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国策捜査とは、時代の要請に沿って法の解釈を変え、ターゲットを決めて事件を作り出し断罪する、それにより時代の転換を生み出す。
だいぶ事件も色褪せてから読んだが面白かった。
ここに描かれている事が真実かどうかは分からないが、
現状の対ロ外交、北方領土問題の止まらない後退を見れば、この国策捜査の結果、国益を棄損しているのはどちらかは明らかだろう。
が、また政治力による地方への利益再配分という旧来のやり方が時代遅れのものということもまた事実であろうと思う。
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鈴木宗雄さんの問題にそんな裏があったとは…。当時、私の周りは鈴木さんを悪く言う人が多かった。マスコミの言うことは、特にあそこまで大きく取り上げられることは、元々話半分に聞くようにはしているものの、それでもマスコミの影響力は大きい。鈴木さんの人間性自体を疑問視する声が大きかった。
ところが、筆者によれば、鈴木さんはなかなかによき人で、政治家としてもすぐれ、本当に日本のためを思って活動していたと言うではないか。
そして、一連の逮捕事件も、彼らの取り締まりを行った検察官自体が、これは「国策捜査」だと明言している。
そんな政治の世界、情報の世界というのは何なのだろう。
そのような何かの一部の利益構想のために国が動くと言うようなことは過去の話であるかのように思っていたのだが、とんでもなかった。これは現在でも行われていることなのか??? …まぁ、そうなんだろうなぁ。佐藤氏の裁判が現在も上告して進行中だと言うのだから。。。
何が真実なのか。
火の無いところに煙は立たぬ、と言う。
確かに本を読む限り、外交・情報収集の世界というのは完全に白い世界ではなさそうではあった。そう言う意味では、完全に事件の真実性を疑う必要はないのであろうが…何を信じていいのか、元々全てのことにはいろんな主観があって一元的に何かを断定することはできないといのは周知のところだが、本当に、何を信じるべきなのかが良く分からなくなる。
外務省等は日本のために国益を考えて一生懸命に働いているイメージがあった。もちろんそれは筆者も述べるように間違いではないだろう。一生懸命であるが故の何事かも起こるわけだろう。しかし、純粋な綺麗事だけではない世界が確実に広がっている気がした。
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この本をなぜ読もうと思ったのか、今となってはきっかけを思い出すことはできない。
おもしろすぎて、一気に読んでしまった。
もちろん、うのみにしてはいけないのだが。(あとがきで川上さんもそうおっしゃっている)
正直、この国だいじょうぶ?と不安になる内容ではあるが、逆にこちらは情報を受ける側として賢くならなければならないのだということを教えてもらったと思えばよい。
印象的だったのは、外務省幹部の次の言葉。
「新聞は婆さん(田中真紀子氏)の危うさについてきちんと書いているんだけど、日本人の実質識字率は5%だから、新聞は影響力をもたない」
ここまでバカにされちゃ、私は悔しい笑
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鈴木ムネオ議員と一蓮托生で捕まったあの外務官僚が書いた本。今月、文庫化されて書店に山積みになっていた。去年『インテリジェンス武器なき戦争』を出版後すぐに買って読み、その後あっという間にベストセラーになったのを見ていた私は、
「ああ、あの外務省のラスプーチンが書いた本ね、中身はどんなかわかってるよ」と、買う気はなかった。だが、目次だけのつもりで開いてみた。
「解説 川上弘美」とある。え、まさか。
文庫版になって、新たに加えられた解説を彼女が書いていた。「門外漢の私が身のほどしらずにも」と言いながら、「『いい本だな』と思った」と、きっぱり書いている。本文の方は読まぬうちにレジへ。
自分がいいと思っているひとが「いい」と言っている。これは最も間違いの少ない選択基準でしょ。
私は物語には3つのパターンがあると思う。
ひとつは文字通りの虚構。フィクションあるいはファンタジーである。「嘘ばなし」の名手川上弘美は、このパターンでは当代髄一の語り手であろう。
ふたつ目は、虚構ではあるが事実を重んじ事実に即して書かれたもの。事実でありながらドラマでもある事実を探しあてて書かれたもの。この流儀の第一人者は惜しくも昨年なくなられた吉村昭であろう。
最後は自分自身がドラマの主役であるパターン。劇的な事件の当事者が自ら書いたもの。ノンフィクションなのに自分が主人公の物語になっているもの。世紀の世界的ニュース、ゴルバチョフ失脚に当事者としてかかわったり、日本中が周知の事件の張本人が書いたこの本は、間違いなく第3のパターンの得がたい一冊だ。
ストーリーテラーとしての著者の腕前は一級である。川上さんもそれを認めている。
修羅場のような難しい折衝を幾度もくぐり抜けた著者だけが語りうる凄みのある表現も随所に見られる。
少しうんざりするほどに詳細に語られたこの本は、読み手がじっくりと是非を判断するためのよい材料であることだけは間違いない。当然自らの無実を訴える著者の主張の当否はともかくとして、マスコミが「悪」と決めつけたから、検察が「有罪」と主張しているから、というのを鵜呑みにするほど単純なひとは今時少ないでしょう。
判断は自分自身がじっくり見極めて行なうもの。
ひとの判断を信頼するにしても、そのひとの事を、やはりじっくり見極めていて初めて有効なのだと思う。
だからこの本、私は「いい本」だと思います。
ですが、私が「いい」と言ったからといって、簡単にあなたまで「いい」と思ってはいけません。いいですねっ。
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【新歓企画】ブックリスト:「大学1年生のときに読んでおきたい本たち」
