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存在論を主題に19世紀までの哲学者の思想を紹介していく。
もっと簡単な反哲学入門にすれば良かったと後悔しつつ、
何度も読み返しながら時間をかけて読んだが、
古代ギリシアの思想はありのままの自然主義が主流で、
ソクラテスはそれを否定しまくった破壊者であり、
プラトンは全ては理想の形であるイデアの模写だよと言い、
アリストテレスはそうじゃなくて可能性と現実体だよと言い、
キリスト教が勃興し、全ては神の意志だということになり、
デカルトは自分の理性によるものだよ(それも神の意思だよ)と言い、
カントはそうじゃないものも沢山あるんだよと言い、
ヘーゲルは理性は成長して変わっていくものだよと言い、
シェリングとマルクスとニーチェはそれらを否定して、
そこから20世紀の思想に繋がっていくという話だというのは、
なんとなくだが、分かった。
つまり西洋哲学は我々の住む世界はどうなっているのかが主要なテーマで、
ここから物理学やら経済学やらの学問が生まれたのだなあ。
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哲学というのが奇妙な西洋独自の思考様式であるということは間違いない。しかしデカルトに始まりヘーゲルに及んで完成される近代哲学あるいは形而上学的思考様式が産業革命に始まる近代技術文明の生みの親だとするならばそのような思考の枠組みを理解することも決して無駄ではない。しかし著名な哲学者の言葉に浸かり哲学的思索を深めようとすればするほど、私たちが世界を認識するための道具としての言葉が持つ概念というものの曖昧さというか限界のようなものを痛感するばかりである。
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追悼木田元先生
いつか読もうと思っていたが、木田先生がお亡くなりになられたとのことで急遽拝読させていただいた。何で今まで読まなかったのか。出来ればもっと早くに出会いたかった。
高校倫理や一般教養の哲学を勉強して興味を持った人向けの哲学史入門書。とても読みやすく哲学史とあるようにソクラテスから始まり形而上学を主軸に展開している。
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[ 内容 ]
ニーチェによって粗描され、ハイデガーによって継承された「反哲学」は、西洋二千五百年の文化形成を導いてきた「哲学」と呼ばれる知の様式を批判的に乗り越えようとする企てである。
この新しい視角を得れば、哲学の歴史も自ずからこれまでとは違って見えてくる。
古代ギリシアから十九世紀末にいたる哲学の道筋をたどり直す「反哲学史」。
講談社学術文庫『現代の哲学』の姉妹編。
[ 目次 ]
第1章 ソクラテスと「哲学」の誕生
第2章 アイロニーとしての哲学
第3章 ソクラテス裁判
第4章 ソクラテス以前の思想家たちの自然観
第5章 プラトンのイデア論
第6章 アリストテレスの形而上学
第7章 デカルトと近代哲学の創建
第8章 カントと近代哲学の展開
第9章 ヘーゲルと近代哲学の完成
第10章 形而上学克服の試み
終章 十九世紀から二十世紀へ
[ 問題提起 ]
[ 結論 ]
[ コメント ]
[ 読了した日 ]
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哲学というのは私を含めた一般の人々にとってはおそらく難解で近づきがたいものである。しかしながら、この本は、とてもわかりやすく、哲学に苦手意識を持つ私でも最後まで楽しく読むことができた。わかりやすさの理由として第一に、読者の疑問に沿う形で文章が構成されている。用語であれ、論理展開であれ、疑問がわく部分に対し説明がしっかりとされていた。第二に、様々哲学者を比較しながら紹介しているため、思想が相対化され、理解の手助けとなっている。そして、第三の理由としては、二つ目と関連するが、「反哲学」という視点を導入していることである。このことにより、より長期的な枠組みとして哲学史を捉えられる構成になっていると思う。
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19世紀までの哲学の歴史をまとめた本。各時代での著名な哲学者の思想のエッセンスをまとめている。後世の哲学者の思想への繋がりも対比しつつ書かれており、哲学という学問を概観して理解するには良さそう。
入門書の位置づけだそうだが、哲学書に慣れ親しんでいない自分にはやや難解。とは言え、時代を経て生まれていく様々な思想を追っていくと、自身の思考様式を改めるきっかけとなった。歳を重ねると自分の持っている知識の範囲で判断しがち。特に自分の得意分野においてはなおさら。自分が真実と思い込んでいるものから一歩引いてみることで、新しい何かが見えてくるのではないか。書評とは少しずれるかもしれないが、新年で気持ちを新たにするタイミングには良い一冊だった。
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20世紀の、西洋哲学を解体する思想的立場=「反哲学」の立場から、その19世紀末までの歴史を述べた、哲学の案内書的書物。元々、筆者が中央大学の講義で用いたノートを基に書いただけあって、臨場感にあふれ、且つ簡にして要を得ており、大学時代に専攻していたものの遠く離れてしまった私のようなものにも、何だか懐かしくありつつもその大略が掴めるようになっていました。「自然(フュシス)」を対象としていた思考から、「制作物(テクネ)」(=「形相」=「物自体」)が分離しそれを中心とする思考へ、それがヘーゲルで完成を迎えたかと思われたら、その解体へ。壮大な「自然(フュシス)」への回帰の歴史という事なのかな、と思いました。
あと、付け加えれば、自分が学生時代に難渋しながらも読んだ、カントの『純粋理性批判』の所が極めて分かり易く書かれていたのが、望外に嬉しかったです。改めて彼の他の書も久し振りに読んでみようかという気になりました。しかし、その前に、先ずこの書物の姉妹書の『現代の哲学』を改めて読んでみようと思っています(学生時代に少し授業で使用したので)。哲学の入門書としてお勧めです。
