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この本が扱っている、いわゆるムネオ事件は僕が高校生の時の話なのですが、当時のワイドショーやネットから受けていた印象と実際に起きていたことの間に相当の開きがあるということが分かったのが一番の衝撃でした。
この本を読むまで僕はこの事件に対して田中真紀子の「外務省は伏魔殿」発言とかムネオハウスのMADとかムルアカさんとかそういった程度の認識しか持っていなかったのです。
書籍だけでなく新聞や総合雑誌のような活字媒体もきちんと読もうという気になったのはこの本のおかげです。
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当事者でありながら客観的かつ冷静に国家と検察の内情を描いており説得力十分。構成もバランスが取れており面白かった。
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「国策捜査」というものが本当に存在していることに驚いた。
「事件」は如何様にも作れてしまうという恐ろしさを感じた。
これは冤罪とは違い、同僚や上司らの保身、裏切りによって巧妙に罪が作られていくところが非常に危険だ。
それに真っ向から向き合い、筋を通そうとする佐藤氏に感銘。
西村検事とのやりとりは圧巻。
しかし、陰で動いているのは誰なのか。
小沢幹事長の捜査も「国策」なのか。
これからはマスメディアの報道に極力注意するだろう。
検察に利用されているマスコミの姿勢が正されることを願う。
佐藤氏の思想について、もっと深く知りたいと思う。
また小泉政権によって変化した日本はいったいどこへ行くのか、政権交代はどのような意味を持つのか、佐藤氏に尋ねてみたい。
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国策捜査の無茶苦茶さ,当時はわからなかった鈴木議員逮捕の舞台裏が(これがすべての真実ではないにせよ)わかった.
現在の小沢議員に対する捜査も本質はどこにあるのか,注意深く見てみたい.
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ロシアとの国交正常化のために尽力するも国策捜査の罠にはまったが、歴史に正確な記録を残すことを最優先した人の話。意識していないと週刊誌の中吊り広告とワイドショーが一番正しいと思い込んでしまう。鈴木宗男にいたっては「ムネオハウス」のイメージで、外務省のお金をつぎ込んだ極悪人、というイメージしかなかったし。「プライドが仕事のガンとなる。大きな目的を達成するためにはプライドなど邪魔でしかない」の一文に心を打たれた。今年は佐藤優を読破しようと思う。
「国策捜査=国の大きな節目を変えるもの」という考え方をすると、先の小氏氏の一連の騒動もちょっと違った見え方になる。
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元外務省の職員が書いた作品。国策捜査とは?本当に北方領土返還まであと一息だったのか?が良くわかる。私見では外務省の高官が実名で批判されているのが好感が持てる。
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トカゲのしっぽ切りとはよく言ったもので、佐藤氏のような人が外交の中枢から外されてしまう現実に閉口します。そして、「報道機関」というものにも、あらためて疑問を抱かせてくれました。本作のような訴えが、将来の日本外務省に変革を与えるものになると信じたいものです。興味を持たれた方は、是非一読下さい。
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著者はとても詳細に自分が逮捕されるまでを記録しており、まるでその場に居合わせたかのような臨場感を味わえました。佐藤さんのような有能な人材が国家の力によって潰されるのは国益に大きな損害をもたらすように思います。
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この人はそんなにすごい人なのかな? と思った。まあ相当なやり手ではあるけど、どこか本では表れない影の部分があるのだと思う。疑いながらも読むくらいが一番いい。ただワクワクしながら読める一冊。
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脳細胞がピリピリする。これは職業人には必読の書。自分の仕事に対する意識を改めたくなるし、もっと勉強しなければ、と焦ってしまう。ここ最近読んだ中ではベスト。
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私には、本書に書かれている内容のすべてを、正確に理解することはできなかったかもしれない。いや、素人にとってそれは不可能というべきだろうか。
著者は外交の、情報のプロである。
マスコミもある意味で情報のプロだが、著者の場合はその情報を収集・解析・そして工作することによって実際に現場で国家を動かす実務家である。
評論家ではない、第一線で活躍していた実務家だからこそ書ける、ソ連・ロシア、あるいはイスラエルとの政治的なつながりの現実。普通に生活している分にはまったく知ることのない世界が、本書では詳細に記録されている。いや、プロである著者にしてみればこれでも相当一般読者に配慮して簡潔に表現したり、機密に触れる部分は隠してあるのだろうが。
さて、本書の半分は上記のような著者の外交官としての仕事について書かれているのであるが、もう半分は著者自身も受けることとなった「国策捜査」について述べられている。
国策捜査とは、時代が転換点にあるとき、守旧的な考えを持つだれかをスケープゴートとし、変化の象徴、あるいは変化にブーストをかける役割を担うと思われる。そのターゲットにされた者は決して逃げることができない。
