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猫目線で描かれる猫ちゃん小説。
ダルシーという名の猫が飼い主である“あたしの人間”
と出会い、暮らす日々を描いている。
ダルシーは作家ディー・レディーの飼い猫の名前で、作家のダルシーへの思いが詰まっている。
猫目線の猫ちゃん小説は数あるが、この本が他と異なるところは、あくまでも猫の暮らしを描いていることだ。
猫ちゃん小説の多くは、猫の目を通して人間の姿の滑稽さや愚かさを描いているが、この本ではあくまで猫のダルシーが主役、主猫公なのだ。
そのため、“あたしの人間”が元気がないとか笑っているといったことは書かれているが、自分が直接関与していなければ、何故元気がないのか、何故笑っているのかには興味がない。はっきり言って、自分にとって“あたしの人間”が害を及ぼさなければ人間の気持ちそれ自体はどうでもいいのだ。
こんな風に書くと、冷たい猫だとか、そんな物語面白くもなんともないと思われそうだが、そうではない。ダルシーは“あたしの人間”をきちんと思っているし大切な存在だ。
人間だって飼い猫や飼い犬が機嫌良さそうにしていればそれでいいわけで、何故機嫌が良いのかといったことは追及しないだろう。猫だって同じだ。
ダルシーは飼い主を“あたしの人間”と呼ぶ。
これも人間が、うちの猫、わたしの猫と呼ぶのと同じ。
ただ、人間は普段、自分は人間だと改めて思うことは余りないので、活字で“あたしの人間”とあると、ちょっと面白い。
こういった本を読むと必ず我が家の愛猫を思い浮かべてしまうので、ダルシーが生命を終えるときにはキュッと胸が痛む。
亡くなった先住猫や現愛猫、我が愛犬を思い、いつかまた悲しい別れがやってくるのだなと思う。
わたしの大切な家族の一員であるあたたかい彼らを、いつまでも決して忘れることはないだろう、いつか自分の生命が終わるとき、彼らとまた会えることがとても楽しみだ。
愛らしい猫挿し絵も満載の、猫好き必読の一冊。
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猫のダルシーが「あたしの人間」と呼ぶ著者と過ごした17年間の物語。
ダルシーによって、私は自分の2回(検査も含めると4回)の入院中に、キラがどんな気持ちでいたのかを知らされた。
キラが怒っているのは知っていたが、本当の気持ちは全然わかっていなかったのだ。
「私のキラ」なのではなくて「キラの私」なのだということも。
月ちゃんがうちに来た時にも、キラがどんな気持ちだったのか知った。
私は無頓着だった。
ごめんなさい。
人間への愛情に満ち溢れたダルシーの包容力はとてつもなく大きく、全章通して大変に心地よかった。
猫に愛されることの幸福と光栄について、改めて思い至った。
キラは7月で14歳。
さいわい私たちにはまだ時間がある。
キラの愛情を裏切らないように、ふたりでみっちり生きなければ。
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江國香織作品が読みたかったけど、未読はこれくらいしかなくて読んでみた。けど、あんまり入り込めなかったよ…。
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ダルシーの目から見た、「あたしの人間」との一生の物語。
ケガ・死産・嫉妬・病気、いろんな事を一緒に乗り越えてきた二人。
ダルシーを置いて長期旅行をしたり、
度重なる引っ越しをしたり、
相性も見ずに子猫を貰ったり、
ましてダルシーより後から来た猫を可愛がるとは・・・・。
100点とは言い難い飼い主を、ここまで愛し、唯一無二の存在と思ってくれるダルシーの深い愛情に感動しました。
最後の時は、自身の愛猫との別れの時が思い出され、泣いてしまいました。
ただ・・・
他にも書いている方がいらっしゃいましたが、
私には安楽死というのはチョット理解が出来ないかと。
苦しませたくないという理由で安楽死を選ぶというのは、分からなくもないのですが・・・・
もうすでに、あそこまで苦しませているのですから、残された数日を過ごしてもよかったのではないか?と思います。
私は、いままで獣医に安楽死を進められた事が無いので、最後まで一緒だったからかも知れませんが。。。。
過去に見たテレビで、国によってペットを家族と考える人が多い地域や、ペットはあくまでペットと考える人が多い地域があるという事をやっていたので、安楽死に対する考え方も、違いがあるのかも知れませんネ。
「命ある者と、共に生きてゆく」という事が、どういう事なのかというのをダルシーが教えてくれているような気がします。
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「あのひとへの、あたしの愛。それから、あたしへの、あのひとの愛――」
猫である〝あたし“、ダルシーと彼女とともに暮らすことになる〝あたしの人間“との出会いから、〝あたし“の死までの17年間にわたる生活、その濃密な時間を、あくまでもダルシーの視点で描き切った愛の物語。
出会いから始まる生活、そして繰り返される旅行、転居、その間の成長と老い。いくつものアクシデント。そして与え合うダルシーの、〝あたしの人間“への愛。〝あたしの人間“の、ダルシーへの愛。
猫は、動物は迷わない。生きるためにうまれてきて、惜しみなく愛を与え、また愛を受け取ることに迷わない。そして老いて、病んで、死んでいくときに、たくさんの思い出の種を残して去ってゆく。それが、本能だから。運命だから――。
なんてこった、私は最初のプロローグを読んだときから最後のページまで、ほぼ泣きながら読んでいた。全編を満たす無償の、無二の、全き愛について、それはきっとアガペーというもの。猫と暮らしている人に絶対おすすめ。泣くと思うけど。江國さんの訳も素晴らしいので。
