紙の本
表紙がなんとなくよかった。
2015/11/29 00:33
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投稿者:朝に道を聞かば夕に死すとも。かなり。 - この投稿者のレビュー一覧を見る
2人のおじさんが「この世界は私たちだけのものじゃないからパッサーとして、ガタついている世の中を少しでもマシな状態でパスしたい」と話し合います。
原発の話では、別に私たちは法的に間違った事をしたわけではないけど、あれほどの規模の国土を自分たちの「人災」のせいで失ったことに対し、責任の取り方が難しい。
チェルノブイリ原発事故を見ても、他国の事は記号的に見ていた私たち。そして「安心社会」は実は自分たちの「世間」だけで通用しない理屈だったって気づいて動揺しています。
原発については何にも考えず気分で判断してきたから、どんな言葉を持てばいいのかわからない。どう子どもに説明したらいいのかわかんない。だから震災の話は重苦しい。
内田さんは「第1に国土の保全、第2に国民の健康」に優先順位があって「これはお金の問題なんだよ」って言われたら「そうなのか」って思うのはどうなの?オレは与(くみ)しないよって言います。
高橋さんがおもしろいお話をしていました。山口県の祝島で反対運動を30年やっていて、やってる人がほとんどがおばあちゃんで、島の中を25分回ったらおしまいで、「原発反対」とか言っているけどみんな歩きながら世間話している、っていうのがなんか東浩紀さんの「弱いつながり」を思い出しました。
紙の本
安心感をくれる対談
2016/05/31 09:15
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投稿者:ぎんがむ - この投稿者のレビュー一覧を見る
日頃ニュースを見聞きしながら私が感じていることをそのまま言葉にしてもらったようで、とても嬉しくなりました。対談であるせいか、文字を追うだけでは理解するのが少し難しいところがあります。じっくり繰り返し読みたいです。
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おじさん二人の対談集。東日本大震災が起きる前と、起きたあと。日本は何が変わって何が変わらないのか。
この中で、原発に30年反対し続ける瀬戸内海の小島、祝島の話がよかった。
毎日デモやっているといっても、ほとんど世間話しながら島の決まった場所を歩きつつ、たまに思い出したかのように「原発反対」と声を上げる。
それに、飯を作ってたからとか、飯作りにとかで途中参加したり離脱したりして、それを30年間続けている。
高齢化率が高止まりして限界集落になり、やがて人がいなくなるのが確実になっているのに、老人たちはやめない。
そういう地域の繋がりというもの、今は日本のどこにあるだろう。
人を集めて吸い尽くし、人だけがどんどん増えていく東京のどこに価値があるのか。
人生いろいろと言っていた首相がいたじゃない。それって意外と本当でさ。
価値なんて割り切れないよなぁ。
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白か黒か。
そういう発想では複雑に絡み合う問題を解決できない。
だって白って言えば黒っぽい側の人たちは困るだろうし、
逆に黒って言えば白っぽい側の人たちは怒るだろう。
じゃあどうするか。
グレーゾーンをつくってそこで手を打つしかないだろう。
でもそれは全てをうやむやにしてしまうということではなくて、どんな白と黒を混ぜてどんな灰色を作れるかという試行錯誤の取り組みで、そうやって色んな白と黒を混ぜ合わせ続けることが大事なんだ。
二人(三人?)のおじさんはそんな風に言ってるように聞こえました。
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『沈む日本を愛せますか?』(文春文庫)の続編で、東日本大震災を挟む2010年9月から2012年3月までの日本の政治状況について、内田樹と高橋源一郎が論じあっています。
内田の身体性に根ざした他者論にもとづいて、民主党政権を担った政治家たちのことばの軽さとそれを許しつづけてきた日本の政治的風土が小気味よく批判されています。一方、橋下徹については、その背景に彼の身体性と骨がらみになっているルサンチマンが存在することを指摘し、とくに高橋は興味をそそられているようですが、橋下の推し進めようとしている政治のありかたに対しては厳しい批判をおこなっています。こちらは、内田の著作である『呪いの時代』(新潮文庫)のテーマにかかわってくるようにも感じられます。
ただ個人的には、身体への回帰という内田の主張には危うさを感じており、おもしろく読めただけに困ってしまうところも多々ありました。「ぼくたち日本の味方です」というタイトルは、ネットの論壇などを中心に「反日」と罵倒されることの多い内田と高橋のアイロニカルなスタンスを示していると受け取られるのかもしれませんが、もちろん二人は本気でもあるのでしょう。こうした絶妙のバランス感覚が身体的な知によって維持されているところに、内田のたぐいまれな知性が示されているわけですが、どうにも危なっかしいと感じてしまいます。
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東日本大震災前後の時事対談たが、あまりにも状況が変わってなくて驚く。
震災後は日本は変わる、変わらねばと言っていたが、その後の安倍政権の下、そのままの状況が続き、深化しただけだったのか。
この本で評価されているシールズなど影も形もなく、ローンウルフ型犯罪ばかりが目につく。父がいなくなったと盛んに言っているが、安倍氏はとても父というタイプではなかったが、その戯画化または代用だったのか。
維新の会も伸びは止まったが、維新と安倍は同根だし、トランプ型の大きなうねりの一つの流れ。明らかにグローバル化にストップはかかり、ローカルになってきたが、内田や高橋の予想や希望とは異なる方向と思う。