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投稿者:ぽにょ - この投稿者のレビュー一覧を見る
テロリストのパラソルを読んでいこうファンになった。
著者らしいハードボイルドな作品で、主人公が冷たそうでいて、義理深いところの描写が上手い。
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一日目;まだまだ序盤。でも、何かが欠けてしまっている主人公にはとても惹かれる。テロリストのパラソルの主人公に似通ったところが少しある。妻が自殺した真実がこれから関わってくるのかな。
二日目;怒涛の展開。とにかく展開がはやく、登場人物が出てきては去り、再び、というのが繰り返される。主人公は幼稚と言われるが頭の回転が速く、また、人間としてどこか欠けているがゆえに、魅力的だ。お金に執着しないところなんてとくに、あこがれる。どうしても、きれいごとではそんなことをいえても、実行できる人なんてこの世にどれくらいがいるだろうか。
義弟である宏がなんだかかわいい。ファン・ゴッホの八枚目のひまわりを意外な隠し場所から見つけたが、それが奪われ、奪い返すとは言っているが主人公の本来の目的はそこにはない。物語の本筋と主人公がちぐはぐしてるようでなんだかおもしろい。主人公の妻の自殺した真意はどこにあるのだろうか。子どもの父親はだれ?
三日目;これまでの出来事はすべて送り火によって空へとのぼった。残ったのは、言葉にできない、する必要のない感情。いとしさとか、やさしさとか、かなしさとか、にくしみとか、なんだったのだろう。“おとぎ話”と現実が交錯した物語。主人公の得た真実は、おとぎ話の中で生かされていた彼に、現実をつきつけるものだった。彼はこれからどう生きる事になるのだろう。
・・・読了。
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七年前、妻が自殺した。自分以外の男の子どもを身ごもったまま。
妻を失って以来、それまでの事業からいっさい手を引き、めったに外出することもなく、ただひっそりと平板な毎日を生きていた主人公。そこに突然、昔の上司が奇妙な依頼を持ち込む。ある事情から五百万円のカネを処分してしまいたい、手を貸してくれ――
その奇妙な依頼に付き合った夜から、突然、主人公の周りに奇妙な連中が顔を出し始める。亡くした妻によく似た顔をした女性、経済界の裏の顔らしい老人、暴力団関係者。周到な、あるいは直接的な方法で、彼らは心当たりのない主人公から、あるものの所在を探り出そうとする。それは、ゴッホの知られざる遺作、もう一枚の「ひまわり」だった。
いや、よかったです。ハードボイルドものが好きな人には、かなりオススメ。リアリティがあるかというと、小説的すぎるというか格好良すぎるかもしれないけれども、そこがいいです。いかにも男の人が書く小説だなあという感じ。男の美学というか……
主人公は幼稚だ、性格が子どもだと、色んな人から度々言われています。たしかにそういう部分があって、大人げはないし、社会性が欠如しているのだけれども、その分男気や、皮肉な性格と頭の良さに見合わないような純粋さがあって、すごく魅力的。
悲哀と皮肉、一途な愛。『ダナエ』『テロリストのパラソル』のときも思ったけれど、小説世界にどっぷり漬かれる、濃密な空気があります。
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前作程サクサク読めるわけでも、スリルが味わえるわけでもないのですが、落ちついて読める感じの作品でした。
主人公の幼稚さがいろいろな人にやたら指摘されてて、若干違和感が・・・
ラストはえー・・・って感じでした(笑)
まああのラストも、主人公の幼稚さゆえなのかな。
世界的な文化遺産なのに・・・
テロリストのパラソルと設定が似すぎているような気がしました。
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気に入った作家さんの作品は古本屋で見つけるととりあえずまとめて買っておく癖があります。そして気が向いたときに読むのですがふと気づいたら同じタイトルが2冊ありました…。しかも同じ日に買ったらしい。アホじゃないか、私。
それはさておき。
この方の書く主人公は本当に独特ですね。厭世感に満ちているというか…でも決して無関心・無感動なわけではなく。今の世の中で一番信仰されている「カネ」と言う神を無視出来るなかなか凄い主人公です。
ラストはちょっと納得できかねたので残念です。
絵画を投資に使うということについてどうなんだろう…と思ってましたがまあこういう考え方もあるんだなあと思いました。
