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精神障害者移送。聞いたことのない言葉だった。
精神障害の背景にある歪んだ親子関係。
子は親の鏡。
長年にわたるプレッシャーが形を変えて噴き出す。
体を強く押すと痣ができるように、心に強い圧迫が長期に加わると心が病むのだ。
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「司法と医療の境目」という言葉にハッとした。人間ってこんなにも脆いものなのかなと。親の見栄や不仲、そんなどこにでもありそうな家庭環境が、こんなモンスターの病原菌を植え付けてしまうものなのだろうか。生まれもった何かがあるのか、生育過程が関係あるのか、わからないけれど、こんなにもロジックを飛び越えたやりとりが存在しているのかと思うと、やりようがなくてつらい。家族は切っても切れないから。
社会で支えるなんて非現実的だと思う。異質者は何事もないように社会から切り離されてしまうから。悪意なく。
ただ、遠い世界の出来事ではなく、自分の世界にも起こりうるものだと捉えよう、と思った。
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精神障害者移送や更生支援施設運営などで様々な精神を病んだ人々と接してきた筆者。本書では実際に対応した患者と家族の事例やその経験から見えてくる方策、精神医療と法整備のあり方について書かれている。第1章ではアルコール依存症となり父親を切りつける息子や子供を殺してくれと懇願する親など、ショッキングな事例を紹介。第2章以降は法改正を中心に精神医療の現状等が書かれているが、要は「他人任せにせず、家族が当事者意識を持ってしっかりしてください」ということか。“現代人必読”という触れ込みは少し大袈裟かな。
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んー…まぁまぁですね! 子供に関する症例…つまりはドキュメントの部分は楽しめましたけれども、精神医療だとかともかく著者がつらつらと精神医療の現状だったり、対応策だったりを述べたりしている部分は別に読まなくてもいいかな…と。
それに1000以上の問題のあるお子さんたちを医療施設へと繋げてきた著者だからこそ、もっと実際の例を紹介してもらいたかったんですけれどもねぇ…まあ、ともかく、ドキュメントの部分は読み応えありましたね!
ヽ(・ω・)/ズコー
今後ますます家族の関係が変化…それもどうやら悪い方向に…変化していくくさいのでこの本に紹介されていた症例のような子等も増えるかもしれません…混沌とした時代の到来です(!)…。
さようなら…。
ヽ(・ω・)/ズコー
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30~40代になって"異常"行動があるのは、やはり子どもの頃からの生育環境が原因なんでしょうね。ただ、行政や医療に繋げるのは重要ですが、こころの病をどうやってカンカイさせていくか、家族の関係をどうしていくかですね。精神医療のサポートと警察等の行政の連携が重要になってくるのでしょうね。
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日本の精神医療の実態、なぜ精神障害者による犯罪が多発しているのか、等がよく分かり勉強になった。
家族に精神障害者がいる人にとってはとても耳の痛くなるようなことが書いてあって、実際自分がその立場になったらと思うと想像するだけで辛い。家族でもどうしようもない凶暴な患者を相手にするのは病院の人だって敬遠したくなるのは当然だと思うし、実際改善もせず、閉じ込めておくこともできないならどうしようもないと思ってしまう。
だからといって、事件が起きたら警察、司法のお世話になってくださいね、それまではどうすることもできません、という現在の病院や保健所の対応はおかしいと思う。ストーカー相手に警察がこんな対応をしていたら世間から袋叩きに遭うだろう。
とても難しい問題だというのが分かって読んでよかった。
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最初に実例を列挙して、分かりやすく精神科領域に関わる犯罪を解説。その後、現状の問題点と今後の展望に関する筆者の見解を提示。頭に入ってきやすい構成だと思うし、実際、読みながら特に違和感を感じることもなかった。同時並行で隣に並んだ「家族狩り」を読んでいたこともあり、シンクロした内容に少し驚いたりもして。精神科診療と警察介入の微妙な関係性とか、そういう点でも見どころはあったけど、親子関係を見つめ直すきっかけにもなる内容。不幸な病気という側面もさることながら、向き合い方ひとつで変わってくるという、身体疾患とは一線を画す面にも留意が必要。身につまされました。