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泣ける
これってほんと猫の気持ちが書いてある。
ダルシーの表現を読んでたら
まさに猫達に教えられてるんだよね
きっと
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この猫のダルシーの物語を読んでいる間、自分も猫が大好きなので、巻頭の愉しいダルシーの時間を微笑ましく読みました。ジュディーJ.キングさんの挿絵もかなりの猫への愛情が伝わってくる、よい挿絵でした。そして、読みながら終わりが近づくにつれて、どんどん重苦しい気持ちになりました。ダルシーが弱っていくのです。段々と。巻末の著者の言葉を読むと、ダルシーへの著者の想いがよく伝わってきました。
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猫好きにはたまらない、著者の飼っていた猫から見た「あたしの人間」という表現で、人間との関係を語った小説。
猫を飼っている人には、良い思い出が蘇るのは勿論、猫の良さにピンとこない私のようなイヌ好きの人にも、江國香織の女性的な優しい文章で、猫の飼い主への表現を教えくれる。
前半は、なぜ猫はわがままなのかを語り、後半は、人間との愛情・信頼関係を語った構成。
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猫を、またペットを飼っている人はもちろん、飼おうと思っている人はみな、読んでほしい本。
電車の中やカフェでは読まないように・・・
江國香織さんの訳でとても読みやすいですが、あくまでも著者はアメリカ人です。
途中の“違和感”は江国さんのせいではなく、文化の違いかと。。。
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読了。飼い猫ダルシーの目線で書かれた本。猫を飼ったことのある人なら、すぐに話に引き込まれて猫の気持ちが手に取るようにわかると思う。
原作は読んでいないけれど、翻訳者の特徴なのか意図的なのか、文を書く上での日本語の選択が直訳されすぎている印象で少し読みづらい。
最期の時を迎える猫の気持ちは読んでいて、胸がつまる。
次は原作で読んでみようと思う。
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猫が好きかどうかで評価は変わりそうではあるけども、そのまんま猫の一生です。
猫をひたすらに可愛がれる理由はなんだろうか。概ね生意気にムカツク態度も取るわけで、それでも許されるのは、やっぱ見た目よね?気持ち悪いおっさんがこれやっても確実にオッサン狩りにあうよね。老後は確実にキモイから放置か老人ホーム行きであって。
そう、このネコどもは死ぬまで割と変わらぬ姿でいられるからそこが強い。この見かけが大事という事実に対して何故いろんな団体は文句をつけないのか。いや、これこそが世界の偉大な真実だからに違いない。
というわけで、まぁ猫カワイイよね。
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・猫を飼っている人に読んでほしい
・一緒に住むパートナーの事を今一度、ちゃんとみてほしい。
この本を読んだ後、貴方はどう家族(ペット)と向き合いますか。
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猫のダルシーが「あたし」だけの目線で綴る一生の物語。
もしダルシーが自分で文字を書いたなら、自叙伝と言うことになるのだろうか、などと思ってしまった。
帯についていた謳い文句とは違う印象を受けた。愛がどうのこうのというより、全身全霊をかけて生きた1匹の猫の物語だった。
「寝る前に読むと穏やかな気持ちになれそうだ」と思ったのだけれど、途中で止めることができずに最後まで読んでしまった。
ひとしきり涙を溢れさせた後、当初のねらい通りに暖かな気持ちで眠りにつくことができた。
翻訳物は読むのに少しだけ苦労するものも多いけれど、江國香織さんの訳はとても猫らしく、自然な感じがする。
とくに「My human」を飼い主なんていう野暮な言葉を使わず「私の人間」と直訳してあるところもダルシーらしさを表していて良かった。
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先日紹介されているのを見て、何だかこの本に呼ばれているような気がして、直ぐに読みました。
猫のダルシーの目線で、猫が見たまま、感じたままが、一貫して書かれています。
ダルシーは飼い主を「あたしの人間」とよびます。猫にとって、慕っている飼い主は絶対的に自分の世話をし、愛情をかける唯一の人間なのです。何て愛情に溢れた言葉なんだろうと胸に染み入りました。原語ではどう書かれていたのかわかりませんが、江國香織さんの訳は、この本にとても合っていると読んでいると分かります。原文でも読んでみたい作品です。
猫と暮らしている全ての人に読んでもらいたい一冊です。猫の一挙一動にどれほど想いが込められているのか。猫がどんなに飼い主を慕って依存しているのか。
猫って勝手気ままだとよく言われるけれど、一緒に暮らしてとことん向き合うと、全くそうではない事に気づく方がほとんどだと思います。
三年前に逝ってしまった私の絶対的な愛猫トトちゃんを偲びながら、一文一文を猫の息づかいや体温をも感じながら、大切に読ませてもらいました。
真っ直ぐな愛に溢れたお話でした。
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猫の視点で描く〝あたし〟と〝あたしの人間〟の物語。猫好きな人は、涙無しでは読めないので注意!
ジュディー・キングさんのイラストも素敵♡
猫を飼う前に読んで欲しい一冊、まっすぐな愛を受け止められるかどうかよく考えてからお迎えして欲しい。