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「恐妻記」といいながら「愛妻記」
2022/01/19 09:41
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投稿者:トッツアン - この投稿者のレビュー一覧を見る
昔から躁鬱病と言っていた北杜夫氏。子供の頃は、どんな病気かもよくわからず、面白い作家程度にしか思っていなかったが、双極性躁鬱病の結果どんな生活を送ってきたのかがカミングアウトされ、ビックリ!確かに、北杜夫氏の言う通り、折に触れ躁鬱と言ってきたので、なんとなく世間でも認知されているかもしれない。もっとも、北杜夫氏と狐狸庵先生(遠藤周作)の場合には、どこまでが本当か分からないところもある。ユーモアのセンスたっぷりの両者。本当のことでも、マァものの見事にサラッと深刻にさせずに読ませてしまう。北杜夫氏は謙遜して劣った作家と言っているが、性等アンタッチャブルなものに手を染めず、ガップリと四つに組む正攻法で表現する純文学等素敵な作品で一息に読ませてしまう最高の作家のひとりだ。
本編は、「恐妻」となっているが、私には仲の良い夫婦に思えた。勿論、奥様やお嬢さんにすれば、大変だったかもしれないが、奥様への愛情に溢れている。この世代の男性は、素直に奥様のことを褒めたり愛情表現できる世代ではない。それでも、言葉の端々に愛情と感謝が滲み出ている。
あれこれと要らぬ修飾語や美辞麗句の無い北杜夫氏の巻末の言葉がストレートでよい。男はこうでなければ。
久々に北杜夫氏の作品を読んだが、やはり面白い。自然淘汰されるのは仕方がないが、こういう著者の本は、亡くなられてまだ50年も経っていないのだから今しばらく絶版にせず、文庫本で全作手に入るようにして欲しいものだ。
単に、売れればよいといった読みやすい軽い本を出すのはどうかと思う。北杜夫氏の作品は重たい内容も、必要以上に重くせずに読みやすく、しかもシッカリと心に残る作品だから、もっと文庫本で読んでみたい。
紙の本
明るい闘病と夫婦の話
2009/03/31 00:51
5人中、5人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:トマト館 - この投稿者のレビュー一覧を見る
躁鬱病を含めた精神疾患に対して、
たくさん語られるようになり、
また、必ずしも暗い話ではなくなったのは(例えばコミックエッセイなどで)
北杜夫の功績がたいへんに大きいのは、
いうまでもないと思う。
わたしが始めて躁鬱病という病気の存在を知ったのは、これ以外の
北杜夫の随筆だったが、精神科医でもあった北杜夫の随筆だからこそ、
この病気に対しての認識が、かなり正しいところからスタートできたと思う。
本人はとってもつらいだろうけど、
笑える!明るい!闘病と夫婦の話なのである。
北杜夫の言動をさらりとかわす妻や娘の言葉がおもしろい。
こうなるまでにはかなりの苦労と時間がかかったのだろうなあ、
と思う。
病気にかかる前の、
結婚までの、新婚のころのマンボウ氏の話も、
ほほえましかったりでなかなかのもの。
とくに、奥さんの膝小僧がかわいかった、
というところが、印象的だった。
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ヒザ小僧がかわいいと思ってつきあいだした可憐な少女も、今ではかなりの猛女となった・・・
精神科医をやめ、作家になった北先生を影から支えた奥様のお話。
『どくとるマンボウ航海記』が大ベストセラーになり、売れっ子作家となった北先生だが、41歳にして突如躁鬱病を発病し、株で大損、借金まみれ
奥様の支えがなければ今の北先生はなかったと思う。
読んだことがある話が多かったけど、
北先生のハチャメチャな文章はいつ読んでも面白いw
ただ、作家の妻だけにはなりたくないなと思いました
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手癖で書かれた文章だとは思うが、読みやすい。
割と時系列も適当な感じなのだけれど、
気がつけば家族の始まりから終わりまで
しんどさを感じさせず、しっかりと見せてくれるのはこれもひとつの才能か。
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奥様との馴れ初めからのストーリーをご自身の作家人生、躁鬱人生と重ね合わせながら書いている。自分をネタにできる関西的な人だなぁ・・・それにしても躁状態時の株騒動の顛末は壮絶!でも長女由香さんのあとがきにちょっとジーンと来た。
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北先生が双極性躁鬱病だとは母親から聞かされていましたが、それでも結婚できるんだなぁとこれを読んで思いました。しかし北先生の奥様は強い!