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最初の章の具体例が一番心に残った。身近な人間でこの予備軍だったなと思う人がいるだねに、身につまされる。
問題の難しさがよくわかった。
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衝撃的な内容に惹かれて購入
追い詰められているにも関わらず、問題を先送りにする当事者たち
見たくないことを見ず、ちょっと治ったら楽観視する。ある意味人間らしいが、命を脅かす事に繋がる場合を想定すべき…
現実は厳しい
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ただ題名で買いました。しかも内容を勘違いして(犯罪系の話かと)
しかし、読むほどに興味を惹かれ人としても親としても考えさせられました。
著者は強制拘束をイメージとする精神障害者の移送を対話中心に行ってきた経験を元にこれを執筆しています。
そんな仕事も存在すら知らなかった。そしてこんな世界があることも知らなかった。
本書は著者の出会った現場のリアル、現在までの変遷、そして問題点、更には当事者家族の対応方法が書かれている。全てが当事者や関係者でしか感じられない現実である。
そして何よりも「子供を殺してください」とにわかに信じられない非現実的な題名が付いている。決してこれは過大広告ではない。この現実の前では自分も親の立場として口走る可能性はゼロでは無いだろう。
実際にも第三者よりも親や親族に殺される子供の方が多いと読んだことがある。
やはり、本書の内容は他人事では無いのだろう。精神疾患が身近になった昨今。
親子に、近所に、隣に突然現れるかもしれない現実である。
その時、本書は読んでいるかいないかでは人間として対応を分けてくる内容の一冊かと私は思います。
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「精神障害者移送サービス」という仕事があるのか。それは役所の仕事じゃないかと思うけど、いろいろ難しいんだろうな。しかし家族は大変やでこれ。。そりゃたまにはアレな家族もいるだろうけど。。
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救いのなさに驚くばかりでした。
人を傷つけたり殺す可能性があるような危険人物ほど
入院を拒まれるという現実。入院して問題を起こすとブラックリストに載るらしく、入院拒否って。本当に危険な人物ほど野放しにされるという現実。
でもだから医師や看護師さん、他の患者さんの命の危険云々があるだろうし
過酷な現場で耐えられる人が少なく経験者が育たないのもわかる…というか逆に精神を病んでしまうのでしょうね…。
入院出来ても治療の効果がみられなくとも3ヶ月で出されてしまったり、問題を起こせば3ヶ月をまたずに退院させられてしまったり。
長期入院させられそうだったとしてもその金額が…500万とか。
家族内に本当に危険な人物が出てしまった場合、治療が困難だったらもう逃げ場がないじゃないですか。
何かあったら警察に、で終わるのがお決まりのパターンのようで。
殺して下さいどころか親が殺すか、縁を切って本気で逃げ続けるか、耐えるか。…親が殺されるか。
「家族のために犠牲になれる人」という言葉が重かったです。
やはりというか何と言うか親の育て方が人格を破壊するという要因が多いようですが
結局は本人の資質というかそういうものも大きいと思いますが。
虐待されて育っても幸せになる人もいるし、人生を滅茶苦茶にされたと思っていても壊れきれず、暴力も振るえず、普通に生きられない苦しみを抱え、自殺も出来ずに生きている人もいる。
精神疾患の話ではないのですが「親がお金を持っているのを知っている」人間のタチの悪さは実例をいくつか聞いた事があるので→働かないで親のお金(もらって)で生活しようとする らしいですが
お金持ちの子供が壊れた場合→親からお金を巻き上げるようになる で、しかも親が普通に渡してしまうらしいのが凄い。結局あるとそうなるのか。ないものは出せないけどあるから出しちゃうのか。
親が裕福で立派な職業でその子供が挫折した時の壊れっぷりは哀れだったけど何もかも違いすぎて共感できない;両親が弁護士で自分が弁護士になれなかっただけで壊れるの?そういう家庭とか一族とかって小説の中くらいでしか知らないので次元が違いすぎるー。「一族の恥」とかいう台詞が実際出たりするんだろーか…。
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家庭内暴力に疲れ果て、年老いた親が中年になった子供を殺害
