紙の本
日本をよくしたいからこそタブーに斬り込む
2010/08/07 15:37
8人中、6人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:MtVictory - この投稿者のレビュー一覧を見る
アイヌ、沖縄、北方領土、天皇など現代日本のタブーに迫ったシリーズ作。「ゴー宣」シリーズでは使命感に駆られていろんなタブーに立ち向かっている。単なる漫画ではない。文字も多いし、硬派だぞ。スパイスとしてのギャグも効いている。
まず先住民族としてのアイヌ問題については、現在の「アイヌ文化、アイヌ民族は政治的意図によってかなり人為的に作られている」と指摘。アイヌなる民族が無理矢理つくられ、日本国内に無用な民族的対立を生み出そうとしているという。それは「差別を再生産する」ことにつながると警告する。ましてやアイヌを自称し日本人を侵略者として糾弾し、犠牲者であることを強調して賠償要求するのは賢明ではない、と諭す(第5章)。
また、米軍基地駐留で犠牲を強いられる沖縄では「一部の者だけが恩恵を享受している」と、本土には分かりにくい沖縄の二重構造を明らかにしている。先の大戦での渡嘉敷島の集団自決に関してはNHKまでが事実と反する番組を制作・放送していると批判する。そうしたマスコミの不勉強さや怠惰に対して「本当に必要なのはマスコミ批判」だと、日本の異常なマスコミの状況を嘆く。第4章ではマスコミは疑問を持たず、空気に弱く、抗議に弱いといい、「覚悟あるジャーナリズム」の出現を希求している。そうした現状に対して、著者はゴー宣を通して「知識人の嘘を見破り、マスコミのデマと戦い、国や公のために描く」(第9章)。
著者の著作や発言を気に入らない輩による言論封殺行為、蔑視に対抗する様子を描いた章もある。鈴木宗男氏・佐藤優氏コンビとの争いも興味深い。それを漫画ネタにするのはどうかとも思ったが、裁判をちらつかせた言論弾圧に及ぶなど見過ごすことが出来ない状況にあったようだ。民主主義国家であっても、そういうことが行なわれていること、いつ我が身に降りかかってくるかも知れないことを理解しておくのもよいだろう。今回感じたのは、いずれの問題も根底には私欲が絡んでいるということ。弱者のふりをして利益を得ようとしているとしか思えないのだ。
間に漫画「おぼっちゃまくん」の「茶魔グッズの紹介」が挟まれているのはご愛嬌(私はおぼっちゃまくんは読んだことはない。従って面白いのかどうかは分からない)。
終章では「いつかゴー宣がいらない日が来るように」という、著者とスタッフとの対談が収録されている。著者はゴー宣を「日本を変えたい」という使命感で書いている。自分にしか描けないという自負をもって描いている。「一般の中にナショナリズムが溶け込んでしまえば」ゴー宣は不要になる、それが果たせれば本望だと言う。自分がやっているようなことを誰かに「奪って欲しい」とも思っている。タブーに挑む継承者、おかしいことには「おかしい」と堂々と言える者たちを求めているのだ。「最後は絶対に子供漫画に戻る」と本心も語っている。このままでは漫画が滅びるのではないかと危惧している。ゴー宣は一定の支持を受けているし、課題山積の日本の現状ではまだまだ「ゴー宣が要らなくなる日」は遠い。
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帯表
言論封殺を突破せよ!
アイヌ、沖縄、北方領土、そして天皇・・・
反日・反国家の謀略を見抜く−
帯裏
沖縄とアイヌ、ここに左翼が入り込んで反日・反国家の謀略が推し進められている。
デマを拡げ、異論を圧力で潰し、全体主義を作るのが彼らの手口だ。
油断してはならない!
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アイヌ先住民族決議・沖縄集団自決軍命令問題・「言論封殺魔」こと佐藤優・廃太子などテーマは多岐に渡るが、タブーを巡る全体主義を問題としていることがが書名の副題にも表れている。
描き下ろし作品一本アリ
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知らないことをまたもや教えてくれたよくできた本。
要は、「知らないほうが差別なんて考えが出ない。知ってしまうから差別なんて考えが出る」ってことかな。
この本読むまで、「アイヌ」って言葉自体とうの昔に忘れてた。
この本を読んだことで「アイヌ」のことを知り、それを喰いモノにするしょーもない奴らがいるということを知り・・・。
という感じである。
で、何なん?結局、訳の解らん奴らが勝手に騒いで自分たちで差別を産み出してるんじゃないの?
まさによしりんが危惧している通りの思考を持った自分がいるわけだ。
正しいことって何なんでしょうね?
