投稿元:
レビューを見る
短編はあまり好きではないけど、これは良かった。
それぞれの短編は、太刀洗万智さん以外の人の視点から書かれており、太刀洗さんの人となり、姿勢を表すものとなっていた。
私も太刀洗さんが好き。
投稿元:
レビューを見る
ジャーナリストという立場なので、事件を外側から見る形になる。そこを巧く利用(?)して、太刀洗の観察眼や分析力で真相に迫っていくスタイルは安楽椅子探偵に近いものがある。何気ないインタビューの中から重要証言をふるいにかけて推理を組立てるプロセスは面白かった。また、警察官ではないため、太刀洗の判断で見逃す場合もあり、すっきり解決というわけでもない。全体的にぼやーっとした感じで終わり、そして読後感もあまりよくなかったりする。
“ジャーナリスト・太刀洗”という設定がベースなので、やや社会派寄りの本格です。キレはいまいちだけど、角度を変えたラインナップが興味深く、色んなパターンで楽しめたかな。
投稿元:
レビューを見る
高校生の心中事件。二人が死んだ場所の名をとって、それは恋累心中どれも呼ばれた。週刊深層編集部の都留は、フリージャーナリストの太刀洗と合流して取材を開始するが、徐々に事件の有り様に違和感を覚え始める。太刀洗はなにを考えているのか……?
さよなら妖精の太刀洗万智が大人になってフリージャーナリストとして生きている短編集。
ミステリーとしても優秀なんだけど、ジャーナリズムとは、っていうお仕事小説としても優秀なのかもしれない。事件の真相が明らかになるところがミステリー小説のクライマックスでありカタルシスを覚えるところなんだけど、万智の仕事にとっては、そこが全ての始まりなのだな、と。
どの話も重く、辛く、後味が悪い。悲しみに溢れていて、美しくもないけれど、さよなら妖精より好きだった。
投稿元:
レビューを見る
図書館で借りた。フリーライターの太刀洗万智が、事件や事故の現場に出向き取材をしながら真実を発見する短編集。時に警察より早く真犯人に気付いたりもするが、でしゃばりはしない。冷静で頭が切れ有能な女性で痛快さは感じるが、女性らしい部分はあまりないせいか全てにおいて淡々と進む。第三者視点から話が進行する形式。正義感の話が面白かったな。
投稿元:
レビューを見る
太刀洗万智シリーズというのか、短編集
王とサーカスの続きではない
知ることの欲求が満たされる時はたいていの場合自らが知りたいと思っていることを知ったということ、真実を知るということは難しい。
今作の短編集の中でも「ナイフを失われた思い出の中に」が知ることというテーマでは一番ぴったりとくる、「蝦蟇倉市事件」で一度読んでいたが2度目でもよかった。
「さよなら妖精」が強烈に残っているのでマーヤの兄が登場することが余計にそう思わせるのか。
投稿元:
レビューを見る
≪真実の手前に立ったとき,あなたはどうする?≫
様々な事件事故の真実に太刀洗万智が向かう短編集.
謎解きよりも,真実の手前に立った時の振る舞いや考え方について問う物語.
それは「記者」である太刀洗だけでなく野次馬である自分たち,事件事故をニュースや記事から知り,鵜呑みにせよ憶測にせよ意見を遠くから述べる自分たちのことを問われているような気持になる.
太刀洗は『王とサーカス』で事件を追う語り手として報道のあり方を自問自答するけれど,今作は語り手を太刀洗のパートナーにあてがうことで,読者に問いかけながら,『王とサーカス』を経た太刀洗の成長を見ることができるようになっているのだと思った.
「ナイフを失われた思い出の中に」はアンソロジーである『がまくら市事件』で描かれていて,この作品だけ既読だったけれど,改めて読むと『王とサーカス』や,今短編集のどの作品よりも太刀洗は自分の信念を得て活動していることがわかる.
いや,時系列はほとんどわかんないんだけど.
ちゃんと読んだらわかるのかな?
