紙の本
主役はヴァランダーの娘
2017/05/16 22:18
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投稿者:J・P・フリーマン - この投稿者のレビュー一覧を見る
主役はヴァランダーの一人娘のリンダですが、ヴァランダーシリーズの雰囲気はそのまま受け継いでおり、犯人がなぜ凶行を繰り返すのかが、じわりじわりと明かされていくシーンは読み応えがあります。リンダは警察官になったばかりで、事件のことで手一杯という感じがしますね。小説のテーマは宗教で、それほど目新しいものではないのですが、自分が特別な存在と信じた瞬間から、人は人の道を外れるのだなというのがわかります。
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「連絡が付かない友人はどうした?」ということで調べ始めたリンダだったが、警察署での勤務を始める以前の段階で、展開していた怪異な事件の捜査に加わるような型となってしまった。
どんどん色々な展開が在る中、リンダは身体を張るような按配で事件に向き合って行くことになる。どのような展開になるのか?是非、本書を!!
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30歳になるリンダは、紆余曲折を経て父親と同じ道を選んだ。そんな赴任前の彼女の友人がいきなり失踪する。矢も楯もたまらず勝手に調査するリンダ。だが彼女の行動が強引で、友人の留守宅に入り込むわ、日記は読むわ、車は乗り回すわで、いくら身を案ずるためとは言えなかなかの暴走っぷり。案の定、父クルトは怒りを爆発させるが、それでも娘の想いを汲んで捜査に参加させるのは、警察官としての熱意を買っているのかな。
リンダの視点でストーリーは進むが、彼女が見ているのは事件だけではない。娘の暴走を抑制し、時には厳しく諌める父親を冷静に分析し、そんな父譲りの気難しさを受け継ぐ自分自身についても理解している。これはヴァランダー・ファミリーの話でもある。父娘、母娘の複雑な関係、祖父への想いや自身の過去など、ファミリーのエピソードが随所に登場する。シリーズ・ファンには意外な発見があって興味深いトコロ。
肝心の事件だが、これは早々に犯人が判り、捜査陣がいかに犯人に辿り着くかのプロセスが鍵を握る。特に目新しい展開ではないが、警察ミステリとしての安定感は言うまでもないだろう。事件の背後に見え隠れするテーマは生と死かな。作者が亡くなった今、こういうテーマで描かれると、色々と考えさせられることもあるわけで…。
マンケルの構想の中に、リンダ・シリーズはあったのだろうか。私は結構好きだったな、先が思いやられる女性ではあるけど。未刊作品があるうちはまだ大丈夫。すべて読みつくした後に喪失感を味わうのでしょうねー。
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ヴランダー父娘の事件解決へ向けての揺るぎない姿勢がそのまま、亡きヘニングマンケルの一本筋の通った生き方が投影されていたのかと今は切なく思われる。どんなにもっと生き続けていたかったか…解説をみるとエッセイ、これから続くストーリーあるようなので期待。
今回嬉しかったのは、スピンオフ作品数の『タンゴステップ』で脇を固めていた彼らがいたということ。もう一度本を開いてみたくなった。
このシリーズの楽しみは表紙の美しさにもあったけれど、読み終えた今となってはステンドグラスの教会が別の意味として目に付いてしまった。
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主人公がリンダになって、最後のドタバタ具合も含め、少し落ち着いている感じ。こちらはこちらで面白かったが、やっぱりヴァランダー主役の方が好き。ただ、作者が亡くなってしまい、いずれにせよ続きは読めない。残念。
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白鳥が燃やされ、子牛が焼き殺される。イースタの周辺では奇妙な事件が重なっていた。さらに女性が行方不明になったとの通報が入る。だが驚いたことに、リンダの消えた友人の日記に、行方不明の女性の名前が記されていたのだ。リンダの不安は増すばかり。一方娘の勝手な行動にクルトは怒りを爆発させる。人気の刑事クルト・ヴァランダーが父娘で難事件に挑む。
途中で先が見通せてしまったのはやや残念。
シリーズ第9作と版元は謳っているが、この作品はカウント外でもいいのでは。リンダはよい捜査官になると思います。
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(上巻より)
ヴァランダーの娘のリンダが警官になる前夜というのも、面白い設定なのに、
二人でぶつかってばかりで読んでいて楽しくない。
リンダが父親が働くのを見て、リーダーとしての資質、みんなを引き付ける何かを見るが、それが何か描かれていなかったので、私には見えなかったし。
とにかく、人の弱さを暖かく見守ることがない。
それは悪いことではないだが、
最後にリンダが警官になった後、自分が助けられたように少女を助ける話がとってつけたようで、感動的に感じられなくて残念だった。
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著者が亡くなったことを知り、残り少ないシリーズ物を読んでしまうのが惜しかったのだが。ヴァランダーの一人娘リンダが警察官になる直前に巻き込まれる事件を描く物語。いつもながらの警察署の面々、亡き父(リンダには祖父)やバイバ(リガに帰ったかつての恋人)のエピソードがちょくちょく出てきてシリーズを貫く良い雰囲気を本作でも感じ取れる。
一方、リンダの行動は警察官になる前とはいえ軽率さが目立ち、ストーリーにも粗さか。
それでもヴァランダー物語の番外編として読めば満足。3.9
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犯人視点の章が読むのが辛かった。宗教的動機って一番ついて行けないな。
北欧諸国の人は自国以外の北欧言語ある程度わかるらしい。日本人はちゃんと勉強しない限り北京語もハングルもちんぷんかんぷんなのに。
エリックの最初の妻と、ラストでリンダが飛び降りを思い止まらせた少女の名前が同じマリアなのは偶然だろうか。
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クルト・ヴァランダーの娘リンダが主人公。警察官になる直前の事件を父と共に追いかける。今までのシリーズで時々出てくる娘リンダは、いつも情緒が不安定でフラフラしているイメージしかなかったが警察官になるとはびっくり。彼女の両親に対する、愛情や軽蔑がない混ぜになった感情がリアルで、意外と似たもの同士である父娘のやり取りにくすっと笑えてしまう。娘の容赦のない父の描写が特に面白く、クルト・ヴァランダーという人間の輪郭が際立ち、やはり彼はヒーローになりきれないなあと感じる。そこが良いのだが。
そうそう事件はカルト宗教がらみになるが、いつもな感じで面白かった。作者が亡くなってしまったので、ヴァランダーシリーズも終わってしまうのが悲しく、長らく積読状態だったが、すでに7年経っていた。今年こそ読んでしまおうと思った。