお玉とヘラが、
音を立てて落ちたのでめちゃくちゃびびった。
その様子は古典的な漫画のように、
身体の主線がビリビリ波打ってたことであろう。
全体の印象としては、
オチが素晴らしくいいのに、
前半部分でなかなか入り込めなかった。
時代や場面設定を飲み込むのが大変だったからかな。
ただのリテラシーのなさかもわからない。
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訳のせいだと思うが、とにかく読みづらい。ただ、読んでいて急に惹きつけられることも多かった。
「黒猫」と「落とし穴と振り子」が個人的には良かった。
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『虚無への供物』に出てきたので、アッシャー家の崩壊を読んだ。アッシャー家の人たちがお互いに殺し合い、やがて一族すべて滅びる長編ミステリーかと思ってたら、違った・・・全然違ったしすごい短かった・・・!!
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ゴシック編、非常に面白かったです。
この人ホント精神の具現化が巧い。
この中では『ウィリアム・ウィルソン』が特に好きです。
面白かったと言っても『落とし穴と振り子』は夜中に読んでてこっちが精神崩壊しそうになったけど。
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図書館の貸出期限が迫っていたので、慌てて読んだ。
江戸川乱歩好きなら押さえておかないと、と思った1冊。
ポーの中でも有名な作品を選んだ。
酒と麻薬に浸った人なんだなぁ……。
狂気の一言に尽きる。淡々とグロテスクな描写をするから、読んでて『うわっ』てなる。
短編小説なんだけど、登場人物みんな狂ってる。
極限状態なので、いつあっち側に行くんだろう……とドキドキした。
ページを捲る手が止まらなかったから、面白かったんだろう。
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黒猫 (1843) 酒乱、猫の殺害、妻の殺害。屋敷もの。猫ドッペルゲンガーという面も。
赤き死の仮面 (1842) 流行り病から退避して豪奢な頽廃。屋敷もの。
ライジーア (1838) 美女再生。ふたりの女。
落とし穴と振り子 (1842) 拷問。
ウィリアム・ウィルソン (1839) ドッペルもの。屋敷もの。
アッシャー家の崩壊 (1839) 屋敷もの。早すぎた埋葬。美女再生。
何度目かのまとめて再読だが、思った以上に物々しい言葉遣いがいいムードを漂わせている。
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作品は既読でしたが、映画の帯がついていたので思わず買ってしまいました…。
映画に合わせてもっと押してるかなと期待したのですが、ひっそり置いてありましたw
そして映画は黒猫がモデルではないので、モルグ街だと良かったです。
新潮さんの訳は昔ながらのイメージがして好きです。
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ポーの映画が見たいと思い改めて読もうと思った。
たしか小学生か中学生のころ学校の図書館で読んだのがポーとの出会い。
読み始めてすぐ後悔。こんなに難解な小説だったの?ポーって。
読むのにすごく時間がかかった。
映画は…保留。
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不可思議な世界観!
すごいですねぇ。
行ったことも見たこともないのに想像できます。
まぁ普通そうなんですが、これまた独特の世界なので。
江戸川乱歩さんを先に読んでるかたとかだったら乱歩さんを読んでる気分になるかもですね。
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表題作「黒猫」は素晴らしいです。語りの形式はストーリーに緊迫感を与え、話の筋自体も奇妙で恐ろしさ満点。だれることなくリズミカルに進んでいき、スパンと綺麗に終わるところもいいです。
が、他の話は。。ただちょっと怖いだけ、という感じが否めません。ストーリーでは呪われる理由がわからなかったり、情景描写は重くべたついています。んー、でもそこが魅力なのかもしれません。
これは自分に翻訳があまり合わなかったような気もするので、原文で読み直したいです。
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まさにゴシックホラー。
壮麗で神秘的な表現の中に、不気味でグロテスクな描写がたっぷりで、幻想の世界に浸れます。
むかしに、子供向けの作品集で読んだことがあるはずだけど、このこねくり回したような独白調の語り口が何とも気持ち悪い。
子どもが読む話じゃねーなと思う。
非常に読みにくいです。
が、独特な雰囲気と名作といわれる風格があります。
解説まで読んで、なるほどねーとなる。
最近のラノベでも引用されるのですから。