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おなじ著者の『現代の哲学』(講談社学術文庫)の姉妹編です。
「哲学」はどの文化圏でもどの時代でも通用する普遍的な知を意味すると考えられてきました。しかし、19世紀の終わりから20世紀にかけて、こうした「哲学」の見方を解体する試みが多く現われてきたと著者はいいます。本書のタイトルになっている「反哲学史」ということばは、こうした観点から「哲学」という知の様式の歴史を解体する企てを意味しています。
ソクラテス以前の哲学者たちは「自然」についての思索をおこないました。ただしこの「自然」は、こんにち自然科学が対象としているような自然ではなく、人間や神々さえも含めたすべての存在者の真の本性、つまりすべての存在者をそのようにあらしめている本性を意味していたと著者はいいます。彼らは、こうした意味でのあらゆる存在者の本性を、それ自身によっておのずから生成消滅すると考えていました。いわば彼らは「生きた自然観」をもっていたのだと著者は述べています。
こうした自然観は、しかしながら、ソフィストたちの登場と、それにつづくソクラテス、プラトンの「哲学」によって覆い隠されてしまうことになります。とくにプラトンの哲学は、現実の自然の外に超自然的原理を設定し、それに照準を合わせながらこの自然を見てゆくという発想に立っていました。ここに登場したのが、超自然的で形而上学的な原理としての「哲学」であり、それ以後の西洋哲学の歴史は、こうした形而上学的思考様式に則って展開されることになります。
著者はこうした見方をハイデガーの存在の歴史に関する思想から継承しているのですが、本書ではハイデガーの「存在の歴史」についての立ち入った議論はなされていません。本書では省かれているハイデガーの哲学史の見方については、『哲学と反哲学』(岩波現代文庫)や、著者のハイデガー哲学の解説書などにくわしく書かれています。
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哲学とは何かを体系的に考えるのに大変有用な本。要は、イデアも純粋形相も神も理性もすべては一つの形而上学的(現世とは異なる理想的な世界が存在し、それに向かって世界は進んでいく的)な同じ思想形態であり、西洋哲学、西洋思想はすべてこの思想形態を中心に発展してきたということがよく分かった。実存主義はそれを真っ向から否定するものであり、哲学ではなく反哲学と呼ぶべきものということらしい。とは言っても、旧来の哲学も決して無駄だったわけではなく、人間中心主義的な考え方が現代の科学文明を発展させる礎になったのだろうし、それにより人権宣言も行われたのだろうし、社会の要請の上で成り立つ思想形態なのだと思う。今の実存主義的な考え方も将来はどうなるかわからないのだろう。
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2021.09.07 とても素晴らしい。感銘を受けた。私の理解力がもう少し高ければさらに良さが分かったのではないか。
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反哲学といえばニーチェだという決めつけ。それ以上の知識の拡がりがないままの自分がこの本を読んで得られたのは、哲学というものをめぐる大きな歴史の動きと、それに伴い変化していく哲学者たちの考え方だった。哲学者一人ひとりの考えを深く理解することはこの本だけでは不可能だが、各々の哲学者が「なぜ」そのように考えたのか(またはその考えに『縛られた』のか)、「なぜ」その時代にその考えが現れたのかを理解するには大変良い書であると思う。
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生涯を通して「反哲学」を標榜されていた著者の反哲学。
決して難しい哲学の本ではありません。
木田先生が訳されておられる書籍にはかなり難しいものが多いですが、一般向けにお書きになられる本はとても分かり易くて助かります。
メルロ=ポンティとか現象学の本も読んではみたいのですが、まだまだ力量不足でその域には至りませんが、木田先生の著書は語り口も好きで結構読ませて頂いております。
「哲学」の面白さは木田先生のお書きになった本に教えられたことが多く…
評価したり感想を述べたりするのは
やはり少し恐れ多い汗
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プラトンのイデア論がキリスト教に良いように使われたのはすごく納得。西洋哲学の二元論がどのように発展したのかを知れる良書。
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『反哲学入門』からの続きとして読んだ。
『反哲学入門』と比べ、この本は、重なる内容もあるが、個人的にはより詳しく丁寧に述べられている印象があった。この本を読むことで前書の復習になり頭に残ったので、個人的にはよかった。
ある特定の哲学者の思想を理解しようとしたとしても、その人限定の書籍を読むだけでは理解しづらい。なぜならその思想の背景には、当時より前の哲学者たちの思想を基にしていたり、あるいはその人たちに対する反論が存在しているためである。
本書は、その思想の歴史的なつながりを理解するのに最適である。索引も付いているため、これから原著を読む時はこの本を振り返るようにしようと思う。
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・有機体のなかには、普遍的な物理・化学的な力以外にいかなる力も働いていない。今日この力によって説明しえないばあいにも、われわれは物理・数学的方法によってこの力の特殊な働き方なり働きの形式なりを見いだすか、それとも物質に内在する化学・物理的力と等しい尊厳をもち、引力と斥力に還元しうるような新しい力を想定するかしなければならないのだ。