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これはもう、なんちゅうか、重すぎて・・・いったいどうしたものやら?という感じ。
家庭環境で病が発症したり、重症化したり、ということもあって悲惨極まる。
また、家族の努力によって、普通の暮らしに戻れる人もいる。かと思うと、親が放棄して、兄弟姉妹に負担がのしかかる場合もある。
病院も人道的な対応をしてくれなかったり、関わっていないと知ることなく過ごしてしまうだろうことが、これでもかというように書かれていて、いっそう暗い気分になる。
著者のやっていることは、ホントにすごいことなのだなぁと思いを馳せる。
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日本人らしい奥ゆかしさがなくなってきたと感じる昨今である。些細なことで激昂し、訴えてやると声高に脅して拳を振り上げる… 家庭環境によるところも多いのではと感じることがある。本書で扱われるのは単なるクレーマーではなく精神疾患から問題を引き起こす人々だが、根底に繋がりがあるように思う。家族は随分犠牲になっているが、その家族の有り様が、益々彼らを追い詰めていることも多いようだ。「医療機関と司法の間」このどっちつかずの状態が更に問題を悪化させている。ストレス社会の今後の精神医療体系を、今こそ見直すべきなのだろう。
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「子どもを殺してください」と、親は言いたかったんだろう。そんな事件が度々起きる。以前から精神障害を持っていて、社会性のない行動をとり、周囲に迷惑をかけ続けたあげく、殺人などの大事件を起こしてしまった犯罪者のことだ。
著者はこうした精神障害者であり、犯罪予備者である家族を抱えた者からの相談を受け、民間の立場からアドバイスをしたり、公営サービスへの紹介・仲介をする事業者。
本書では、著者の壮絶な現場体験事例が記され、障害者家族や医師、行政機関、法律家へ指摘の言葉が並ぶ。特に障害者家族への忠告が厳しい。やはり、精神障害者を社会復帰させる最重要パーツは家族の決意と忍耐なのだ。
とはいえ、家族にも自分の生活、人生がある。「子どもを殺してください」と願う者へ強いることのできる負担にも限界がある。そこで、福祉行政や医療の出番なのだが、彼らは苦労している家族ほど、その家族任せにしてしまう。苦労している家族ほど孤立して報われないという状況を変えていく必要があると思う。
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この本に好感を持てるのは、著者が自分が実際に見、経験したこと以上のことを書いていない点である。帯には育児・教育の究極の失敗、という文字や現代の家族の闇を暴く、という文句が記されているが、そういう内容を期待して読むとかなり裏切られることになるだろう。著者は自身の経験を丁寧に、謙虚に綴り、それ以上の臆測を書かない。家庭内で子供が異常ともいえる行動とる背景には多くの場合に親との関係と言う問題が横たわっていると考えられる。しかし、敢えてその部分には深く触れずに、自分の専門である移送という場面でどのような事態を見、処したのかを淡々と綴っていく。
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大人になったところで、親になったところで、
責任を果たせない人は多い。
子どもが犠牲になり、親に疎まれ、隠され、
どうにかされればいいと願う。
助けを必要とする親子なのだろうが、
関わりたくないと思う気持ちを
持つことを責めるわけにはいかない。
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ショッキングなタイトル。内容も衝撃でした。
精神に疾患があるとされる人が起こした事件に、どうしてそんなことになってしまうのだろう、そこまでいかない内に止める手立てはなかったのだろうかと思っていましたが、水際でくいとめようと頑張っている人もいるのだなぁと少し救われる気持ちになりました。
ですが、著者が頑張っていても、受け入れる施設、体制、国の施策、社会の受容等まだまだ不十分な現状では、追い詰められている家族が沢山いるのです。
本著には具体的な事例が何件か紹介されています。それだけで一括りに原因はこうだと断定することは出来ませんが、やはり、本人が育った環境が影響していると思います。親の育て方、否、関わり方という方が適切かしら。きちんと子どもに向き合っていれば異変に気付くのも早いし、その時点でしかるべきところに相談して治療すれば大事に至らなかったかもしれません。勿論、親の側からすれば精一杯育ててきたのでしょう。
どうしたらよいのか分からないけれど、考えてしまいます…。
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重かった。
それぞれの家庭に癖がある。
誰の責任て一概に言えない。
精神病院、行政、民間、連携が取れてないんだなあ。
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それぞれ個々の事例が書かれている第1章は面白かったが,後の章は重複していることも多く,もう少し具体的な体験談とうまくいったケースの症例があれば良かったと思う.
