紙の本
憎しみは消えない、、、と私は思う
2016/12/17 13:01
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投稿者:yuhki - この投稿者のレビュー一覧を見る
私なりには姜尚中先生が言うようには行かないと思います。姜尚中先生がテレビにこの前出て、元気なお姿安心いたしました
紙の本
悪は虚無感に宿る
2015/10/12 19:55
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:キック - この投稿者のレビュー一覧を見る
本書は、「悪」という観念について、哲学的思索に誘うという本でした。
全体を通して、キーワードは「虚無」でした。ただ、この虚無という言葉が難しいのですが、「人生の目標がなくなり、生きている意味が分からなくなる状況」ということでしょうか。この状況に陥ると、自分と世界とのミゾが生まれ、世界への激しい憎しみへと結びつき、最終的には自分あるいは他人の破壊衝動に行き着いてしまいます(128ページ)。
そして、「安全」「正義」「自由」が悪の配分を決める要素(119ページ)ですが、「私たちの社会は、安全と正義、自由が歪められ、危機に瀕している(123ページ)」とのことです。確かに、イスラム国や中国、ロシア等の横暴を誰も止められないという現実を見せつけられ、さらにはネット社会の浸透で、従来の道徳マナーが通用しない世界が広がり、「何でもアリ」みたいな風潮となりつつあるような気がします。すなわち「悪」の台頭です。
それでは、この「悪」に対し、我々はどのように対峙すれば良いのでしょうか。姜氏は「人間を信じ、自らを世界の一部と感じ、共生のモラルを実践するところにしか、悪の栄える時代に生きる術はありません。それは、自分を見つめ、自分が自分を越えた何者かに繋がっていることを確信することです(175ページ)」と、対処策を示していますが、具体策に乏しい印象です。
本書を読んで、個人的には「足るを知る者は富み、強めて行う者は志有り」という老子の言葉を、国家規模で実現し、強欲資本主義的発想から脱皮する必要があると思いました。しかし、世界全体が、強欲資本主義のためなら何でもアリという流れにあるような気がしますので、すごく嫌な予感がします。
電子書籍
悪の力
2016/05/15 14:32
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投稿者:やっさん - この投稿者のレビュー一覧を見る
目を覆いたくなるような事件が世間を賑わせる中、同情はするけど、自分と関係のないことだと切り離さず、我々が出来ることを考えなければならない。
ネットではびこる批判の投稿を目にすると、世の中にはたくさんの悪の力予備軍がいることを感じさせられる。
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自分の存在自体が空虚で不安であるとき、その空っぽを埋めるようにあくが忍び寄ってくる。
自分が世間の一部であるという実感が、アイデンティティーとなり空虚感を満たす。しかし、資本主義社会では、自分だけが頼りで自社が勝ち残るという思想を教え込まれ、孤立し空虚になりがちである。
世間の人間関係の中に、もっと入り込んでいくことが、悪をなくす方法である。
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世の中にはびこる悪から根源的な悪にまで解説している。
悪に対抗するには悪について考え続けるしかないのかもしれない。
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いままで読んだ姜さんの本の中で
一番よかったと思う本です。
どれも面白いと思うことが多いのですが、今回の本は
とてもいいと思いますし、大げさにいうと感動します。
悪とは何か?悪はどのように生まれるのか。
最後の「第4章 愛は悪の前に無力か」とエピローグは
その中でも秀逸。内容は書きませんが、一文一文が
とても感慨深く、美しい言葉であり、感動で震える
感覚があり、とてもいいと思います。
また『ヨブ記』やドフトエフスキー『悪霊』
『カラマーゾフの兄弟』は読んでみたいと思いました。
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著者の本は初めて読んだが、かなり期待外れだった。
悪についてもう二段、三段掘り下げた考察を期待していたが、「悪を探す名著紀行」の様な展開で、著者の悪に対する見解は上っ面だけのものにとどまり、後は聖書や古典文学に語らせて終わり。
本人の考えをもっと聞きたかった。
