青春は暴走するから面白い
2009/04/01 22:19
7人中、7人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:木の葉燃朗 - この投稿者のレビュー一覧を見る
大学生を主人公にしたマンガ。この一巻で完結しています。
寮が同室で、音楽に打ち込む先輩とやりたいことの見つからない後輩という、ふたりの女子大生を中心に話が進む。先輩の、一見冷ややかそうでいて、秘めている熱さに心惹かれる。音楽で有名になることへの壁の厚さを感じながらも、そこから楽な道に逃げずに、壁を叩き壊そうとする。
このマンガを読んだ誰もが言及したくなると思うエピソードに、「駄サイクル」がある。仲間内でお互いが作った作品を褒め合い、みんながいい気持ちでいる。そのサイクルを、先輩が「駄サイクル」と名付ける。
そこではたしかに嫌な思いもしないし、自分の実力のなさを思い知ることもない。しかし、オーディションで点数をつけられたり、自分の作ったものが受け入れられない経験も必要だと、先輩は言う。どちらの道を選ぶかが、「自称アーティスト」と「アーティスト」の分かれ目になるのだろう。
そういう熱さを持ちながらも、細かなギャグや仕掛けも多くて面白いし、「もっと長く続いても」と思うのだけれど、すぱっと終わったこともよかったかなと思う終わり方。
甘酸っぱい…だけでは言い表せない
2010/06/23 06:28
3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ヤマネズミ - この投稿者のレビュー一覧を見る
人によっては「古臭い感じ」を受けるかもしれない。
ぼろい大学寮などの舞台設定からと言うよりは、音楽活動に生活を削るセンパイ、気取った勘違い男、夜中の男2女2のドライブしかも海へ、というエピソードからか。
自分の価値はどれほどなのか、この先どうやって生活しているのか、誰に認めてもらえるのか、もらえないのか…
自分が見えなくなってさまよう様子が、大掛かりな仕掛けも事件もなく淡々と描かれている。易しい言葉で難しいことを説明するのが困難なように、派手な絵柄でもなく、大きなコマ割を使うでもなく、もちろん小賢しい台詞回しがあるでもなく、実に淡々と、しかし生々しく描かれている。
作品全体に流れる不思議な空気感は、本作に限らずこの作家の持ち味と言って良いだろう。
共感できた
2018/07/14 13:12
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投稿者:ぼぶ - この投稿者のレビュー一覧を見る
石黒正数さんの漫画に込められているメッセージは、私が思っていることと同じことが多々あります。ギャグ混じりなのですがとても心に残るお話でした。
夢に向かう葛藤
2022/12/31 17:58
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投稿者:rumo - この投稿者のレビュー一覧を見る
夢に向かって邁進していくさなか、それが現実になったときのとまどいの表現が素晴らしいとお思います。
ただ、石黒先生の短編にありがちなのですが、前半シュールギャグで通してて、後半にちょっとせつないヒューマンドラマを入れてくるというアップダウンがしんどい。
一冊の漫画で、前半だけ好きな気分のときと、後半だけ好きな気分の時がある。
関係性を楽しむ
2024/02/16 23:51
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投稿者:忍者 - この投稿者のレビュー一覧を見る
作者の別作品「響子とお父さん」という作品が、父と娘という関係性を描いたのと同様に、先輩と後輩という関係性を楽しむ漫画だと思いました。絶妙な距離感と掛け合いがクセになります。