する。先日もそんなやりきれないニュースがあった。
しばらく前に本書の著者・押川氏をテレビで見た。精神障害者移送
サービスなる業務を行っている押川氏の仕事に密着したドキュメント
だった。
自覚症状もないままにアルコール依存症に陥り、家族に暴力を振るう
男性や、暴君のように母親に自分の欲求を満たす為の要求を繰り返す
少年。彼らを説得し、いかに医療に結び付けるかの過程が紹介され
ていた。
本書では押川氏が実際に手掛けた事例の紹介と、精神科医療周辺の
問題点と対策を検討する書である。
なんともショッキングなタイトルだが、実際の事例はそれ以上に衝撃的
だ。我慢に我慢を重ねた家族が、藁にも縋る思いで押川氏に助けを
求めるのだろう。
殺すか、殺されるか。そんなギリギリの状態にまで追い込まれた家族。
そして病識もなく、荒れて行き、精神に異常を来して行く子供。双方が
やりきれない。
だが、そうなった結果は「親が悪い。教育が悪い」と結論してしまうの
はいかがなものか。確かに本書で扱われている事例はある程度の
資産があり、教育程度も高い家庭がほとんどで、幼いころから多大な
期待を背負わされたり、欲しい物はなんでも手に入る環境に置かれた
子供が多い。
しかし、同じような環境で育った子供のすべてが初めての挫折から
引きこもりになり、家族を振り回す存在になる訳でもないだろう。
それの証拠に、本書でも老いた親に変わって保護者の立場を
引き受けた弟や妹の、「その後」の苦悩も紹介されている。
心の問題は難しいよね。人間、程度の違いはあるもののストレスに
晒されて生きている。「こうでありたい」と描いた理想とは違った生活
を送っていることだって少なくない。
それでもどこかで折り合いをつけて生きているんだと思う。折り合いを
つける。そのことが出来なかった人たちが心を病んでしまい、鬱屈し
た気持ちが一番身近にいる家族に向かってしまうのではないかな。
著者が言うように、取りあえずは医療に繋げることは重要だと思う。
それでも、退院後の受け皿がなければ元の木阿弥なんだよね。
自傷他害の恐れがある人の受け皿のないことが、悲惨な事件を
招いているのは日々のニュースを見ていても分かるもの。
日本では殺人事件の発生件数は減少傾向にあるという。だが、事件
件数のうち、家族間の殺人発生率は増加しているそうだ。
遠くない昔のように鉄格子のはまった医療施設に閉じ込めておけば
いいとは思わない。それでも「3か月で退院」という現行の制度では
救えない家族がいるんだよね。難しいわ。
だって、私だっていつ・何が原因で精神を病んでしまうかも分からない
のだもの。
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精神障害者移送をしている著者の活動記録のようなもの。
移送だけじゃなくて面会やら環境調整やら宿泊施設経営やら、とにかく手広くやっている。
物々しい言葉使いやパターナリスティックな態度などで敵意を持たれやすいと思うが、内容に批判を加えるのは簡単ではなさそうというくらい実情をよく見ている印象。
本人の問題、家族の問題、病院から制度まで、どれか一つに帰責しないで多角的に分析している。
別に医療化や入院が最適なソリューションじゃないことを著者自身はわかりつつ現実に対応して支援しているようだ。
そのうえで敢えて書くけど、ちょっとナイーブ過ぎて被害的。文章のトーンが。そのあたり「頑張っている」と自認する関係者は腹立つかも。
各種メディアで見る姿と本で読んだ印象はだいぶ違うので、興味のある人は読んでみるといいと思う。
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内容(「BOOK」データベースより)
自らは病気の自覚のない、精神を病んだ人を説得して医療につなげてきた著者の許には、万策尽きて疲れ果てた親がやってくる。過度の教育圧力に潰れたエリートの息子、酒に溺れて親に刃物を向ける男、母親を奴隷扱いし、ゴミに埋もれて生活する娘…。究極の育児・教育の失敗ともいえる事例から見えてくることを分析し、その対策を検討する。現代人必読、衝撃のノンフィクション。
題名と表紙から、駄目な親が幼い子供を放棄する事に対する本かと思いきや、そうでは無く精神を病んだ人々の家族の痛切な思いを受け止めて来たノンフィクションでした。こればかりは誰がそういう風な状況になるのかは最後まで分からないと思うのですが、人の人命に関わるような激しい精神疾患についても事件になるまでは割と放置になる事が分かって、とてもとてもびっくりしました。症状が悪くなればなるほど受け皿が無く途方に暮れる現状が分かりやすく書かれています。筆者は疾患のある人々を医療機関へ繋ぐのが仕事なのですが、完全にそこから逸脱して頑張っておられます。是非色々な人に読んでいただきたい本であります。