紙の本
がんばれ!オヤジ
2006/07/10 11:01
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ひよこ - この投稿者のレビュー一覧を見る
博士の愛した数式のモデルとなった数学者藤原正彦氏が、結婚生活・子育ての中でなんとかオヤジの威厳を保とうと、妻と子供の逆襲にあいながらも悪戦苦闘する毎日を描いたほほえましいエッセイ。
戦いは精神で勝つものだ!そして勝たなければなんの意味もないなんて、他の人が言ったら反感をくらいそうな言葉も、あの有名な数学者が考えているかと思うとちょっとうなづいてしまうし、
理論で議論をしようとする男性が、感情で議論をする女性にてこずる様は、身に覚えあり・・・でほっとする。
世の中の親父様の「そうそう、そうなんだよ〜」っていう声が聞こえてきそうな作品。
紙の本
藤原正彦の品格
2008/10/16 14:55
2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:kaoru19 - この投稿者のレビュー一覧を見る
「国家の品格」で一世を風靡した藤原正彦の著書を初めて読んだ。
読んでみて意外だったのは、数学者としての視点とか、経験、交遊関係などは(少なくとも本書には)登場しなかった。黙って読むと普通の文学者のエッセイだと思う。情緒的、文学的なのだ。そういう意味では読み応えがあった。
品格に関しては繰り返し述べられている。いわく、明治になって多くの人が海外へ行ったが、もとより外国語にも外国の事情にも通じているわけではない。しかし、日本人としての矜持や信念を持っていたらから、尊敬された。しかるに現代の人は、古き良き日本人としての考え方を捨て、西洋の真似事ばかりしている。真似は尊敬されない。今こそ日本人としての品格を見つめ直し、身につけよう……
言わんとすることは理解できるが、その日本人の品格は具体的にどういうものであるべきかという話になって、武士道をもとにしたものがいい、と言われるとガッカリしてしまう。
武士道も、それから外国の騎士道にせよ宗教にせよ、伝統的な考え方はひとしく強烈な男尊女卑思想に基づいている。現代人はそれを反省し、男女は同権であり、平等であると考えを改めたはずだ。ただし、枠組みを一から作るのは大変であり、みなの共通認識として「これ」といえるようなものはまだできていない、という状態だろう。試行錯誤の真っ最中なのだ。
試行錯誤はつらい。だからといって、過去に戻っては意味がない。たどってきた道(歴史)は大切だが、間違っていたことは改める必要がある。品格だなんだといって、捨てたはずのものを復権させようだなんて、とんでもない話だ。
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おむすび頭の頑固おやじ風イラスト(表紙)を見ただけでこの本の雰囲気が分かるというものです。藤原さんの本はどれをとっても独特のユーモアがちりばめられ、芯のしっかり通った日本男児の心意気が感じられます。やわに成り下がった日本人に喝!
