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経済学、哲学、社会学などの見地から今の日本、世界の情勢を切ります。
ピケティなど最新のワードも登場します。
結局、経済成長は、第二次世界大戦の復興、ということにしが過ぎず、その30年を除いて一貫して資本は増殖し続け、格差は広がっている、とします。
経済税調をもたらすような新しく斬新なイノベーションはもう望むべくもない。
グーグルやFacebookは新しい価値を提供したが雇用という意味ではほとんど貢献していない。
今、技術が向かっている先は「我慢しなくてもよい世界」。そこがいくら開拓されても付加価値はなかなかついてこない。それができたから、といってそのあとの世界が成長し続けられるような力強い革新ではない。
2020.8.18 再読
日本はいまだ成長神話にとらわれている。成長は必要か。
経済学はアメリカでは数学になってしまった。それは正しい姿だろうか。
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月刊「新潮45」連載の「反・幸福論」の5冊目の新書である。
第6章 福沢諭吉から考える「独立と文明」
第7章 トマ・ピケティ『21世紀の資本』を読む
第8章 アメリカ経済学の傲慢
第9章 資本主義の行き着く先
第10章 「がまん」できない社会が人間を破壊する
が印象的でした。
佐伯氏がよく言う、「パースペクティブ」でもって彼が終始一貫して主張してきた現象が経済社会で生じている。
そして、その指摘した現象をアメリカの学者が本を出している。ポール・ロバーツの『「衝動」に支配される世界』読んでみようと思います。
また、ピケティを読まずとも、佐伯先生が、概略を説明してくれている。
助かります(笑)。
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タイトルひかれて手に取るが、タイトル勝ちな感じ。中身はイマイチぴんとこない。
その中でも心に残った点
やはりここでも、現代人は消費意欲が低いので、いくらアベノミクスで経済戦略を取っても、効果の程は疑わしいと。
成長しなければ幸せになれないと言う思い込みから、自分自身を解放させることだ
まだ読んだこと無かったので、ピケティの概論が読めたのは良かったかな。やはり資本からの利潤率を重んじるべきか。
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アメリカ発のグローバリゼーション、資本主義を鋭く切り込む内容は、論旨明確でわかりやすい。ただ、じゃあどうすればいい、と言う具体的提起が、聞きたかった。それは別著になるのかな。
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読了。
飽和の概念が無いという一点に於いて、資本主義の永続性にはずっと前から否定的なのだが、一方で、それに代わるシステムの提示を誰も出来ない、という点では本書も同じ轍を踏む。
唯、個人の自由や能力主義を最大限に発揮させようという今日の新自由主義的な政策が、かえって、社会を19世紀風の階級社会へ逆戻りさせようとしている、との論には同意。
グローバリズムの果てに、経済ブロック化があり、限られた資源を巡り大規模な戦争に至る、という不幸な過去を、繰り返さないだけの叡智を人類は得たと信じたい。
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各章が(ほぼ)独立しているので、別々に読んでも支障ない書籍。
個人的にはピケティのテーゼの解説、つまり、資本主義は成長していない、成長した時期は戦後30年程度でそれは戦後復興によるもの、まして況んや市場原理主義以降の成長率は年率1~2%程度の低成長が続いている、というのが目をひきました。
働けど働けど・・・と言った状況をデータで示してくれたと思います。
あとは、欲望の話。
忘れかけていた『欲望と資本主義』を思い出す内容で、かつそれを補足するようなことが書かれていてよかったです。
全体を通して、ポスト資本主義の人々の立脚点を、無宗教の日本で作ろうとしている力作だと思います。
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資本主義に、ついてフォーカスしている本かと思ったが多岐にわたっており、結論は最後の章まで全く書かれていなかったように、感じる。
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これまでのキーワードがグローバリズム,競争力,成長追求だったが,"資本は利益をあげているけれど,資本主義社会は決して成長していない"(p183)は,まさに現状を言い表している.価格破壊が雇用破壊になり,さらには人間破壊につながるという説はその通りだ.価値の転換が必要だと強調しているが,今の政治は未だに成長を模索している,できるはずはないのに...
