- 予約購入について
-
- 「予約購入する」をクリックすると予約が完了します。
- ご予約いただいた商品は発売日にダウンロード可能となります。
- ご購入金額は、発売日にお客様のクレジットカードにご請求されます。
- 商品の発売日は変更となる可能性がございますので、予めご了承ください。
紙の本
考えるって面倒だね。
2016/01/25 20:35
5人中、5人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:朝に道を聞かば夕に死すとも。かなり。 - この投稿者のレビュー一覧を見る
固そうな題名ですが、読みやすいエッセイになっています。ある日、野矢さんの授業で、理系の学生さんが来て、「哲学の授業で何を学びばいいんですか?」と尋ねてくるエピソードがあります。で、野矢さんは、ご自身が理系出身でもあり、「偏見丸出しで言えば、彼らは学びたい。学んで積み上げていきたいのである。ところが私の授業ときたら砂山を作っては壊すような作業の繰り返し」としています。
そういう意味で、哲学は体育に似ている、実技科目としています。
生活と哲学は相反するところがありまして、哲学の問いは基本的に「私は何をしているのか?」という形をとります。ある活動しているとき、活動について考えることが「メタ」。
野球をしていてあまり下手だからルールを変えようなんて話し合いを始めたとすると、それは野球のプレーそのものではなく、野球のプレーについての話し合い、「メタ野球」です。
先日、私が公園で散歩していますと、小学生くらいの子が三角ベースをしてまして、明らかに小さい子がバッターボックスに立っていると、年長者の子が状況に応じて「ほんまは三振やけど、もう一回特別な」とか言ってまして、子どもだって「メタ」的な裁量を行っていることがあります。
哲学の思考は基本的にメタ的で、メタ的な態度に入ると生活は一旦停止しなくちゃいけません。ゲームのルールについて話し合う時にはプレーは一時中断となります。だから生活を重視する人は哲学を軽視する哲学はむしろ学生とか世捨て人に向いています。
「誰と合コンしようかな?」じゃなくて、「恋愛って何だろう?」っていう人が一定の層を形成します。だから日々の生活で忙しい若い子が哲学に興味を示すこと自体が少ないのは、自明なんです。
野矢さんは東大で座禅を教えている方でして、かつて若い頃、野矢さんが、お坊さんが「執着を捨てよ」というのを耳にして、「執着があるから楽しんじゃないの?」と思っていたそうです。執着がなければ何かをゲットした喜びがない。キリスト教でいえば「愛」かもしれませんね。
愛も執着の一つです、とか言われそうなんですが、「執着を捨てよ」という言葉は本来無一物と重なった、裸一貫の自分を見失わないことで、裸一貫の自分を否定的にとらえないこと。裸一貫の自分に落ち着くこと、その上で、にしたものは「おまけ」としてありがたくいただく、だそうです。
景気が悪くなって、わかっちゃいるけど、一旦上がった生活レベルを落とすのはかなり嫌なのは、執着があるからなんですよ、ってのは耳にタコができるくらい言われたんですが、健康問題に不安を抱えてきますと、突然の入院とか、生活環境が不意打ちに激変することがあり、そうした時「オレはなぁ、会社じゃ社長だったんだぞう」とかって恥ずかしいわけで、座禅によって素の自分を見つめなおすってのは、なかなか若い頃には考えが至らなかったわけでして、この年になってようやくこの言葉の滋養がじわじわと伝わってきました。
あと、中島義道さんの本の解説が収録されていて「明るいニヒリズム」についてわかりやすく書いており、よい解説になっていました。
私も寄る年波に勝てず、そんな辛いご時世でも、そっと私の背中を押してくれるエッセイとなっております。え?私?41歳ですが、何か?
紙の本
考えること
2016/03/13 22:15
3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:Freiheit - この投稿者のレビュー一覧を見る
哲学と言えば難解というイメージですが、エッセイを集めたもので読みやすいです。昨今、いかに日本やアメリカなどでのごとを熟考しないで、方向を決めている風潮は懸念され、本書で考えることの大切さを感じます。
紙の本
哲学者の問わず語り
2022/10/22 00:42
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:みずくらげ - この投稿者のレビュー一覧を見る
論理学やウィトゲンシュタイン研究で知られる著者が、極めて平易に哲学者である自身の考察を語っている一冊。
特に授業に対しての考え方や哲学のメタ的視点についての解説は面白かった。
哲学ってむずかしくてとっつきにくいなあと思っている人にオススメ。ほんとに平易。
紙の本
立ち止まって考えてみる
2016/12/20 17:04
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:katu - この投稿者のレビュー一覧を見る
新聞か何かで紹介されていたのが気になって読んでみた。普段、効率ばかりを重視して生きているけど、ふと立ち止まって色々考えてみるのもいいかもなと思わせてくれた。