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国家の品格でヒットを飛ばした藤原正彦氏のエッセイ集。彼のちょっとオカシオモシロイ性格が良く現れているエピソードが詰まっている。平均値が高い日本の教育か、自由度が高く出来不出来にばらつきがでるようなイギリス式教育がいいのか、そんな行が面白かった。後の国家の品格に通じる想いもあちこちに垣間見られる。
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文章全体ににじんでるまっすぐな人柄に好感。まったくきどってなく、カッコをつけずに言葉を綴れるのってすごい。
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「国家の品格」で知名度が跳ね上がった藤原先生ですが、エッセイの方が私は好きです。「若き数学者のアメリカ」「遥かなるケンブリッジ」もGOOD。
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冷厳なはずの数学者が、涙もろくて自他ともに認める猪突猛進?!妻、育ち盛りの息子三人と暮らす著者。健全な価値観を家庭内に醸成するためには、父親の大局的認識と母親の現実的発想との激論はぜひ必要と考えるのに、正直、三人の部下を従えた女房の権勢は強まるばかり・・・父、夫、そして数学者としての奮戦模様を描いた随筆集。
相も変わらぬ筆者のユーモア溢れる文章に、爆笑しきりだった。
この文庫に収められている随筆のうち、もっとも胸に迫ったのはラストに収録されている「苦い勝利」というもので、筆者が息子の学校を相手に徹底的に闘う様子が描かれている。
息子のためを想ゆがゆえに、どこまでもまっすぐに学校にぶつかる筆者と、息子のためを想えばこそ、学校側の言い分も聞き入れなければならない時もあると感じる奥さんとの考えの違い。自分たちの正しさを信じて、後味は悪いながらもついに勝ち取った勝利には、大きな意味があるものと思う。
深く考えさせられる内容だった。
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『遥かなるケンブリッジ』や『若き数学者のアメリカ』などに比べると、見劣りするなあというお印象。
単純に自分が海外が舞台のエピソードが好きというのもあるけれど。
ただ、最終章の学校や都を相手にした奮闘振りはなかなか読ませるものがあった。
さすがに自分ではここまでやろうとは思わないけれど(笑)
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(「BOOK」データベースより)
冷厳なはずの数学者が、涙もろくて自他共に認める猪突猛進?!妻、育ち盛りの息子三人と暮す著者。健全な価値観を家庭内に醸成するためには、父親の大局的認識と母親の現実的発想との激論はぜひ必要と考えるのに、正直、三人の部下を従えた女房の権勢は強まるばかり。…渾身の傑作「苦い勝利」、文庫初収録の15編など、父、夫、そして数学者としての奮戦模様を描いて、本領全開の随筆66編。
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理系の自分としては、作者のやることや考えることに(マニアックな意味で)同感できて楽しかったですが、それはやり過ぎだろうという場面もあり、理系でも色んな人がいるんだなあと思わされた一冊です。
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最後の中編は一気に読まされた。
やりすぎな気もするが、やりすぎなことをしない人は日本には多すぎる。
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明治中期までに海外に渡った日本人が、その品格にしばしば欧米人を瞠目させた、という事実はよく聞くことである 人間は誰も、一定期間の後に死を迎える 別れとは死への階梯であり、そこには根源的悲しみがこもっている 義、勇、仁、礼、誠、忠、孝、名誉、克己などである。孔孟の影響も否定できないが、これらの精神は成文化されずに、日本人の心から心へと、実践を通して綿々と伝えられてきた 「本を読まないと偉くなれない」は正しいと思う。「本を読めば偉くなる」が誤りなのである
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国際人とは英語を流暢にしゃべれる人ではない、自国の文化、伝統、情緒をきちんと身につけていなければならない。これらの基礎がなければ国籍不明人となる(P217参照)
ところで昨今の小学校では授業に英語を学び、ダンス(ヒップホップダンス他)授業が必須なのだとか、日本語もまだ身についていない彼らに必要なのはまずは国語、そしてソロバンじゃないのか(怒 TVに映し出されるエグザイルはいったい何人?AKB48はアキバ文化(日本発信)だから許そう(笑
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著者のこの種の家族論のエッセイを読むと、「ツカレ親」(敬せず遠ざけたい面倒なタイプ)の典型であることが良く判る。
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反骨精神で世の中のあらゆる問題に立ち向かい、武士道精神を熱く語り、家族からは頑迷さをあきれられる著者自身の姿を、ユーモアで包み込んで語っているエッセイです。また、著者の両親である新田次郎、藤原てい夫妻のエピソードも多く語られています。
『国家の品格』(新潮新書)で語られる著者のナショナリズムには賛同できない読者でも、エッセイストとしての著者の力量はなかなか否定できないのではないでしょうか。
とくに、検便を強制する小学校に対する著者たち一家の戦いを描いた「苦い勝利」と題された一編は圧巻です。噴き出したり、目頭が熱くなったりと、たいへんでした。