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どくとるマンボウ航海記が楽しかったから読んでみたけど。
著者のことはよく分かったけど、読み物として楽しいものじゃないなあ。
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いつも、阿川弘之さんのエッセイに登場するので、初めて読みました。宮脇俊三さんと家が隣同士なんて、うらやましいです。
今度は小説も読んでみたい。
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【Impression】
「マンボウ愛妻記から変更されました」がマジなのか皮肉っぽくしてるだけなのか分からんけど、こういうのおもろい。
この人が躁鬱とは知らんかったけど、まぁ航海記よりは薄い内容ではあるけど、皮肉感が好き
やっぱりこういう夫婦関係の方が上手くいくような気がするなー、まぁ身勝手な注文ではあるけど
【Synopsis】
●北杜生、ドイツで出会った妻に関してのエッセイ。妻が進化していく様子が描かれている
●躁鬱病を境に夫婦関係が変化していく。しかし夫婦関係は破綻せず、修正に修正を重ね執筆時の状態に落ち着いていく。
●著者晩年の様子が描かれている。皮肉満載で。
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奥様への仕返しのような体裁の本書だけれども、
読み進めるとラブレターを読んでいるかのような錯覚が。。
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愛妻紀改め恐妻紀ととなるところが楽しい。氏が破天荒な人生を生きたか、その一端を知ることができる。躁鬱病の躁状態がいかに大変か本書で知ることができた。この本を執筆していた時も鬱状態だっんだろうな。氏独特のユーモアが少ないですね。
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【本の内容】
文学を志し、家庭は顧みず、結構モテて、わがまま放題。
そんな夫にも優しく尽くす、十歳年下の若い妻。
ハンブルクで出会って結ばれた二人の新婚生活は、圧倒的な亭主関白モードで始まる。
しかし躁病をきっかけにエスカレートした夫の蛮行には妻もブチ切れ、ついに大逆襲に-。
淑やかだった妻を鍛えた、壮絶なる四十年の結婚生活を回顧する、愛情エッセイ。
[ 目次 ]
第1章 夫婦の始まり
第2章 夫婦の逆転
第3章 夫婦の戦い
第4章 夫婦の折り合い
第5章 夫婦の晩年
[ POP ]
躁鬱病の夫は、ベストセラーは出すわ、株で借金はこしらえるわ、妻にすぐ「出ていけ」と言うわ。
結婚によってこれほど人生が変わってしまった例はちょっとないかも。
それでも北氏を支えられたのは喜美子夫人しかいないだろうと思わせる。
一風変わった夫婦愛に抱腹しつつ感動。
[ おすすめ度 ]
☆☆☆☆☆☆☆ おすすめ度
☆☆☆☆☆☆☆ 文章
☆☆☆☆☆☆☆ ストーリー
☆☆☆☆☆☆☆ メッセージ性
☆☆☆☆☆☆☆ 冒険性
☆☆☆☆☆☆☆ 読後の個人的な満足度
共感度(空振り三振・一部・参った!)
読書の速度(時間がかかった・普通・一気に読んだ)
[ 関連図書 ]
[ 参考となる書評 ]
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プライバシーの切り売りと見るか微妙なところですが、まぁ当事者が仕方ないと思っているなら、その読者と共犯関係が成立する訳で。
一つ言えるのは、自律性の欠落は日本の作家に長らく流れる良い意味でも悪い意味でも美徳とされていて、この作家もその流れにいるということかも。病というどうしようもない事実を勘案しても。