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精神疾患者を医療につなげようと活動してきた押川さん。精神疾患者とその家族を救う受け皿はとても少ない。特に、他人を傷つける恐れのある精神疾患者は他の入院患者の安全のために病院も受け入れを拒否する。このような現状を打破するためには警察OBによるスペシャリスト集団を作ればいい、というのが筆者の意見。
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いかにも重さうな内容を示唆する表題であります。手に取るのを躊躇するところですが、何となく目を背けてはいけない事が書かれてゐるのではと思ひ、一読した次第なのです。
心の病気と一口に言つても、その内容は実に多岐に亘ります。例へば認知症。誰でも発症する恐れがあり、実際多くの人が罹患してをります。わたくしも血圧を下げる薬を飲んでゐる為、将来に影響がないか不安に思ふところです。発病して夜間徘徊し、踏切に立ち入り電車を止めることが無いと、誰が言へるでせうか。
そんな様々な精神疾患ですが、以前は「精神病」などと差別的に言はれて、「隔離」の対象でした。昔の映画なんかで、精神病と認定された人が、無理矢理精神病院に連れられて行き、本人は「俺はキ○ガイぢやない、正常だ!」などと叫んでも強引に鉄格子(!)の中に幽閉されてしまふ場面がありました。映画『マタンゴ』(本多猪四郎監督)でも、久保明が無人島での体験を話すが、余りに荒唐無稽すぎると思はれたのか、精神病院の檻の中に入れられてゐました。
著者は、精神を病んだ人たちを、患者本人を説得した上で(強引な拘束などは排除し)医療の現場へとつなぐ仕事をしてゐる人。精神疾患の中でも、内に籠る場合と、外に爆発するケースがあります。本書では主に、後者に属する実例を紹介してゐます。
もう成人してゐるのに、社会への適応能力が著しく低く、仕事も長続きせず、悪いのは皆他人の所為だと被害妄想に陥り、親や兄弟姉妹に当り散らし、暴力を振るい家中を破壊しまくり、近隣住民ともイザコザが絶えず、「このままでは殺される」と生命の危機さへ覚え、警察に相談しても「事件がなければ動けない、何かあつたら連絡して」といふことで、万策尽きた親が著者に相談に来るさうです。その究極の依頼が、本書のタイトルになつてゐます。
著者は既に1000人以上を医療機関へ移送した実績を持つさうですが、その中で感じた問題や課題は、国レヴェルで解決しなければならぬ事が多いと。まづは、さういふ他人を殺傷する可能性がある患者は、どこの医療機関でも受け入れたくありません。運良く受け入れてくれても、やはりスタッフや他の患者とトラブルになつたり傷つけたり、病院の備品を損傷したりして、追ひ出されてしまふ。そしてかういふ、じつくりと長期で治療しなくてはいけない患者も、一律で最大三か月間しか受け入れてくれないのださうです。わづか三か月では、家に戻しても結局元通りで、何の解決にもならぬのであります。
何でも三か月以上入院させても、病院としてはカネにならぬのださうで。その辺の事情は本書を覗いてみて下さい。ここでも「最後は金目でしよ」といふ訳か。
著者は、かういふ患者たちの為に、専門の公益財団法人(スペシャリスト集団)の設立を提言してゐます。事実上、医療の現場から見離されてゐる患者たちは行き場がありません。放置は、即ち家庭の崩壊・殺傷事件の誘発を招きます。そのスペシャリスト集団は、経験豊かな警察官OBを中心に組織すれば良いと述べてゐます。せつかくの能力・経験を活かさないのはもつたいないと。
同時に著者は、患者の家族(��くの場合はその親)に対しても注文を付けてゐます。専門家に押しつけて、後はお任せします、ぢやあよろしくと、まるで他人事の親が多すぎるさうです。著者としては、むろん依頼を受ければ全力で解決に当るのですが、何よりも家族の理解と協力が必要であると。
子供の問題行動は、その親に原因がある場合が多いのではないかと、注意を促してゐるのです。憎まれるのを覚悟で(実際、この指摘には批判が多いさうです)問題解決のために敢へて苦言を呈す、といふところでせうか。
出口の見えない問題だけに、読後は重苦しさが残ります。しかし、知らないままだつたら、自分は偏見を持つたまま過ごすのだらうな、と思ひますので、やはり多くの人が目を通すべき一冊ではないかと存じます。
では今夜はこんなところで。御機嫌よう。
http://genjigawa.blog.fc2.com/blog-entry-619.html
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精神を病んだ人たちを説得して病院に搬送する、民間会社。患者とその家族が抱える問題と病院側の事情なと、ノンフィクションで綴られる。
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精神的に追い詰められた家族を救う筆者。
当人、その家族の実際にあった彼らの話。
第1章、リアルなケースを綴ってある
結構細かく書かれています。全7ケース。
第2章、親からの願い
手に負えない状況に陥ってしまった患者の親からの願い。
第3章、最悪なケースほどシャットアウト
グレーゾーンだったり、110番しろだったり。
第4章、精神保健福祉法が改正されて何が変わったか
ある意味、何も変わらないように感じるのは私だけ?