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一気に読み終わって思ったのだけど、長いわりにずいぶん短い期間の物語であった。もちろん、小説の中に流れている時間は短いけど、その背景にある時間はずっと長く、しかも重厚なものだ。それがあるから物語がずしんと重く感じ取れるのは確かだと思う。
「ひまわり」という有名な絵画をモチーフにした、一種の争奪戦である。物語はよく練られていて説得力がある。なにより、登場人物が魅力的である。物語の背景にしか登場しない、それでいて主役と言っていいような女性を筆頭に、どいつもこいつも一癖あって、いろんなことを抱えていて、身勝手でよい。全体として「大人」と「子供」(精神的な、ある種の暗喩として)の対比が露骨で気になったのだけど、それがある意味「衝撃的な」ラストを引っ張り出していると思えば、それも作者の作戦であろう。読み応えのある、いかにも「日本のハードボイルド」といった雰囲気が感じられる小説だった。
ただ、全体としてあまりにも物事が都合よく進みすぎていないか、って印象はもってしまった。主人公の特技にせよ、最後の方で実に感動的なタイミングで現れる救いにせよ、妙につながりがある登場人物達の人間関係にせよ。なんだか、この複雑な物語をなんとか集結させるために、神ならぬ作者がいろんな偶然の目を調整しすぎているような感じがして、それは残念であった。
まあ、最初から最後まで、息つく暇もなく読みふけることが出来た本であることは間違いない。
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妻が自殺してからデザインの仕事をやめて隠居状態だった僕は
かつての上司である村林から五百万をギャンブルですってくれという
風変わりな頼みを受けた。
連れて行かれたカジノには村林の顔見知りである老人と
死んだ妻にそっくりの女がいた。
女は僕を追って来たので妻のことやなぜそこにいたのか尋ねたが
彼女は何も知らされずに老人につきそってきただけのようだった。
そうして家に帰ってみれば自宅の戸口が破壊され
監視の車がうろうろしている。
さらにカジノのマネージャーであった男が接触してきた。
彼らは別々の組織だが狙いはどうやら妻が見つけた八枚目のひまわりらしい。
しかし僕はそのことについて何も聞かされていないのだ。
カバーデザイン:片岡忠彦The Bridgeman Art Library/AFLO
ファン・ゴッホの八枚目のひまわりを巡るサスペンスです。
前半はなんとなく村上春樹っぽい印象でした。
主人公の何事にも関心を抱かない感じとか謎の女の登場とか。
でもストーリー展開がはっきりしているから純文学ではないのかな。
後半はいろいろな人間関係が明らかとなって
だんだんこんがらがってきましたが落ち着くべきところに着地しています。
英子がいい女すぎるのが現実味にかけるかも。
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第41回江戸川乱歩賞、第114回直木賞を受賞した『テロリストのパラソル』の著者・藤原伊織の受賞後初作品。
かつては優秀なデザイナーだった秋山は、妻を亡くして以降仕事もせず変化の乏しい「つるつるのプラスチックみたいに平板な生活」を送っていた。そこへ現れるかつての上司。彼は500万円を一晩で捨てる手助けを依頼してきてーー
ゴッホがアルル時代に描いた幻の8枚目の「ひまわり」を巡る、ハードボイルドミステリ。
文章が上手いし、面白さにも安定感がある。夢中になって読める作品だった。
テロパラの時もそうだったけれど、伊織ちゃんの活写する脇役はずいぶん魅力的。本作でいうなら武道の達人で同性愛者のマネージャー・原田が良い味出してる。
本当に早逝が惜しまれる作家。他の作品も読んでみようかな。
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テロリストのパラソルが面白かったので読みました。
これを読む前に軽めの文体の本を読んでいたから余計にそう感じたのかもしれませんが、会話がくどい感じがしました。
けれども、人物自体はカッコよくて良いなあと思いました。主人公の秋山は駄目人間みたく思わせておいて頭がいいですし、銃撃っちゃうしネズミと同居しとるし。私的には原田が一番ツボでした。優雅さがあって武道派、丁寧な喋り方。やわらかな微笑、ってどこの紳士でしょうか。仁科氏にはもったいない人材。
前半は背景がなにも分からないですし、秋山の心理描写が際立っているので退屈してしまったのですが、後半は暴力団とのやり取りとか心理戦が面白かったです。秋山と麻里の最後の会話は直接的ではないから余計に悲しい感じでした。
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個人的には今一歩のハードボイルドミステリー
