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「カス笑い」って言葉初めて。
自分の心をごまかすときにする何とも嫌な作り笑いのことだそうだ。
確かにこれをする人が私のまわりにもいる。
「男はあまり笑顔を売るものではない」
こういうこと言ってくれる女性、素敵です。
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人の、生まれ育った故郷への郷愁の念と、その地へ林立する原発のこと、人が生きること、死ぬこと、親から子へ、孫へ、受け継いでいくもの。変わらぬ風景と時の流れと人の心、そこへ容赦なく影響を及ぼす国や社会の変化。この時期だから尚更、、色々考えさせられました。
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若狭出身の作者が、原発銀座となってしまった故郷を舞台に描く小説。
原発が、いかにその町に、その町の人々に、深く深く関係してきたかがよく分かる。
原発を受け入れてきた町の人々の気持ちがやっと少し理解できた気がする。そして、その故郷を離れなければならないつらさも。
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水上作品3作目ですが本作が最も心打たれました。
「人間はどこの空を飛んでも死ぬときは地面、故郷に帰ってくる」というテーマ。
約25年前に、変わっていく原発銀座から鳴らされた警鐘が、今も変わらずどころかさらに重みを持ったものになっています。
自分に故郷がある幸せと責任を感じさせたくれました。
美しい文章で自然と人間が魅力的に描かれています。
良い本と出会えました。
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夕方の車窓から眺める地方の村々や田園風景は、瞬く間に後方へ過ぎ去っていくが、時おり年配らしき人物の姿が目に入ると、ここにも悲喜こもごもの様々な人生の物語が散りばめられているんだ、と思い起こさせてくれる【水上勉】の長編小説である。著者の故郷である福井県を舞台に、遠く離れていた故郷に集う家族の心境が綿綿と語られていく。“原発銀座”と揶揄されて久しい福井県沿岸に生活基盤を築いてきた人々、帰郷して故郷の風景を眺める人々の心情を淡々と描きつつ、生きとし生けるものへの慈しみを謳いあげた、心深くに沁み入る一篇である。
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作品を読む時は、刊行年と著者の刊行時の年齢を確認し、その時代背景を思い浮かべながら読み始めています。(時代物は、作品の舞台になっている時代ですがw)。水上勉「故郷」612頁、1997.6刊行、2004.11文庫。小林一茶は年老いてから故郷(信州)に帰った。山も川も森も谷も、すべての虫や草木もが、故郷は生きている。故郷の有難さ。若狭の最西端、冬の浦。原発による辺境の近代化、経済発展、働き口、補償金・・・。一方で、昔ながらの風習や行事の変質。でも、いちばん肝心なのは「人間」人間の考え方であり、故郷への思い。