紙の本
筆者のミステリ作品を読みたくなった
2019/08/26 21:15
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投稿者:ひかっち - この投稿者のレビュー一覧を見る
私はこの本を「急行エトロフ殺人事件」を読んだ後で交通新聞社新書の目録を見て知りました。この時点で私はまだ「急行エトロフ殺人事件」以外の辻氏の作品を読んだことがなく、サブタイトルを見て気になって買いました。実際に読んでみると、辻氏がこれまで書いたミステリ小説を地域別に紹介していて、実際に使ったトリックも使いながら解説していました。作品の中では紹介された小説について途中までしか紹介していなかったので、私はこの本を、辻真先さんの小説を知る入門書としてお勧めします。そして、実際に読んで気になった作品があれば、実際に手を取ってみてください。私も今度「迷犬ルパン」シリーズを読んでみたいと思います。
紙の本
ちょっと読みにくかった
2016/02/28 21:28
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投稿者:めいてつ - この投稿者のレビュー一覧を見る
鐡道ミステリーというと西村京太郎を思い浮かびます。
そんなイメージで読み進めて行きましたが、創造と異なる読み物でとても読みづらい一冊でした。
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ミステリ作家辻真先氏は、筋金入りのテツであります。ゆゑにトラベルミステリイの題材は、北は北海道から南は沖縄、果ては歴史上の鉄道や妄想鉄道まで、万遍なく網羅されてゐるのです。
トラベルミステリイといへば、第一人者の西村京太郎氏がゐますが、西村氏の作品は専ら特急列車中心(即ち幹線鉄道)であり、それに対して辻氏はローカル線を舞台にすることが多い。要するに棲み分けが行はれてゐます。
その現象に着目したミステリ評論家の大内茂男氏が、「西村京太郎と辻真先は協定を結んでいるのではないか」と書いたさうです。無論協定を結んでゐる訳ではなく偶然なのですが、奇しくも両者のテツ嗜好の相違が表れてゐて、中中の慧眼と申せませう。
さて本書の内容ですが、著者がこれまでに執筆した鉄道ミステリを地区別に振り分け、自ら解説し、時にはミステリ紹介ではタブーとされるネタバレを織り交ぜて紹介するものです。
普通なら「第○章」とでもするところを、「○番線ホーム」と称し、列挙すれば「1番線ホーム 北海道方面」「2番線ホーム 東日本方面」「3番線ホーム 東海・西日本方面」「4番線ホーム 四国・九州方面」「5番線ホーム 歴史本線方面」「6番線ホーム 妄想本線方面」となります。
で、例へば北海道方面ですと、「士幌線」なんて懐かしい路線名があります。そしてこの路線が登場する自作として『ローカル線に赤い血が散る』を紹介するのです。こんな感じで37の作品が登場し、作者が愛着を込めて解説します。瓜生慎やスーパー・ポテトをはじめとするメインキャラクタアのお披露目も抜かりがありません。
ミステリ紹介では、犯人やトリックを教へてしまふのは当然ご法度とされますが、著者は自分の作品だから遠慮は要らぬとばかりに、豪快に景気よくバラシてくれます。
常識的に考へれば、ここまで内容を知らされると、その作品に対する興味は失せ、読む気はなくなるものですが、不思議なことに、「ううむ、ぜひ読んでみたいぞ」と思はせるのです。宣伝上手なのです。
特に、歴史本線や妄想本線に登場する『サハリン脱走列車』『あじあ号、吼えろ』『急行エトロフ殺人事件』『暗殺列車 山本五十六大将抹殺指令』などは、タイトルを見ただけでワクワクするではありませんか。
著者自身の言葉を引用しませう。
「辻の名にまったく接したことがないあなたでも、この一冊を買えば、ぼくの鉄道ミステリを1ダース買う以上の役目を果たすはずだ。三十余年がかりで走ったドン行の路線を、たった一冊の超特急が俯瞰しながら疾駆するといってもいい。費用対効果抜群な買い物であることを出版社に代わって保証しておく」
この言葉は決してウソではありません。わたくし自身も、期待以上の読物に、満足してゐるところです......
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