紙の本
結末に満足
2023/12/04 09:57
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投稿者:ふみちゃん - この投稿者のレビュー一覧を見る
レイラ・スリマニ「ヌヌ ― 完璧なベビーシッター」(2016年)、ミシェル・ウエルベック「地図と領土」(2010年)、マリー・ンディアイ「三人の逞しい女」(2009年)と数え上げたらきりがない。タイトルは「天国で。。」だから主要人物の誰かが冒頭で死ぬのかなと思ったらなかなか死なない(死にかかった人はいたが)、なんだ死ぬ死ぬ詐欺かと思っていたら、最後に悲しい死が待っていた、悪党・ブラデルを最後どうやって始末するのかという期待は満足できる形でかなえられた、主人公、マイヤールの結末にも満足である
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神はいたか
2021/10/07 10:48
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投稿者:Koukun - この投稿者のレビュー一覧を見る
1 ) 何かスッキリしない結末だったが、あの極悪非道の男、プラデルが、一文無しになり、近親者すべてから見捨てられ、神からも見放されたことで、反対に神はいたのか、と思えた。
欲を言えば、プラデルの部下殺害の罪を追求する場面があれば、さらに溜飲を下げることができたのにと、物足りなさが残った。
2 ) 人は死んだ時に一番大切に扱われる。戦死した兵士たちとなれば、尚更だ。国中で、戦死者追悼記念碑を作る話しが湧き上がる。この気運を利用して、金儲けを企んだのが、負傷しながらも生きてパリに戻った二人の兵士、エドゥアールとアルベールだった。どっちみち生還した兵士たちには冷たい社会なんだ、ズルをして大枚手に入れてとんずらしたってかまうものか。
3 ) 自分がエドゥアールとアルベールだったら、、、、、確かに、詐欺は悪いことだが、理不尽な世間をギャフンと言わせたい気持ちになるのは、充分理解できる。
4 ) 役人メルランの人生は、地味で面白みに欠けるが、筋が通っていて、こういうの、うん、いいかもしれない、と考えさせられた。後々、目の前の大金をあきらめた夜のことを、何度も思い返すことも含めて。
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下巻。
上巻と比べるとサスペンス度はやや下がり、一般文芸らしい内容だった。但しネタバレには気を遣うw
収まるべきところに収まった、と言ってしまえばそうだが、かなり切ないラストシーンだった。
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これまでの作品とは全く趣を異にしており、ミステリーですらないと言ってよいと思う。あえてジャンル分けするならば、冒険大河小説というべきだろうか。人間の持持つ純粋さと愚かさがテーマなのだろうと思う。自らの持つ純粋な部分を受け入れない愚かな人々に対して、その純粋なるもの利用して一矢報いるという、かなりストイックな内容であるけれど、テンポの良い文章で一気に読める。おどろおどろしい描写もないわけではないが、本作ではあくまで脇役になっている。
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ミステリィではなく,史実に基づいた詐欺事件を,あくまで市民の目線からフィクションとして描いただけなのだが,そこには第一次大戦後の自国の歴史を顧みると決してフィクションで片付けられない痼りのようなものを教養のあるフランス人は共有しているのだろう.だからこそ,登場人物の誰かに投影して,緩急織り交ぜた筆致と共に,物語に引きずり込まれる.一気に読了するが吉.