戦後最強の外交官と呼ばれた著者は無実の罪と共に獄中に至った。国策捜査に巻き込まれた圧倒的に不利な状況でも、誰も恨まず悲観もせず、淡々と検察官と戦い続ける著者。政治家+官僚の力関係や、官僚を取り巻く環境など、公務員を志望する方や外交に興味がある方は読んでおくと面白いかもしれません。【K.H.】
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【読書】前々から読んで見たかった本を風邪でダウン中のベットで読む。著者は元外務省職員の佐藤優氏。彼の文章は雑誌等で読むことがあったが、本を手に取るのは初めて。知性に裏打ちされた文章能力と国益を最優先する国家公務員の真摯な姿勢をみる。特に注目はやはり幅広い教養。これが幅広い交友関係を生み、高度な情報収集能力を生むのだろう。これまで仕事の知識ばかりを持とうと思っていたが、それではダメだと痛感。仕事に分野にとらわれず様々な分野の本を読んだり、様々な人たちと会うことが人生の幅を広げ、人間的な魅力を増大させる。それが、結果として仕事の幅を広げてくれるかもしれない。
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佐藤優氏の本を初めて読んだ。
まずは、佐藤優の知識と分析力に驚く。
外交、官僚と政治家の関係、国策捜査、などほとんど初めて知ることも多かった。
昔の大国ソ連は崩壊し、中国は経済大国にのし上がった。この違いはどこにあったのか。ソ連と中国の歴史を勉強する必要あり。
小室直樹のソ連崩壊の予想も学ぶ必要あり。
この本自体、もう一度、丁寧に読む必要がある。
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読みやすくてまるで小説のような面白さ。このような大きな繋がりの中で大きな仕事をして、日本に貢献している人たちがいるんだなとまったく自分の知らない世界だった。この本を読んでから総合商社マンや国家公務員になった友人に日本のために頑張ってと思うようになった。
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ノンフィクションの作品なのであろうが、途中から小説の世界を見ているように、読者を作品中に引きずり込んでしまう作品だった。自分が被疑者として拘置所に収監され、(それも誰が見ても明確な犯罪を行ったわけでないのに)混乱もあっただろうに、西村検察官とのやりとりはもちろん、逮捕・再逮捕や拘留延長の手続きに関すること、拘置所職員の様子、拘置所の決まり等々、非常に客観的に書かれているのが、素晴らしかった。
国策捜査が当たっているかどうか、この作品だけではわからないけど、ニュースを見る視座が変わりそうだ。
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読み進むにつれ、ガンガン引き込まれました!! 今盛んに言われる『信頼』を存分に感じさせてくれるし、反面『人はココまで卑しくなるのか…(-_-)』と考えさせられます。 著者の精緻な文章に、とっても魅せられました。 別本も読んでみたいと思います♪
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大変面白く読んだ。外務省関連の人間の「日本人の実質識字率は5%」という発言は大変嫌味だけれど、私も含めて多くの人は自分の生活に夢中で、わかりやすいワイドショーや週刊誌の情報に洗脳されてしまいがちであるよ。としみじみ思った。作者は国益、国益というが、国益とはいったいなんなんだろうとも思った。しかし、北方領土問題や対露政策に対して、歴史的背景をふまえて知らなければ何もいえない。ということは、ほとんどの人は何もいえなくてやっぱり、一部のエリートにそこはお任せするしかないのだろうかとも思ったり。今更ながら、この事件も、新自由主義増長のはじまりのひとつとなっていたのねと思った。
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衝撃的だった。
作品の紹介
『自壊する帝国』で第38回大宅ノンフィクション賞受賞した佐藤
優、衝撃のデビュー作。外務省、検察庁、永田町を震撼させ「国策捜査」を日本
中に知らしめたた告白手記!
外務省元主任分析官は、政治と外交の最前線で何を見たのか?
有能な外交官にして傑出した情報マン──。国を愛し、国のために尽くしたにも
かかわらず、すべてを奪われた男が、沈黙を破り、「鈴木宗男事件」の真実と、
「国策捜査」の実態を明らかにする。
「背任」と「偽計業務妨害」容疑で逮捕され、東京拘置所での拘留生活は、なん
と512日にも及んだ。2005年2月に下された第一審判決は懲役2年6カ
月、執行猶予4年。しかし、男の闘いはまだまだ続く
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外交の仕事、国策捜査、独房生活など言葉は知ってても普通の生活では具体イメージが湧かない内容が、鈴木宗男騒動を通じて強烈なインパクトで描かれてます。
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外務省における佐藤優さんの仕事、鈴木宗男さんとの関係、鈴木宗男さんと田中眞紀子さんの闘いは何だったのか、そして外務省の内幕、これらを伏線として512日に及ぶ国策捜査に対する検察との闘いが抜群の記憶力で語られています。
佐藤優さんはその512日間に及ぶ独房拘留中に、学術書や哲学・宗教書を中心に220冊に及ぶ書籍を読破している。その並はずれた知識欲・胆力にはただただ驚嘆するのみです。
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著者の感情に支配されない冷静な判断力、明晰な思考力に舌を巻いた。
淡々と事実や考えが叙述される文章であるのに、読んでいる自分が怒りや悲しみ、驚きなどの感情を味わうのは不思議だと思った。
拘置所の中はどうなっているのか。私が全く知らないことも沢山散りばめられており、非常に興味深く読んだ。