紙の本
人間以外の「知性」がもたらす特殊な笑い
2007/03/22 23:12
8人中、8人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:上原子 正利 - この投稿者のレビュー一覧を見る
コンピュータープログラムが人間の言葉から見つけたという思いがけない解釈に、「Time flies like an arrow」(光陰矢の如し)に対する「時蝿は矢を好む」というものがある。確かにこの解釈は可能だが(time fliesを蝿の一種と捉えて主語とする)、人間はこんな風に考えない。普通、コンピュータープログラムのこのような解釈は誤りとして否定的に捉えられるだろう。
それに対して本書は、このような解釈を人間ではなかなかできない意味の変換として利用している。この立場を取ると、言語処理プログラムは普通の文を予想外の文に変換する機械となる。かな漢字変換プログラムを用いたこの種の遊びはコンピューター系のエッセイでかなり昔に扱われていた記憶があるが、本書は題材と手法の選択から視覚的デザインまで一貫して変換の面白さを強調するように行なうことでこの見方を徹底させている。巻末の作者紹介によると、文章担当の原倫太郎は「変換」をキーワードとした作品を制作している美術家で、本書もその一環だろうか。
本書では、一寸法師、かぐや姫、桃太郎の3つの昔話を複数の翻訳ソフトで日本語から英語に変換し、その英文をさらに翻訳ソフトで日本語に変換し、その結果を編集して作られた「新しい昔話」が示されている。「新しい昔話」とは矛盾した表現のようだが、得られた日本語は実際にそんな感じだ。1回の翻訳で既に元の意味が壊れているのに、それをさらに翻訳することで怪しさが二重になり、誰でも知ってる話が謎の表現のかたまりになる。例えば、内容的には妥当だが表現を間違えて、「鬼が島へ鬼退治に」が「怪物アイランドに怪物ハントであります」に。単語の多義性を扱い損ねて、「中納言」が「vice-minister...」を経由して「悪徳大臣」に。こういう表現が延々と続き、人によっては笑いを抑えられない可能性があるので注意が必要だ。私の場合は笑いっぱなしだった。
本書を読む際には、入口と出口の日本語だけでなく、中間の英語も追いかけることを勧めたい。中間の英語を見ると、翻訳ソフトが間違えた理由を理解できることが多く、その思いがけない解釈に感心させられることが多い。立て続けに示される予想外の解釈を見ていると、翻訳プログラムが人間とは別の「知性」を持っているようで、普段は気にもしない人間の思考の枠を意識させられる……と言うと大袈裟か。特殊な感覚の笑いを誘う作品である。
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翻訳ソフトによる楽しい(?)文学の世界が繰り広げられています。挿絵も文章にあっていて、カラフルで心がなごみます。でも自分もこの翻訳ソフトのような訳を仕事でしているのではないかとドキリとしました。反面教師?
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日本語→英語→日本語訳するという視点、それら翻訳をパソコンにやらせる発想、面白いなぁ〜とおもいます。 アイデア賞!
大笑い…とまではいきませんでしたが…私の笑いのつぼとはちょっと会わなかったみたいです。
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ちょっと無理やりな翻訳もチラホラ。。
見比べやすいように、原文・英訳・再和訳の3種類を見開きで並べて欲しかった
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一言で言えば、とてもシュール…。
でも一度読んだら、もうやみつき!
いろんな昔話を、複数の翻訳ソフトを用いて、原文を、英文翻訳→日本語に再翻訳というように変換していくことにより…。
一寸法師が少量法律助言者となり…。
空を飛ぶあのキジが記事になったり…。
直訳の恐ろしさここにあり、といった感じ。
本書には、「一寸法師」「かぐや姫」「桃太郎」の3篇を収録。
どの昔話も甲乙つけがたい、とてもシュールな面白さをプンプン漂わせております。
思い出し笑い必死ですぜ。
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とっても幸せになれる本w
日本の昔話を、自動翻訳で英訳し、
さらにそれを自動翻訳で和訳し直すとどうなるか?
まさに、日本昔話Remix!
立ち読みでもいいので是非読んでみてほしい。
そして、シュールなんだか何なんだか、
不思議でキッチュな世界に浸ってほしい。
こんなセンスの高い文章、そうそう作れませんよ?w
挿絵も通常版とRemix版といい具合にインスピレーション書き立てますww
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日本の代表的な昔話「かぐやひめ」「一寸法師」「桃太郎」を15の翻訳コンピュータで英語に直し、さらにそれを日本語に翻訳しなおして、面白い表現を厳選。そんな言葉たちを組み立てて作られたまったく新しい(?)新☆昔話。ちょっと無理やり単語をくっつけた感はあったけど、かなり笑えました。桃太郎の桃はなぜか塩味、鬼退治は怪物ハント、かぐや姫のおじいさんは、流行のトラブルおじいさん・・。というか、内容よりこの試み自体がとても斬新!
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これは爆笑できる。腹よじれる。
桃太郎もかぐや姫も一寸法師も翻訳機を使えばあっという間に奇怪小説。
これを思いついて製本した人に拍手を送りたい。
続編も激しく希望...!
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昔話を自動翻訳で英訳し、それを更に自動翻訳機に入力して日本語にもどすと、あら不思議。
非常にクレイジーな昔話の出来上がり。
しかもばかばかしくて笑えて、現在の翻訳機の限界が端的にわかる一冊。
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笑いを堪えようとしても、勝手に噴き出してしまう!!
最高に面白い本。
絶対に電車の中で読んではイケマセン。
絵も一緒に訳の分からなさを盛り上げてくれています。
続編に「背面ストライプの浦島太郎 日本昔話Remix2」がでています。
続編よりも私はこっちの方が好き。
友人にプレゼントしたい本です。
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めちゃくちゃ笑える!!
こんな文ができちゃうなんてホントすごいなー。
かなり馬鹿らしくてお勧め。
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バカすぎる…なにこれすごい面白いんですけど。
人に勧めたい。そんで一緒に笑いたい。
意味のなさがいい。
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ふーーん、、、それで・・・?と思ってしまった。日本語→英語→日本語という発想が面白くって、それで絵もなんだか魅力的なんだけれど、それだけでした。
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2008.8/2
パクられた、と思って読む。経験上、普通に翻訳かけただけじゃこういうおもしろい文にはならない。「15の翻訳機を使った」って書いてあったからきっとおもしろくなるように組み合わせたのでしょう。いまいちっすよ。
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文は摩訶不思議。
それを凌駕せんとする挿絵のパワフルさも。
古典で習った奥ゆかしい日本語はどこかへ行ってしまったけれど。
腹が捩じ切れそうになりましたが、
気を取り直して読むと、
バグの文章としてはっきり見えてきました。