第5章、日本の精神保健のこれから
犯罪精神医学が行ってきた事を鑑み、日本へのスペシャリストの必要性。
第6章、家族のできること、すべきこと
果たして家族はどうやって向き合っていけばいいのか。
読んだ感想としては どうしろというのか? と。
今までの事例を挙げて。
でも。
自分の感想としては、どうしたらいいのか? しか出てこない。
自分の周りも、自身も当人なので。
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平成28年6月16日読了。手段は180度異なるが、押川氏が目指しているベクトルの先は、戸塚ヨットスクールの戸塚宏校長とほぼ同じではないかと思った。親にもどうすることもできなくなったモンスターを『処分』するためには、戸塚先生は必要悪であり、誰も触れたがらない問題を使命感を持って請け負う様は、押川氏と同じスタンスを感じざるを得ない。
親子問題や家族間の紛争を外野から批判するのは容易いが、いざ当事者の立場になったら絶望してしまうだろうと感じながら読み進めた。後味の悪い読後感である。
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精神医学に分類されていましたが私はこちらもやはり社会問題の分類に入るように思います。
タイトルと表紙の写真から何となく虐待であるとか、未成年の子供を扱いかねる親の話なのかという印象がありますが、全く違いました。
人格障害と思われる子供を持った家族の苦悩がこれでもかこれでもかと出てくる一冊です。そして根本的解決は見当たらない。救いが無いと皆さんおっしゃっていますがその通りです。でもこういう現実の家族がいるということを知る必要もあるということでしょう。
こういう人に対処する場合、医療機関も公的機関も結局たらいまわし的扱いになるでしょう。今の制度のままではそうならざるを得ません。根本的対策がないのですから。
新しい制度が必要なのだと思いますが、それを誰がどのように決めて施行してくれるのか。一歩間違えば個人情報侵害や人権侵害と言われかねない状況もでてくるでしょうから大変対策は難しいと思われます。
でも、こういうどうにもならない人間て現実にいます。「殺してください」とまで言わしめる苦悩は当事者でなければおそらく本当にはわかり得ないのではないかと思います。
どう対処しても無理な人間がいるのは事実なので、親の責任ばかりを問うことは出来ない場合もあると私は思います。
逆に親が率先して子どもを精神疾患ということにして犯罪の隠れ蓑にしようとしているというケースもあると本文中に指摘があります。それもまた本当のことだと思います。
そのまた別のケースで、子供が犯罪を犯した後、精神鑑定で精神疾患と認定されて犯罪者として裁かれたほうがまだ良かった、と言った親も私は知っています。
こういう人間を家族に持ってしまったら、家族は暮らしも認識も、常識とかけ離れた状況になっていってしまうのかもしれませんね。
アメリカでは人口の15%がパーソナリティ障害だというデータがあると本文中にでてきますが、ショッキングな数字と言ってもいいと思います。(もちろんパーソナリティ障害だからといって犯罪を必ず犯すわけではないのですけれど人には言いにくいことではあります)
「何かあったら110番を」って何かあってからでは遅いけれども、現実にはそれしかないのでしょうか。
著者の方が本書中で述べられている警察OB組織による「グレーゾーン」対策、出来たらすごいなと思いますが現実的には無理な気がします。
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精神の福祉って難しい。
修羅場の地獄のような家庭があり、前向きな未来を感じられない。それでも最善を尽くす方法を模索しないといけない。
私には想像もできない世界。