投稿元:
レビューを見る
イヤミス?各短編ともミステリーとしての仕掛けはしっかりしていて、ほほうという感じですが、結末はイヤミス風味。著者の短編は満願収録作もそうでしたが、基本後味が悪いです。
投稿元:
レビューを見る
短編集。
フリージャーナリストの太刀洗万智が登場。
報道は、そこでもドラマを伝えるのではなく、事実のみを淡々と伝えてほしいなと思っているのだけれど、太刀洗の記事ならそうなっているような気がする。
事実さえ伝えてくれれば、その事柄が必要かどうかは受け手が決めればいいんだもの。
それにしても行動力もあり、先も読めてかっこいい女性だな。憧れます。
投稿元:
レビューを見る
米澤穂信氏の短編集。フリーライターの大刀洗万智が、事件の真相に迫って行くドラマを描いた作品になっていて、それぞれが彼女のミステリアスな所や鋭い洞察力を示すアイテムとなって構成されている。
表題作「真実の10メートル手前」は、手紙から目撃者を一気に引き寄せて行く構成。物語を通して、大刀洗万智の推理が大きく確信へと変わっていく。その間の会話、食べ物、車での移動などの場面場面で、文章が本当に美しい。満願でも思ったが、文が持つリズム感や長さが本当に均整がとれている。
「正義漢」では、電車のホームに人を突き落として殺した犯人を、敢えて誘い出す技に光を当てた作品。「恋累心中」は心中した学生の男女。実は妊娠していて等のドラマ性のあることどんどん出てくる。マスコミに騒がれることとは別に真実があるということで、爆弾事件との関連が見えてくるという展開に。
「名を刻む死」は老人が亡くなった原因を探る物語。名を刻むという行為は何を指すのか、第一目撃者の学生が持つ葛藤と、本来事件が持つ謎解きの難しさを並列的に捉えた作品。
「ナイフを失われた思い出の中に」では、少女殺人事件で犯人になってしまった伯父。しかし、本来的には自身が殺人者になんてなりようがなかった。外国から来た客人と現場を回るうちに、その覚悟や熱い想いを感じることができる。
「綱渡りの成功例」は、書き下ろし。台風で孤立した老夫婦が救助されたが、実は隠された謎があった。コーフレークで飢えをしのいだが、何をかけたのかとう点である。
トリックや仕掛けの妙、流れるような文体、生々しくも立体的な描写。美しい短編集だ。
投稿元:
レビューを見る
2016/2/11
真っ直ぐな推理物って久しぶりに読んだ気がする。
記者/太刀洗万智の短編集。辛口で痺れます。
ただ、「さよなら妖精」読んでから読みたかった。
投稿元:
レビューを見る
『王とサーカス』のフリー記者・太刀洗万智を探偵役に据えた連作短編集。前作と同様ほろ苦い読後感が印象的ですし、「ジャーナリズムとは何か」を考えさせられます。
お気に入りは【ナイフを失われた思い出の中に】。一つ一つの発言が後になって繋がる展開が鮮やかで心地良いですし、『さよなら妖精』とリンクする一編なので思い入れが強いです。
【恋累心中】はミステリーとしての仕掛けが鮮やかで一番出来の良い一編だと思います。
【綱渡りの成功例】はとんちんかんに思える一言から展開されるロジックは素晴らしいものの、夫婦が深刻になるほど罪深いものではないのでやや消化不良です。
投稿元:
レビューを見る
太刀洗万智シリーズ短編集。「王とサーカス」も気に入らなかったけど、この短編集も全話後味悪くて全く楽しめませんでした。そもそもこの主人公には魅力を感じられなくって感情移入もできないんですよねぇ…
投稿元:
レビューを見る
太刀洗万智シリーズ短編集。ミステリとしてももちろんですが、「王とサーカス」同様、ジャーナリズムの意味を突き付けられる作品でもあります。どれも重い話で、だからこそいろいろと考えさせられる気がしました。
お気に入りは「綱渡りの成功例」。本当に些細な謎なのだけれど、それをあえて解き明かし、公開することの意味が盲点といえば盲点でした。たしかに世間は好き勝手に憶測して騒ぐものだよなあ。
「ナイフを失われた思い出の中に」もいいなあ。これは「さよなら妖精」を読み返したくなる一作でした。
投稿元:
レビューを見る
読書記録です。まだの人は読まないでね。
表題作の「真実の10メートル手前」「正義漢」「恋累心中」「名を刻む死」「綱渡りの成功例」
書評を読んで、このところ忙しいから短編集ならちょっとずつ読めば…と思って借りたら一気読みしちゃった。主人公の記者の女性がどのようにして作者から生まれたのかがあとがきで書かれているけど、それを読んでなくても内容はすんなり入りました。最近、雑誌のスクープでそんなことまで暴露しなくても…と思っていたので、同じく世に出る記事でもこういう記者の手を経て出るのであれば、とも思わなくはない。読者である私たちにまでは伝わらない事実でもあるのだけれど。
投稿元:
レビューを見る
こういうテーマの話が一番刺さって息苦しくなることが改めてよくわかった
太刀洗万智の話をもっと読みたい
『王とサーカス』読もう