敢えて議論の対象の定義を狭くして自分の知っているごくごく狭い世界に読者を引き込み、その世界の中だけで語られた感じ。
資本主義が悪を培養するという説はいただけない。社会主義でも官僚の腐敗や一部特権階級への富の集中は厳然としてあり、資本主義が悪を生む根本原因とは考えられない。悪を生む原因はもっと深い所にあるはず。
ここまで言うと失礼だが、本を読んで世界が広がるのではなく、逆に世界が狭くなる珍しい本。
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今現在の、世界中の社会に立ち現れた悪意が起こした事件の様相を紐解きながら、悪とはそもそも何か、私たちは悪に対してどう抗って行けるのか、悪に負けないための共生という考え方などを説いています。
新書版であり、エッセンスだけを本書に込めたとのことですが、厚み以上の濃い内容です。
「人は大きな虚無に捕らえられたとき、自分であれ、他人であれ、死への刃を振るいたくなるのでしょうか。」
この一文を読んだ時ぶるっと震えが来ました。
「空っぽ」の中に悪が巣くう。言い得ていると思いました。
これまでの「力」シリーズのように、多くの世界や日本の文学が引用されています。純文学(一部ですが)へのブックガイドとも読めます。
著者のおっしゃるように、悪の連鎖がいつか人間的な連鎖へ全て変わっていく希望は持ち続けて生きたいものです。
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悪は拠り所ない空虚な心に宿る、という指摘は
新しい考え方だったが得心した。
悪事を働いて世間に迷惑を掛ける行為は、
自分の存在を知らしめたい→社会と繋がりたい
という気持ちが、負の方向へ発露してしまったもので、
結局はコミュニケーションを欲している。
陳腐な言葉だが、人間は他人との関わりなしには生きられない
というのは不変の真理だと改めて思った。
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古典などの紹介がたくさんあったのは嬉しいけれど,それらと冒頭で並べた犯罪との結びつきがよくわからなかったような…。単なる古典の書評だけにとどめたほうが良かったような気がしますが,私が理解しきれていないだけかもしれません。
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「悪の力」
姜尚中の悪に対しての考察である。
古くは聖書から、その他古典的な文学から考察した悪に対しての考察である。
キリスト教的な考えが強く、ベルゼハブやヨブ記についての考察が印象に残る。
そして、資本主義が悪を生み出す根源ととらえているようで少々行きすぎのような気もする。
しかしながら、空虚に悪が忍び寄るというのはわかるような気がするが、人間はそれほど高潔なものでも悪魔的なものでもないだろう。
むしろなぜそういう悪の考えや行動が生まれるのかの科学的な知見が必要なように思える。原罪だの心の闇などと言っても何も解決にはならないし、そもそも解決できる問題なのだろうか。
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悪の代表として、イスラム国の残虐非道ぶりを取り上げていたが、もっと言及してほしかった。彼らのしてることは宗教における原理主義でもなんでもなく、意味のない非道極まりない暴力集団にしかすぎず、到底許せるものでない、どうして他国は彼らをのさばしておくのか、理解に苦しむばかりだ。とにかく私は許せない。
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タイトル借り。本書では中村文則氏の作品からも抜粋がありましたが、悪とか神とか、説明不可能な土着性とか、そういったにおいのする内容の本にひかれます。
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悪は病いである。愛するにも憎むにも他人が必要です。しかもその一人一人の田shが自分と同じように自由な存在であるとすれば、悪は人間の自由と他者の共存という、永遠のテーマとかかわっているのです。
これが結語である。それまでは散漫な展開。初めての姜尚中の著書だががっかりだった。
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破壊。破滅衝動。革命。達成感。そして空虚。
悪は病である。「安全」「正義」「自由」これだけではないだろうけども、環境と人間の繋がりは依存すると思う。
語ったり論ずるにはいいテーマだが、事件の詳細には怒りしか湧かない。これからも理解しなければいけない衝動だ。