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紙の本
多重人格者の実態から自己の内面を考える
2001/02/26 07:31
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:読ん太 - この投稿者のレビュー一覧を見る
多重人格者を扱った話。主人公サリーには4人の別人格が存在する。
フィクションなので話の展開は変化に富んでいるし、結末は希望の光で満たされている。ぐいぐいと引き込まれて読み終えることができた。
多重人格者の症状や治療法の記述は、限りなくノンフィクションに近い。著者のダニエル・キースは心理学を学んだ人らしいので、これらの事項に精通していて且つ好奇心が働くものだったのだろう。
ちなみに彼の他の作品『24人のビリー・ミリガン』『ビリー・ミリガンと23の棺』は、アメリカで実際に起こった連続強姦魔であるビリー・ミリガンという多重人格者を扱ったもので、全くのノンフィクションである。
この本を読んで感じたのは、人はだれでも多重人格的な要素を持っているということ。「良心が痛む」という言葉があるが、まさに多重人格性を表した言葉だと思う。
普段は穏やかな人が稀に怒りをあらわにした時など、「あの人はおとなしいけれど怒ったら怖い」などと言われることがある。また気性が荒い人を弁護して、「あいつは乱暴者だけれど根はやさしい奴なんだ」などと言われることもある。
人が多面性を備えることはごく当たり前のことなのである。
多重人格とは、人との付き合いの楽しさや大切さを深めてくれるものであると思うが、これがひとたび病名となると話は変わってくる。
極度の恐怖、怒り、痛みなどを経験した人は、それらに堪え切れなくなった時に別の人格にすべてを請け負わせて核となる自分は逃避してしまう。逃避している間は記憶喪失の状態となり、従って自分の行動であるにもかかわらず記憶がない、やった覚えがないという結果が起こる。逃避が度々繰り返されると別人格が肥大していき、コントロールが不可能で社会生活を営むこともできなくなる。
近頃ニュースでもよく見かける「幼児虐待」、または若者が「キレル」ということについて深い懸念が生じた。自分に向けては、自分の内面に存在する多重人格性を考え連ねて、それで、どれも否定することなく受け入れる覚悟が出来たように思った。
また、記憶が飛ぶほどにお酒を飲む(泥酔する)ことは、多重人格者の逃避と似ていると思った。飲み過ぎはいかんなぁと自戒している。「酒は飲んでも飲まれるな」である。
紙の本
自分の他に肉体を共有している人がいる
2001/08/24 19:36
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投稿者:なたね - この投稿者のレビュー一覧を見る
私は眠ったときに、自分の存在をどういう風に把握しているのだろう? ふとそんな風に思ってしまった。
多重人格の話であるが、本当にこんな風に全く違う人格が宿るものなのだろうか? それぞれに魅力的な5人がサリーの肉体を共有している。彼女は他の4人に宛てた日記を書き始めるが、他の4人もそれぞれに自分のことを書き始める。
それぞれ5人の不思議な人生をつまみぐいしながら読んでいるようで面白い進め方だと思った。
最終的にこの5人がどうなるのか、最後まで興味が持てる上質な内容の作品。