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「レンタル世界」は、ちょっと設定が強引かなと。あれだけあけっぴろげで、自分の想いを押し付けるのは、引きますね。表題作は、この作者らしいストーリーでした。心情としては雪子の肩を持ちますけど、その雪子が「ままならない」結末という。
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朝井リョウさんの本を読むのは、初めて。
桐島もチア男子も、映像化されたものは観ていたけれどー。
「レンタル世界」を読み始めて、こういうのどっかにあったな、って思った。
「リップヴァンウィンクルの花嫁」の結婚式のシーンにも、レンタル的な人たちが結構出ていたな・・・。
思うように整わない体裁や体面を取り繕ってまで何とかしたい、というところまで追い込まれたことはないけれど、この滑稽な状況よりも、何もかもさらけ出しあうのが人と人との真っ当な関係だと言い切る主人公のほうに、うすら寒さを覚えてしまった。
表題作「ままならないから私とあなた」。
小学生の頃から仲良しで、お互い特別な存在だと思っていた雪子と薫。
こんなに違う二人が、どうして仲良しなんだろう。
読み進めるうちに、違和感が積もって行き、ラストでどうにもならなくて対峙、爆発するのだけれどー。
かなり極端ではあるけれど、薫の主張することはわかりやすく、正論には違いない。
出来ないことが出来るようになる、誰にでも、しかも効率的に。
それは正に夢のようで、進化への一歩。
でも便利さと引き換えに、人は、社会は、一体何を失うのか。
そこから、また人は何を求めるのか。
雪子が危惧する気持ちもわかる。
どんなポテンシャルの人にも、均等に得られる結果。
個性のない、結果がすべての世界。
優劣の価値や評価が怖ろしく狭い世界。
究極的には、ままならないことが、何もない世界がいいのだろうか。
怖ろしく、つまらなそうだけど・・・。
時間がかかることが無駄って考えると、長い人生をどう生きたらいいのか、時間をとても持て余してしまいそう。
無駄な事も、きっと大事なんだよ、薫ちゃん。
最後までずっと疑問に思ったのは、これだけシビアで無駄が嫌いな薫が、どうして雪子とつきあうことは無駄だと判断しなかったのか。
他人にはわからない、ひょっとしたら本人にもわからない「ままならない何か」が、あったのかな。
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短編「レンタル世界」と長編「ままならないから私とあなた」が収録されている。
「レンタル世界」慕っているラグビー部の先輩が勤める会社に入社し、家庭も仕事も上手くいっている先輩の人生に憧れる雄太。ある日、先輩の結婚式に新婦側の友人として出席していた美しい女性と再会し、そこから雄太の価値観が崩れ初めていく。
「ままならないから私とあなた」小学生の頃から親友だった雪子と薫。無駄なものこそ愛おしいと考える雪子と、人間関係すら無駄だと排除するドライな薫は、考え方こそ正反対だったが、大人になっても互いを尊重しあう親友であり続けた、はずだった。
人と人との関係はいつも不確実。
朝井リョウの作品は大好きだけど手元に置こうと思えないのは、明るさの隣りにある影を描いているからかもしれない。逆に、影が自分の光に気付く瞬間をもっと書いてくれたらいいのに。
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テクノロジーの進化で、できないことができるようになってきた。いろんなことが。
それを突き詰めていくと、全部のことが誰でもできるようになるということだ。なんでも、かんでも。
そうなったとき、人間と機械の違いはあるのだろうか。
「ままならないことがあるから、皆別々の人間でいられるんだもん」
私とあなたを隔てることは、私にできないこと、あなたにできないこと、できないことがあるからだ。
そこでタイトルが生きてくる。ままならないから私とあなた。
今まで、テクノロジーが人から仕事を奪うとか、技術革新で生活の質は向上しているとか、そういう議論は尽きない。
それが良いとか、悪いとかを身近に落とし込んだ小説は読んだことがない。
技術革新は敵か味方か。このまま進化の速度に身を任せていいのか。
「レンタル世界」では、お金で人間関係を見せかけることの是非について、
「ままならないから私とあなた」では、小学校からの薫と雪子の友情を通して人間と機械の違いについて考える。
読みやすく考えさせられる二編。
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最近の作品で、リョウさんが挑戦してるAIとか疑似なんとか、とかがネタになってる一冊。
テーマがそうだからか、今までのあの爽やかな読後感がないのが残念。
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久しぶりに朝井さんの本を読んだ
っていうか知らずに借りてしまった
なんだろ…
いっつも読み終わった後 不快になる
っていうか 読んでる最中から 不快になってくる