ハードボイルドだからかもしれませんが、会話がくどい。
さらに、前半では何がなんだかわからない状態で物事が進んでいくのが耐えらず、かなり退屈してしまいます。これ以上続いたら、読むのやめようと思うぐらい..しかし、後半戦はようやく話が盛り上がって、話の全貌が見えてきて、どんどん読み進めることができました。
前半なくていいのに(笑)
基本的にストーリとしてては、ゴッホの8枚目のひまわりの行方と、主人公の奥さんの自殺の真相といったところかなと思います。そして、衝撃的な結末。
これに出てくる登場人物がまたまた個性的!、もちろん、くたびれた主人公、ゲイの知的格闘家、好奇心旺盛な娘、やくざ、義理の弟、新聞配達の青年などなど。
登場人物の人間関係がこれまた、こんがらがりそう
前半はまだしも、後半のスリリングな展開は2時間ドラマでみてみたいところ。
ということで、前半の退屈さで★減点。
やっぱり、さくさくっとストーリが展開する物語系が好き(笑)
ハードボイルドの独特の言い回しは自分には不向きかな。
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久しぶりに読んだハードボイルド小説。読み始めて早々、序盤から読むのが苦痛で何度も挫折しかけた。読むぞと意気込んでみても1日数ページしか進まない。毎日その数ページを繰り返しやっとのことで中盤を乗り越えた辺りから物語は動き出す。これぞハードボイルド小説。総評としは、面白かったです。
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高校時代からの付き合いの最愛の妻に自殺され、唯一の才能であった絵画やデザインをやめて、銀座の済のボロ家で貯金を食いつぶす秋山。そこへ元上司の村木が「この金を今すぐスってほしい」と500万円を持ち込む。向かった先のカジノで出会った女性から、妻の死についての情報の断片が持ち込まれる。妻はファン・ゴッホの『ひまわり』の秘密を知っていた…?
藤原伊織のハードボイルドにつきものの超人主人公ではない、ちょっと変わった38歳の男である。もちろん、ギャンブルの才能が超人的で、射撃の腕も有る。しかしそれらをそれほど活かすこともないのが珍しい。
ファン・ゴッホ(作中で、"ゴッホ"とかくなということなので)の『ひまわり』は、現存する7枚だけでなく、たくさん描かれていた可能性を描いていくわけだが、絵画に対する知識や調べたこと以上に、作者の好みが描かれているのは、この手の作品には珍しいであろう。参考文献も多数で、きちんと調べられているので、美術系に詳しい人ほど楽しいかもしれない。
一方で、主人公秋山の生活にこれと行った目的もなく、身寄りがないために人質に取られたりということもほとんどないことから、ストーリーの展開が遅い。特に後半で、原田たちとの会話中心の部分はわかったようなわからんようなという話が続く。多分執筆の集中力が切れてたんじゃないかな。こちらも寝不足で読んだので頭に入ってこなかった。
ハードボイルド作品であるので、謎解きや結末はまああんまり気にするほどではないが、ただ思わせぶりな話になってしまった後半はイマイチだな。
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夏にひまわりの本を読もうと毎年組み込んでいる今年の一冊。
なのでタイトル買いであり、帯の文章などから「謎」メインの話を期待して読み始める。
ゴッホのひまわりにまつわる「謎」は、とってつけたような内容であり、その他様々な設定も展開もご都合優先で、その場しのぎな描写が多いように感じた。
本の厚さの割に内容は薄い印象。
秀才デザイナーが奥さんの死をキッカケに引きこもり…元上司が…内容に関しては序盤ほぼ伏せられているのでネタバレを考慮すると何も書けない。
出来の悪いタイプのライトノベルの様だった。
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妻の死後、なにもかも捨てたような暮らしをしていた主人公
かつての同僚が訪ねてきたところから時間が動き出す。
妻の死の謎
8枚目のゴッホの「ひまわり」は本当にあったのか
ミステリとしてが、ちょっと無理やり感はあるけれど
ハードボイルドとしては登場人物が魅力的。
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テロリストのパラソルが面白かったのでこちらも。
会話が洒落すぎてて言い方が回りくどすぎて結局何を言ってるのかよくわからず(理解力がないだけだろうけど)。
事実が口頭で語られてるので真相がわかったようなわからなかったようなで進んでしまった。
奥さんの死の真相もそれでいいのか…?と。
でも展開はなんやかんやで面白かった!