紙の本
物語の中に・・・
2019/01/12 20:32
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投稿者:ケロン - この投稿者のレビュー一覧を見る
物語の中に入り込んでしまうというのは、エンデの物語でもありますが、こちらはよりダークな感じ。
でも希望があって、素敵なお話。
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読み終わってもう一度表紙をみると登場したあれやこれやがみてとれておもしろい。
大変おもしろく読んだ。
グリム童話とか、よく考えると残酷なとこも多いわけだが、
そのへんの残酷っぷりがこれでもかっ、というほどに。
あと、ヨーロッパの暗い、なにかオソロシイものがいそうな森のイメージの中で物語が語られてる感じ。
主人公がゆく世界の森は実際危険極まりないわけだが。
母を失わないための、デイヴィッドの”決まりごと”がせつない。けど、なんかわかる気がする。まあ、実際のところそーゆー経験はないケド。でも、木こりさんの
どうせやるなら、虚ろでない”決まりごと”にした方がいい、という意見がすごく心にきた。
いやーいいこという。
なのに、狼に引きずられていって、うぎゃーっとか、思ったのだが、ラスト思わぬ再会に嬉しさこみ上げる。
童話の世界へ、という設定の場合、その世界が童話そのものの場合と、実際は・・・という場合があるわけだが、これは後者。しかも、かなり救いのない。
ルンペル~というキャラクターは海外ドラマで初めてきいた名なのだが、あっちでは有名なのだろうか。
どっちにしろあんまりいいキャラクターではないみたいだが。
ここでは悪逆非道そのもの。ねじくれ男、とはデヴィッド名づけだが、その薄気味悪さをよく表している。
読後感としては、主人公の成長を見届けたという意味で読み終わったーっという充実感ありだが、そこここに散らばる死や血の匂いに、これは低学年くらいで読むと結構トラウマ的なものになるのかしら、とも心配にもなったり。狙われるのが子どもなだけに、痛々しい。
童話の騎士が求めるのが姫でないという設定はなかなか斬新なのでは?近所で殺された子の話が伏線にはなっているのだろうが、そーゆー偏見はやはりあるのだろう。
同性愛と変態は実際は全く違うものだけどね。
ねじくれ男の讒言もありデイヴィッドとローランドの間に一時わだかまりができるわけだが、
そこを乗り越えることができてとてもよかった。
一時でも心の底から誰かを憎むことはあるかもしれない
それでも、その時に彼のものからの声に耳をかすのか、拒否するのか。
願わくば、後悔する決断はしないで生きたいものだ。
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アイルランドの作家ジョン・コナリー、2006年発表の小説。グリムやペローで有名な様々なメルヘンをグロテスクに変容させた世界での少年の成長物語り。とっても良いです。
第2次大戦下のイギリス、ロンドン近郊でのお話し。母を亡くした物語り好きの少年が、父親の再婚相手や生まれたばかりの弟になじめず孤独を深めていく中、本から聞こえる声や亡き母の声に導かれて異世界に迷い込みます。そこは人間の醜い真実を映し出すメルヘンの世界。赤ずきんから生まれた人狼が人々を襲い、醜悪な白雪姫がずる賢い小人たちを虐げ、眠り姫は救いに来る騎士たちの血を吸って生きながらえています。人狼に追われながらも、少年は元の世界へ帰る道を探して王様の城へと困難な旅を続けるのですが・・・。
新しい知見や驚きがあるわけではありませんが、グロテスクなメルヘン世界は見事だし、何の救いも報いも無い、苛酷で醜い世界で、それでも「正しく」生きようとする少年を描いて胸に響く作品です。
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図書館で借りましたが、読み返したいので自分で購入を検討中です。本や本好きが出てくる物語、物語の中へ主人公が入ってしまう物語(確か枠物語)が好きでこの本も似たような話かなと思い読み進めていました。しかし、今まで読んできたお話のような空想の世界というよりも現実っぽさ、大人っぽさが強く感じられました。訳者あとがきを読んでわかったのですが、デイヴィッドの心の成長過程を描いているから子どもっぽさと大人の雰囲気が混ざった世界が描かれているのですね。内容も気に入りましたが、「The Book of Lost Things」を「失われたものたちの本」と訳してあるのも素敵でした。
戦争の経験はもちろんないですが、人々の心にに曇り空や灰色、靄がかかってしまうそういうイメージをこの本から受け取りました。トーベ・ヤンソンのムーミンの話からも同じイメージを受けました。
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舞台は第二次世界大戦下の英国。12歳のデイヴィッドは、母親の死をきっかけに、本の囁きを聞いたり、不思議な王国の幻を見たりしはじめます。死んだはずの母の声に導かれ、赤ずきん、白雪姫といったおとぎ話に登場する人物や怪物がうごめく、物語の世界に迷い込んでしまいます。元の世界に戻るためデイヴィッドは…。
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ホラーとおとぎ話と少年の成長譚が絶妙な匙加減で同居している本。
タイトルと表紙に惹かれて手に取ったが、とても良かった。
