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投稿者:ポッター - この投稿者のレビュー一覧を見る
この作者の作品、あらかた読んでいます。ある意味マンネリ化した一力節で、この作品も、五二屋に矜恃を持つ主人公と盗賊の戦いで、おきまりのパターンであったが、それが自分には心地よい。安心して読める時代です。
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最初に読んだ『ジョン・マン』が面白かった、山本一力。
https://booklog.jp/users/makabe38/archives/1/4062779501
書店巡りをしていたら、この作家さんの長編小説が文庫になって並んでいたので、読んでみることにしました。
舞台は幕末。
四杯の巨大な船が、浦賀の沖を疾走します。
この船の存在に最初に気づいたのは漁師、そして「てきや」の監視。
そしてその情報はすみやかに、江戸で質屋を営む主人公、傳蔵に伝わって・・・という始まり。
黒船騒動で混乱する、江戸の街。
その中で、これからどういうことが起こるのかを知ろうとする、てきやと質屋の集団。
そして、この混乱に乗じて、質屋に悪事を仕掛けようとする、盗賊集団。
それぞれの思いと行動が、物語の主軸となっていきます。
全編を通じて書かれているのが、この時代の質屋の役割。
お客から所有物を預かり、お金を貸す。
その生業が、この時代の人々にとってどういう意味があったのか、人情的なエピソードを交えて、語られます。
歴史の教科書に載る黒船騒動と、庶民の生活に根付いた質屋。
これらの話を上手く、一編の小説にまとめたものだなあと、感じました。
歴史に名が残らない、一般の人を主人公にした時代小説。
この作家さんの特徴が発揮された、作品だと思います。
旺盛に作品を発表しているようなので、今後も文庫化を待って、読んでいきたいと思います。
『ジョン・マン3 望郷編』山本一力
https://booklog.jp/users/makabe38/archives/1/4062930137
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なかなかの長編作でしたが、本作は黒船来襲に揺れる頃の話で、質屋「伊勢屋」の後継ぎとなった主人公傳蔵を中心に、伊勢屋に襲撃をかけようとする盗賊の龍冴一味との知恵比べや伊勢屋に質入れにくる客と店員との優しさと厳しさを兼ね備えた人情的なやり取りが良かったですね!
それにしても質屋というのは表向きの体裁が悪いので、質=七=五+二で、五二(ぐに)屋と呼ぶのには粋な感じを受けました!