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「「A」ばかりの人生なんてつまらない、などと言う気は毛頭ありません。そうできる条件と幸運にさえ恵まれたのなら、泣かないほうがいいし痛みや悲しみは経験しないほうがいい。後悔なんて、する必要がないほうがいいに決まっています。
けれど、人々がよく口にする「後ろを振り返るな、後悔だけはするな」ということばにも、やはり私は簡単に頷くことができません。常に常に「前」だけを向いて生きていくことが、そんなに正しいこととは思えないからです。
欲しかった「A」をもらえず、「A」どころか「B」にも「C」にも手が届かずに、「F」を取ってしまったのなら、してもしても足りないほどの後悔の原因が自分の歩んできた道のどこかにすでに存在しているのなら、気の済むまでそれを見つめ気の済むまで後悔したっていいじゃないか、と思っています。
そんなふうに後ろをときどき振り返りながら、おずおずと、おっかなびっくりに歩いていっても構わないと思うのです。前を向いていなくても、胸を張って顔を上げて歩いていなくても、強くなくても優しくなくてもカッコ悪くても構わないと思うのです。ちょっとずつでも歩くことを止めさえしなければ。」あとがきより。
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鷺沢萠の本の中で一番好きな本。この本は短編集なんだけど、「シコちゃんの夏休み」がいい。これを初めて読んだとき、シコちゃんに強く強く憧れた。
悲しいこととか何か大変なことを人に話して聞かせて「すごいね」って言わせることが、恥ずかしいことだって思うようになったのはこれを読んでからだと思う。
あとがきに鷺沢自身の言葉で「F」(落第生)でもいいって書いてあってね、それがわたしには御守りとか呪文のように、今でも響いている。
鷺沢萠どうして死んじゃったのかなあ。どうして死ななきゃいけなかったんだろう。ときどきその理由がわかるような気がして、でもときどき、本当にわからないって思う。
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だめだめでもいいじゃん。
綺麗じゃなくても賢くなくてもいいじゃん。
一生懸命生きててもさ、運がいい悪いってきっとあるよね。
背中をぽんぽんと叩いてくれるような本で
私はとても好きです。
こんな優しい本を書く人が
どうして自ら命を絶たなければいけなかったんだろう。
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がんばってるのに、うまくいかない。
幸せなのに、どこか虚しい。
そんな愛すべき「落第生」の女性達が登場する短編集。
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落ち込んだ時に読んだから、なんだか少し心が洗われる心地がした。考えてみれば、私も人生の落第生。何かの局面で、成功したことなんてほとんどない。それでも人間は生きなきゃいけなくて、実際に生きている。それは自分だけではないのだ、と感じることによって我々は日々を過ごせているのかも。
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普段男性作家の書く男性主人公の小説を読む事が多いので女性作家の女性主人公の当然女性視点の小説というのは新鮮で良かった。共感できるところが少ない分客観視できてそれはそれで面白かった。
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人生の落第生の話を集めた短編集。この主人公たちは身近にはいないような類の人たちだけど、どんな優等生でも社会の中で落第している部分はあると思った。全て完璧で自信過剰みたいな人間とは仲良くはなれないかな。面白みがないかと。何かしらを悩んでいてこそ魅力がある。
思春期のトラウマを描いた話では、共感できる表現があって気に入った。
話の並べ方も良い。
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今は亡き鷺沢さんの作品。
どこかダメな女主人公たちの恋愛模様。
つい自分と照らし合わせてしまいます(^ω^ ;)
「家並の向こうにある空」は
高校時代にテストで出題されて読みました。
最後の「重たい色のコートを脱いで」も切なくていい。
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ここに出てくる女の子たちの人生はみんな、泥沼。
だけど、誰一人ヘコたれず、めげない。
背中を押して励まされたような気持ちになります。
いとう
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鷺沢さんの本は、Fが初めて。高校の図書室で借りたこと、覚えています。
最初の話があまりにも良い。でも、他の作品もいつまでも色褪せない。
たとえ「A」をもらえなくたって、人間はこんなにも素敵なんだと思える。
大好きな短編集です。
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日常風景のスケッチなのかな。地味だけどがんばっている人たちのいろいろ。
しかしくだらないとも共感ともつかない話が多くて「うーん」・・・
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40の足音を聞くようになった現在では、落ち着いて読むことができるけれど、若いときは本当に胸が痛くなるほど共感した。
胸をかきむしられるような切なく辛い表現がなんともリアル。
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家並みの向こうにある空が一番良くて。ダメな男ばっかり好きになってた主人公が、普通の男と付き合って、自分に無関心っておもって辛かったんだけど。辛くて家を出て、もう別れようって伝えようとしたら、家から消えたことを心配してくれた彼がやってきて。薄っぺらだなんて思った自分がバカみたい…なんて、ステキな話だった。人生なんて、そんなちょっとしたきっかけで動いてるもんだから。
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再読。やはり勝利者より敗北者の物語が肌に合う。気持ちが手に取るようにわかるのは、経験値がそうさせるのか作者の力量か。基本的には傷持つ身の女が、それでも最後に一条の光を見いだせる結末ばかりなのでハピエンではある。「忘れられなくて」は「最後の一文」小説かも。良品
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【本の内容】
ポジティヴに生きることだけが、決して正しい生き方じゃない。
後悔したって、前向きじゃなくたって、少しずつでも歩くことさえ止めなければ、大丈夫。
恋において、友情において、仕事において-。
人生のなかで何かに「落第」してしまった女の子たちへ贈る、短編集。
[ 目次 ]
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Fとは成績表で「落第」の印。
損を承知で姉のために一肌脱ぐヒロイン、だめんずに付け入られてばかりのヒロインなど、人生の合格点をもらっていると言い難い女たちを描いた短編集。
夏休み前の成績表に一喜一憂するのは子ども時代で卒業。
自分で始末をつける女たちがカッコいい。
[ おすすめ度 ]
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[ 関連図書 ]
[ 参考となる書評 ]