題材の取り方も素敵だし、主人公の心の葛藤(母を喪った哀しみ、新しい家族への嫉妬、父親への失望等)の描き出し方が素晴らしい。
迷い込んだ世界のグロテスクさがまた、この作品を薄気味悪いものにしていて、ただのファンタジーでないところに好感を持った。
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図書館で。
児童書のようでいわゆるおとぎ話的王道を踏まない現代風なおとぎ話というか。人の死とか痛みや飢えがえらいリアル。
一言で言うと「この世界は残酷だ」なんて某漫画の台詞が頭をよぎるようなリアルさがあるお話でした。
それにしても主人公が可愛くない(笑)。でも最愛の母を亡くし、同士だと思って居た父は早々に変わりを見つけ(そうではないだろうけど子供にはそう見えるよなぁ)世の理不尽さに不貞腐れている子供らしさが非常にリアルでわかりやすい。そんな子どもらしい、子供だからこその残虐さや残酷さに付けこもうとする負の存在が居たとしてもおかしくないなぁと思わせる説得力がある。
彼が自分の悪夢と立ち向かい、仲間と共に困難を克服するけれども安易なハッピーエンドに終わらない辺りが今どきの児童書だなぁって思います。
確かに善意や愛だけではどうにも守れないものはあるなぁ。面白かったです。
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宮崎駿監督推薦ということで読みましたが、児童小説ってこんなに重かったっけ?という内容にびっくりいたしました。
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冒険に入るまでが長い。
もう一つのおとぎ話が面白かったです。でも、めちゃくちゃ惨殺描写が多いのが凄い。これ、12~18歳くらいの若い読者に読んでもらいたいとありましたが、わたしはお勧めできない。美しい物語という印象よりも、首がちょん切られ
血しぶきがどばーな、鮮烈な本でした。
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知っている物語がアレンジされてたり…。
木こりさんと、ローランドが好きでした。最後ちょっと泣けました。
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本好きなら一度は思ったことがある「物語の世界に入ってみたい」という願いをかなりブラックな形で叶えてくれた物語。
主人公デイビットは最愛の母の死、父親の再婚と新たな兄弟の誕生という子供には辛すぎる体験をし、さらに時代は第二次世界大戦中。
これらの事が重なり物語の世界へと足を踏み入れることになったデイビッド。
この物語の中の世界で現実に負けず劣らずの辛さを体験してデイビッドはゆっくりと、そして早く成長していきます。
かなりブラックな内容ですが、ちゃんと救いはあるので大丈夫です!
読み終わったあとに再度表紙イラストを見て「あぁ、これはあのシーンだな、あの人だな」と思い返すのも楽しい。
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母の死と父の再婚、義理の母との関係と異母弟への複雑な気持ち。本をきっかけに異世界に入り込むという、映画ネバーエンディングストーリーのような、でも断然ダークな雰囲気のお話。全体を通して仄暗い雰囲気。
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王道のストーリーだった。
そして予想以上にグロかった。
ここまでグロくする必要あるか?とは思ったが、狩人編は手に汗握る展開でビジュアル的にも面白かった。
ケルト神話民話的な雰囲気。
しかし男性性のキャラクターと女性性のキャラクターの扱いが違い過ぎたのはちょっとモヤってしまったなー。
話が通じないタイプの、物語の装置っぽい悪役はことごとく女性。継母からの反映だろうとは思うものの、女性作家だったらこうは書くまい。
同性愛者を出した意味はなんだったのか?
タイトルに本と付いてるけれど、本はそれほど筋には関係ない。
色んなファンタジーの名作を思い起こさせる物語ではあったけれど、私が期待していた内容とはちょっと違ったかな
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抑強扶弱っていう話。
庇護するべき者を庇護せず、自分の想像の世界に籠っていては大人にはなれない、と。
児童文学っぽいけど残虐な描写はしっかり残虐に表現されていて良かった。
p. 326取引。それはねじくれ男にその子供の名前を伝え、自らを破滅へと追い込むこと。本当ならば守ってやらなくてはいけない、か弱い弟妹や友だちのような、自分を頼もしく思い信頼し、尊敬し、いずれ少年時代が終わって大人になるまでずっとそばにいてくれる誰かを裏切ってしまった苦しみに付き纏われながら生きる、権力なき支配者になることなのです。一度その取引を交わしてしまえば、もう後戻りはできません。自分の犯したひどい過ちを知りながら、懐かしい暮らしに戻ったりすることは、誰にもできはしないのです。
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スタジオジブリの「君たちはどう生きるか」を観て、原作は本作であると聞いたので読んでみた。
設定は映画とかなり近かったが、異界の表現は違った。異界の表現がかなりグロくて読むのが辛かったが、読んで良かった。