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紙の本
私は大人だから買いました。読みました。
2016/03/02 23:06
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投稿者:朝に道を聞かば夕に死すとも。かなり。 - この投稿者のレビュー一覧を見る
筆者の父親が亡くなり、ある日、ふと、料理を作ろうという気持ちになれないことに気づきます。全く自分で料理を作ろうという気持ちが湧いてきません。筆者が思うに、自分の作る料理を喜んでくれる人がいて、その人は私を待ってくれているという「不思議な力」によって「義務感」が生じた、と振り返ります。だから人は誰しも自分を必要とする他者のために着る時にパフォーマンスが最大化する、と考えます。
愛という幻想である限り移ろいやすいから、例えば婚姻届けを出さない事実婚でも、毎回、お互いに愛の確認をしないといけないという手間がかかります。でも、こういう義務感はなんとなく私たちが持っているものです。
銭湯に行く話で、カランの前に自分の持ってきた風呂桶を放置しないとか、脱衣所に出る前に身体の水滴をよくふき取っておくとか、銭湯にあるものは、自分のもののようであって、そうでない共同体の共有資本だ、と述べます。で、銭湯行く人なんて市井のお爺さんくらいしかいないので、こうした風景から社会的共通資本を銭湯に見出し、比較的元気な老人が身体不自由な老人を助けるという話は、ためになりました。
私には、道端の花に「美しさ」を見出す感性がないので、地元の東京の散歩の描写なんかはまるでピンと来ませんでしたが、それを差し引いても、筆者の世代の考えが垣間見えるようで面白かったです。
皇太子のご成婚は、民間から皇太子妃を受け入れ、国民全体が祝福することで日本人たちは初めて新しい天皇制民主主義という、ご成婚の祝賀ムードの中で日本人は戦後が終わったことを実感していたとか、力道山が死に、東京オリンピックが成功裏に終わってようやく日本に物語を必要とする時代が終わりを告げ、日本は政治的に対米従属しながらひたすら経済発展だけを追い続けた、というのは「ああ、この世代のメンタリティは当時、こう考えていたのか」とまるで、近所のおじさんがコーヒーを飲みながら静かに語りかけるような読書の時間に浸れます。
貨幣の登場によって、人間はどんな贈与物でも貨幣と交換することが可能となり、消費する必要がない時には交換された貨幣は退蔵されていきます。消費期限を持たない価値が生まれます。
筆者は可視化というビジネススタイルが可視化ではなく、単純化であることにいつも不満を持っています。特に共同体の他のメンバーに対する信頼、形を持たず目に見えない曖昧なものに対して、排除を繰り返すことで「折り合い」をつけるという知恵を私たちが忘れ、自分の知らないもの、異なるものに免疫が低下しているんじゃない?と問います。
本書の題にあるように、目に見えない「特別なこと」がちりばめられています。いろいろ多岐にわたる文章があるので、自分のアンテナに引っかかる章に触れてみるのもいいかもしれません。
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