鈴木宗男と著者が主なターゲットとなった国策捜査「劇」の幕上げも幕引きも、本書では明言されていないが、「ある人物」の書いたシナリオに沿ったものなのだということは容易に想像がつくだろう。この国策捜査は
著者が指摘するように日本経済が「ケインズ型公平分配型」から「ハイエク型傾斜配分型」に転換するときに行われたのだから。
難しい本ではある。
しかし、ぜひ多くの人に手にとってほしい本でもある。
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昨日たまたま学問のすすめ(西部と佐高の番組)でお題になっていた。
西部は、本書の中で展開する物事のDramatisationに懐疑を示し、そこまで言うなら検察と徹底的に喧嘩すればいいのにと言い、佐高は国家が罠を仕掛けるのはある意味当然のことですよねと言っていた。
ハイエク対ケインズというような大きな物語と大きな力のうねりの構造を熱く語られても一歩離れてみると芝居仕立てに見えてしまうのは事実である。
改めて、西部って日本で数少ないまじめなインテリねと言うことを感じさせられた。
ちなみに私が2年前に読んだ時は大きな物語化に対して強引だなとは思いましたが、それなりに煽られたことも事実。ここに、古典を読んでおいて損をしないのは、それに対して人が言及しているときに自分である程度判断できるからだよねと当たり前のことを夜中の2時近くに風呂場で確認してうんうん一人でうなずいていたのでした。
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私が高評価をつける前提条件は著者にしか書けない本である事、です。
この本もまさにそれにあたり、よくぞ書籍化してくれたと感謝しています。
外交官の職務内容、政治と外交官の繋がり、ロシアの政治エリートの行動様式、著者の戦略家としての動き方、そして国家権力の絶対的な力。
普段普通に生活していたのでは絶対に知り得ない情報であふれています。おまけに文章も美しくて読みやすいです。
たくさんの見所にあふれている本書ですが、中でも一番考えさせられるのは366Pから368Pにかけて書かれている、著者と担当検事の国策捜査についての議論です。
担当検事は国策捜査の意義について、時代の要請として、国民の要請としてけじめをつけるために事件を作り断罪する必要があるためと説きます。
しかしここで問題なのは国民の要請が本当に国民自身の頭で考え望まれているものなのかという点と、有能な出る杭を打ち後進の芽も出なくなる事による国益の損失です。
既得権益を守ろうとする力なのか、日本国民の足をひっぱりたがる特性の総意なのか、ベクトルの源泉は分かりませんがこんな事をしている余裕はあるのかと思います。
とはいえ村木さんの一連の報道を見るにこのメカニズムもそろそろ破綻しそうですね。
しかし国民の要請、という話が真実であれば国民の情報リテラシーの向上により光が指すという希望が見えました。ネット世代が主役になる時、日本はまた力を取り戻すかもしれません。私もその一助になれるよう頑張りたいと思います。
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佐藤優の代表作。
国策捜査の対象とされ最後まで筋をとおして否認した態度はご立派である。やっぱり人間、最後は哲学がヒツヨーってことでしょうか。
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「鈴木宗男事件」。その“断罪”の背後では、国家の大規模な路線転換が絶対矛盾を抱えながら進んでいた―。『国策捜査』とは歴史の転換点なんだ。という事がすごくよく分かりました。
筆者と検事との攻防も見所です。 先日この本を読み返していました。あまりの面白さにしばらくこの本に没頭してしまいました。この本を読むとなぜ堀江貴文が現在『別荘』の中にいる理由が少しだけ分かったような気がいたしました。内容は大きく分けて2つに分けられると思います。前半部は筆者が外交官として外務省に勤務し、鈴木宗男さんとともに北方領土を日本に返還されるために文字通り東奔西走していた時期。
後半に入る前に田中眞紀子さんとの一悶着を経て筆者が小菅の東京拘置所に収監され延べ512日間に及ぶ拘置、独房生活の末、第1審で下された判決は「懲役2年6カ月、執行猶予4年」。著者は即日控訴の手続きを取った。と言うまで。そして保釈後。と言う構成になっています。僕は前半部を読んで政治家としての鈴木宗男という人間が僕の中で変わっていくのを感じました。この記事を書いている現在、彼もまた『お勤め』の最中ですが、必ずまた表舞台に帰ってきていただけることを心から願っています。
僕がもっともこの本の中で引き込まれたのが拘置所の中で筆者と担当検察官である西村尚芳氏との息も詰まるような攻防の場面で、筆者をして『尊敬すべき敵』と言わしめるように、怒鳴ったり、ゆすったりしないで、あくまで誠実な態度で筆者に接し、なおかつ全人格、全存在をかけて筆者と『知恵比べ』の静かな戦いを繰り広げる姿にはサスペンス小説をワンシーンを見ているかのようでした。
詳しいことはここでは一切省きますが、それと同時に『検察官』と言う人間がどのような思考パターンを持っていて、なおかつ事件の組み立て方、そして、落としどころに持っていくまでのプロセス、と言うものがまことに詳細なまでにつづられていて、これを読んでいると、『国策操作』と言うもので個人が組織にかなわない、と言うことを知りつつ、検察に徹底的に最後まで争った堀江貴文氏が本来執行猶予付の判決になるにもかかわらず、ああして長い裁判を経て『お勤め』にはいるに至った経緯、もしくは裏の事情、と言うものが分かっただけでも、この本を読んだ価値がありました。
今後、僕らも『もしかすると』こういったものにかからない、とは限りませんので、もしそうなったときのため、そして純粋に国家と組織と個人。その関係を見つめる、と言う点でも、きっとこの本は役に立つと確信しております。