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二人が手を染めることになる詐欺、本当の被害者って誰なんだろう。政治の中枢にいる人、経済の中心にいる人……目に見えることが淡々と描かれている感じ。時折表れる情感は急にカラーになって見える。エドゥアールは最後に何を思ったんだろう。
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うーん、これでゴンクール賞?というくらい、中身の薄い本。まあ、フランス人には馴染みの深い話題が織り込まれているところが人気の元なのだろうが、無理やり話を引き伸ばして原稿料を稼いだ感があり、結末も陳腐。図書館で借りて正解、買っていたら激怒するところ。
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戦傷で結びついた二人の貧しい元兵士の若者が、
企てた国家を揺るがす詐欺事件と
兵士の上官だった男の戦時中、戦後の
犯罪行為がどう絡み合って、上官の犯罪を暴くのか、
とミステリー的読み方をしていたが、
何にでもおびえこそこそとしているが
夢見がちで子供っぽい、アルベール
ギラギラした再興の欲望、自己顕示を
恵まれた外見で隠しながら、セコい小悪党が
本質に流れるプラデル。
父であることを息子の戦死後知り、
葛藤するペリクール氏、
女の強かさと母の強さを発揮する姉、
愚直な正義を芯に持つ臭い役人、
そして、自由と反逆と頽廃のエドゥアール。
全然異なる人間模様が繰り広げられ絡み合い、
一つに収まっていった。
フランスと知って読んでいるから以上に、
フランス映画的な終わり方と、私は感じた。
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父と息子が再会できるのか、と思いきやこの結末、、。やっぱりルメートルですね。切ないけど、これでいいのかも。ラストはテンポよかった。もう少しコンパクトにしてもよかったかな。
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今までで一番良かった。。
もやもやも、しなかったし。みんな、落ち着くところに落ち着いた感じ。
全体的には暗い空気を感じるのに、読み終えた後は幸福感が広がった。不思議。
そしてタイトルの切なさが、ひしひしと…
待ち合わせしていたのに、エドゥアールが来なくて、アルベールが泣いてしまったシーンで、私もうるうる(T_T)
ペリクール氏の安らかな最期も、ほっとした。
そして、最後の最後に、メルランの退職後にほっこり。報われてよかった。
エドゥアールって、本当に天使だったのかも。純粋…
美しい死に様。映画のワンシーンのように、私の頭の中に映像が流れたわ。
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上巻、第一次世界大戦の描写の時点で面白いのだけれど、いまいちノってこなくて読み終わるのに時間がかかってしまった。下巻の中盤くらいから漸く、次へ次へと頁をめくる速度があがってきました。ミステリではないルメートル、今後も読んでみたい。最後はじーんときました。
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第一次世界大戦で九死に一生を得た男たちの物語。
第一次世界大戦後、上流階級に入り込んだ中尉と偽名で生き延びて社会の底辺を生きる二人組の対比から、その二人組の性格の違いの対比という二重構造的な構成や、国家的行事に絡む詐欺事件をそれぞれが起こすという対比の三重構造的な展開が見事です。
ラストは追うものと追われるもののサスペンス的展開になっていてドキドキしますし、エピローグで主要人物たちのその後が説明されていてそれなりにハッピーエンドでホッともしました。
エピローグのルイーズの記述に意味深な説明があるのですが、続編?があるなら読みたいと思います。
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長身ハンサムなだけのクズな上官だったブラデルの運の良さもここまで。落下の人生になり、マイヤールとエデゥアールの詐欺は国家を巻き込む事件に発展。エデゥアールの姉の強さとしたたかさ。エデゥアールの父親の愛情。ラストは切ない。この切なさは、その女、アレックスを読んだ時にも感じた切なさだ。
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帯に皆川博子さん推薦とあったので手に取った。
ハヤカワ・ミステリ文庫ですが、ミステリというより文芸(ざっくり)といった印象です。
彼らがどういった因果関係を形成するのか、手は放すのかどうか、そのあたりが特に気になったので一気読み。不条理さは引きずらないが、もの悲しい…。
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(15.12.26)
戦争末期。野心をもった上官プラデルに命を奪われそうになったマイヤール。偶然にもその命を寸前で救うも、直後に自らの顔下半分を失ったエドゥアール。
戦後も続くマイヤールとエドゥアールの悲惨な生活。
エドゥアールの父は莫大な富をもつペリクール氏。死んだと聞いて初めて息子への愛に気づく。さらに娘のマドレーヌは、プラデルの妻ともなる。
複雑に絡まる人間関係。富と名誉。欲と憎しみ。戦争の影が潜む暗い作品。ある意味では、若干の温かみが残るものの、人間の暗い部分が描き続けられている。
ただでさえ、切ないクリスマスだったっていうのに…こんな時期に読むんじゃなかったな…