よく分からなくなってきた。
この世に正しいことなんて無いんやろーか。
言論封殺魔・・・。
いっちょ前の事言ってる割には、やり方が汚いんだねぇ。
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簡単に踏み込むことのできない日本のタブーについて取材しておりなるほどと思わせられる。内容自体はタブーをテーマにしているだけあって目からウロコなものが多く勉強になった。
だが、作者である小林よしのり本人がこの問題を取り上げたモチベーションは一体どこにあるのだろう。なんだかそこが気になった。
読んでいると「自分はこんな苦境に立たされているがそれでも頑張った」「大変な取材だったが自分はみんなの為にこれだけ苦労した」という自己アピールや正当化が延々続くような箇所や、仮想敵に向かって言い訳めいた罵倒を吐き続けるような箇所がいくつもある。一見言っていることはまともなようだが、どうもそれらを読んでいると作者が今回「日本のタブー」という問題を題材として選んだ理由は単に「その時たまたま目についた新鮮で美味そうな食材だったから」というだけに思えてならなかった。
作者はこの本で取り上げているタブーとなった問題に対して特筆するような主張をそもそも持っておらず、単に「世間から褒められたい、認められたい」という欲求だけが先行して存在していて、その願望を叶えるために一番適した材料が今回はたまたまアイヌや沖縄の問題だっただけなのではないか。作者自身はこの問題についてどうしたいとか、どうあるべきといった情熱や意見など本当は持ち合わせていないのではないか。そんな風に感じた。
そのような欲求が作品上にむき出しになっていること自体はスタンスの問題なので、悪いことではないのかもしれない。僕は小林よしのりの作品をあまり読んだことがないが、それこそが彼の味でその姿勢こそが面白いポイントであるのかもしれない。
ただ、自分にはどうも合わなかった。
ページの至る所にこめられた作者の怨念のような「褒められたい」「認められたい」がノイズにしか感じられず、本題とは別の部分で心底げんなりした。
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この著者は佐藤優なるグロテスクな存在に対する警戒を早くから明らかにしていた。矢張り「賢しら」を見抜くずば抜けた力がある。それは著者の義侠心というよりも、極めて清冽な志によるものである。
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他者との誹謗中傷合戦について多くが割かれているので読んでいて不愉快.
思想以外の個人攻撃をたくさん書くと質が落ちると思う.
冷静な書き方をして欲しい.
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これまた氏の視点から見た社会の闇が大爆発。
いつもながらお見事。マスコミが本来の力を発揮してくれればいいのに、
堕落しきってるから、ジャーナリズムに彼の様な人がいるのは貴重。
彼もまた「強い」からこそ、ここまで切り込める。
今回の問題は、「『自称』アイヌ民族」、そして「全体主義の島、沖縄!」。
声が大きいものに従ってしまうのでなく、徹底的に議論できる
何かを自分の力にするのも読書、そしてそこから生まれる習慣の魅力。
漫画から取り入れたのは大きな収穫。
今後もゴーマニズム宣言に注目していきたい。
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チェック項目6箇所。アイヌ系同士の夫婦は数%しかいないらしく、アイヌ系と「和人」(非アイヌ系)の結婚が90%超だというのだ。北海道の歴史の区分は「日本史」とは異なる、日本史では、紀元前3~4世紀頃、縄文時代から弥生時代に移行する、しかし寒冷な北海道には稲作が定着せず、ついに弥生時代が来なかった、金属器のみが本州から伝わり、それ以降を北海道史では「続縄文時代」という。旧石器人・縄文人の子孫に、樺太、千島、そして本州からやってきた人々が混交して形成されたのがアイヌであり、アイヌ文化とそれ以前の擦文文化をはっきりと峻別することはできないのである、古代から北海道は「人溜まり」の地であり、様々な民族が混交する場所だった。アイヌ教育財政は非常に苦しく、アイヌ学校の教員は一般教員の2/3から3/4程の薄給だった、自動には文房具などを買えない貧しい者が多く、教師がその薄給から自腹を切ることもままあった。アイヌの修学率が上がるにつれ、分離教育が差別教育と批判されるようになり、アイヌ学校は次第に普通学校と統合され、大正末にはほぼ全廃された、差別の解消と同化の達成は表裏一体だったのである。赤松隊長は、戦後、「自決命令をした」という濡れ衣を黙って着た、「軍命令に従った」ということにすれば、島民に「遺族援護金」が支給されるからである、全国の空襲の被害者には一円も出ていない、原爆の被害者でさえ、厳しい審査を経て治療が受けられるだけである。北方領土は、当時有効だった日ソ中立条約を破って侵攻したソ連が不法に占拠した、島は拉致されたのだ、ソ連は、原爆まで投下されて、満身創痍の日本に宣戦布告、千島列島に上陸したのは日本がポツダム宣言受諾を表明した後の1945年8月18日、北方領土を占拠したのは戦艦ミズーリの調印式の後、9月5日だった。
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「タブー」というタイトルであるが、「アイヌ」、「沖縄」に関するものが中心。
その内容には非常に共感する。
しかしそれよりも、、鈴木宗男、ラスプーチン佐藤優に関する批判が大部分をしめており、作品としての質を下げる。