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しかちゃんお宝箱ななさつめ。どんどんいきます。
…。ちゅうか…。これは…。
表紙を見た瞬間、
「わっ、キレイやな!」
と、思った。好き。こういう画風、すごい好き。ほんで、
「よしながふみ氏みたいやな」
と、思いながら読み始めました。
うんもう、理解(?)するのに二度読んだ。二度読んで、改めて、こっれは面白いなと思った。
今回しかちゃんから送っていただいたまんがは、手元に残すか残さないかを選別しつつ読み進めていくつもりやねんけど、このまんがは確実に残すな…。
澄は正直、いかがなものかと思う。最初に基さんのことをああいう形で表現したのは、初読時は私もまるっと騙されたよ。
ほんで、こういう画風ならではのダークな内容なんか、それはキッツイな…、と、思っていたのに、わずか数ページでネタばらし…。
しかも、わかって読んだら澄のたとえがものごいうまくて、やるな…、とは思うけど、こういう騙し方はやや性根がひねくれすぎてやしませんか。
しかもわざわざクラスメイトの前では猫をかぶる必要がどこにあるねん。
基さんと結城さんの話に登場する中学生の澄はめっちゃ可愛いのに…。
どこでどう間違って、ああいうヒネクレ高校生になっちゃったの…!
(やっぱり、基さんの存在…?)
「ぜんぶあげる」
っていうた吉野に、どうしようもなく揺さぶられて…。
澄の性根が好きじゃないはずやのに、この作品の世界観はめっちゃ好きや。
私もこういう世界観のSSを書いてみたい。
あげるっていうてみたい。
ああ、いうてみたいなあ。
私がもっているもの、全部、あげる、なんて、好きな人にいうてみたい。
以前まではそんなことを言われてみたいと思っていたけど、もう今は違う。
自分をあげるっていえるほどの人に出会ってみたかった。
そうしたら、結城さんはかつて基さんに
「おこがましいですが」
と、いうて、基さんの望むものを贈りたかったっていわはって、もう…。
誰かのために何かをしたいと思う気持ちって、ほんとうに素敵やんね。
私はそう思える相手がいないので(子どもは別格)、正直、すごい憧れる。
基本、自分ばっかり。自分さえよければ、と、思ってしまう私は恋愛体質ではまったくないので、余計に、こんなふうに思える世界に憧れてしまうかもしれない。
あなたの望む私をあげる、と、いわれて、そんなふうに犠牲にしてまでの愛情はいらないと思えないのは、なんでなんやろう。
それは、基さんが、または澄が、結城さんのなにがしかを、吉野のなにがしかを求めているから、「あげる」と、いわれるだけで切なくなってしまえるのかな。
相手を食べてしまいたくなるほどの愛情。
好きとか恋とか愛とかじゃなくて、それは、深淵かもしれない。
ひとつになりたいという深淵かもしれない。
ああこんな話を書いてみたいなと思った。
足りないものを相手で埋めようとする人を。そうとわかっていて、自分のすべてを差し出そうとする人と。
そんなふうにしてたどり着く未来は決して明るくないと思うけれど、未来よりも自分を埋めたいと思うような。
そんな、深淵を、書いてみたいなあ。