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世界権力と目される国際金融資本家とか1%オリガーキとか言われる人達に対しては何も言わない辺りは東大卒京大名誉教授だなぁと。個々の話はそれなりにタメにはなるけれど、大本となる前提として見ているものが違うと、日本のあり方とか、経済のあり方とか、ちょっと違うなと思ってしまう。
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佐伯先生「渾身の」時事評論です。
反・不幸論から続いてます。4作目?くらいです。
時事のひとつひとつに深い解釈を充てていらっしゃいます。
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恒例の2018年GWの大掃除で部屋の隅から、読みかけの本を発掘しました。GW前に読み始めた本でしたが、途中で読みたい本を先に読んでしまったために、いつの間にか隅に追いやられていました。先ほど読み終えました。
スキャン読みですが、気になったポイントです。
・2014年12月の衆議院総選挙にて、そもそも野党が解散するな、というのは奇妙な話である。野党が解散を要求して国民の信を問えとどなり、与党が何かを口実を使って権力にしがみつく、のが普通の構図である(p95)
・90年代半ばから日本はデフレ経済下していくが、その原因として、1)日銀の金融緩和の不徹底、2)改革の遅れ、3)所得格差など、が指摘されてきたが、構造的な原因として、1)人工減少、高齢化社会の到来、2)グローバル化、3)このような状況下において構造改革をしたこと(p105)
・ピケティの主張のポイントは、経済格差を生み出すものが、所得というよりも資本の格差だと言っている。資産をたくさん持っているものは、それを投資して金持ちになり、その格差が拡大しつつある、資本からの収益率(r)が成長率(g)を上回る限りこれは続く、利潤は内部留保にまわされ、企業買収に使われ、金融市場に投資されるので、経済成長には結びつかない(p136、140、180、183)
・成長に基づいて、物的な富の蓄積をよしとする今日の価値観の転換が必要である、今の価値感は、1)物的な富や利便性の追求は無条件で望ましい、2)人間の活動の可能性を無限に広げる、つまり自由の拡大を無条件でよしとする「自由への欲求」、これにとらわれている限り、効率性・平等性のスパイラルから抜け出せない、この2つの欲望が資本主義をけん引してきた(p154、187)
・市場経済理論が科学であるとは、すべてを数字で表現することであった(p162)
・IT革命によってもたらされた情報技術、効率性本位の競争的市場、株価中心の企業経営、資産をすべて金融化してしまう金融中心経済、が瞬時にほしいものを手に入れられる世界を可能にしてしまった。そのため、現代社会を動かすものは、衝動的・短期的・自己中心的、となった(p209)
2018年5月5日作成
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資本主義を考え直す切り口を幾つか提起してくれている。資本主義が万能ではない事は、肌感覚で理解しているつもりだが、より良い制度は中々具体的に提案できるものではない。更に、トマピケティが言うような格差が拡大したからと言って、それは程度問題であり、競争原理を基礎とするからには、課税方式を工夫しない限り、資本主義=勝敗を決する仕組みというのは自明である。問題は、イノベーションの成熟を遂げた瞬間、その産業は拡大性を失い単純労働に陥る。単純化されれば、価格競争に陥り、労働生産性が低下。生産物は必要なのだが。実は今、日本社会の至る所でこのジレンマに陥り、イノベーションの限界を認める勇気がない事から研究開発部門を残し、そこも無理矢理仕事をしなければならないものだから、不必要な機能をつけた製品が溢れかえったり、国際的な競争力を失いつつある。日本の強さは、こうした技術力の成長段階において、真面目に仕事をしてきた国民性だが、真面目さが仇になるかも知れない。難しいテーマだ。
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以前小林よしのり氏が「自民党は保守じゃない」と言って、公然と自民党批判を展開しておられました。その時はどういうことかよく分かっていなかったのですが、今回本書を読んで、なんとなく分かったような気がします。小林よしのり氏と佐伯啓思氏を同列に並べるなとおこられる気もしますが。