合わないんだろうな…
もう読むことないだろうな
朝井さんの作品は…
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「レンタル世界」とタイトルにもなっている「ままならないから私とあなた」の2作品。
「レンタル世界」の雄太は自分が何でもさらけ出せば
相手もそれに応えてくれるっていうその主張がちょっと暑苦しい。
「ままならないから~」の薫ちゃんは何でも効率だけを考えてて人間味がなさ過ぎてちょっと嫌悪感。
という感じでどちらの作品にもあんまりいけ好かない感じの人物が出てきて
モヤモヤ感はあるのですがだからといってそちらサイドにも
一定の真理みたいなものがあって正論と言えば正論なので
間違っていると一概にも言えず。
そういう言葉で表すのが難しい事だからこそ物語で紡いでいるんでしょうけどね。
色々と考えさせられるテーマでした。
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レンタル: 謎が徐々に解かれて行きます。題材としては、最近流行りでしょうか。
ままならないから: この二人が続いていたのは、友情と見せかけて… わたなべくんとの関係は…
怖い結末です。
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相変わらず朝井リョウは、揺さぶってくるなー。
自分にも思い当たる節があるからどきっとする。
誰が正しいでもない。ただそういう考え方があるということ。
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なんだか、ノックアウトされてしまったようだ・・・この本に。
中高生だった頃、まだ世の中のなんたるかを微塵も知らなかったはずの私は
その浅はかな頭で色々なものを切り捨てた。
『そんなの面倒だから』
『どうせ○○に決まってるから』
『そんなことしたって無駄じゃん』なんて言いながら。
とっくに忘れてしまっていたと思っていたけれど
主人公のユッコが目の前の出来事に一つ一つその時期にしか得られない形で心を揺り動かしていく様を追っていたら
なんだか自分がとても取り返しのつかないことをしてしまったような気になってしまったのだ。
だけれど、そんな感傷なんて思い切りぶっ潰してくれるんだな、朝井リョウという人は。
二つ収録されている小説どちらも、
『あなたは何を信じて生きるのか』と真っすぐに読む者に問いかけているようでした。
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初めてみる命題ではないけれど、おもしろかったです。登場人物の言動にムッとさせられてしまうのは相変わらずでした。
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テクノロジーの進歩の功罪に真正面から挑んだ小説。便利さと引き換えに人間味が失われる、という単純な批判に終わらず肯定否定両方の意見をしっかり扱うバランス感覚が素晴らしい。終盤は朝井リョウ作品らしい台詞の畳み掛け。IT企業に勤めている自分は1行読む度に息苦しくなるような気持ちだった。
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どちらの話も先が予想できてしまった。しかも読後感がよくなくて好みじゃない。特に薫の研究は予想が付くでしょうに…。
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タイトル作とレンタル世界という二作。
どっちもなかなか痛いところつくなぁ、っていう作品でした。
レンタル彼女とかレンタル友達とか、わたしも否定的ではあるが、彼女のいうことも確かに一理あったなぁ。レンタルでの関係をみせることによって大切な関係を築く、とか、ひとは第三者の評価をあてにする的なところとか。レンタルの関係性も必要だな、って思えた。
表題作は合理化ところとか人間的なもののぶつかり合い。まさかあんな形で友達に夢を潰されるとは、なかなか辛い結末だったな。しかもその友達は正しいことをしてると思ってるからね。
夢を応援する、寄り添うって言って結局は自己満だしなぁ。でもそのうちこういうことって増えてくるのかな。利便性やITが人の夢を奪うこと
2017.2.18
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朝井リョウらしくて良かった
男子学生や女子学生独特の微妙な期間が描かれていて好きだった
朝井リョウは女を描いて欲しいなぁ
きっと女性より女性らしく描けると思う
今までは学生を描いて欲しかったけど、今度は大人の女がいいな
ままならないから~は、僕はアナログよりな人間で常々疑問に思ってるところが描かれていて良かった
未だにスマホを持っていないし、携帯すらみない時間がほとんど
PCは持ってるからネットは家から繋ぐものとして触れ合っている
ネットショッピングもするしSNSもしてる
でもそれを家から持ち出す気にはまだなれない
僕はスマホに支配されつつある世界がちょっと恐い
この間、友達と旅行に行ったけど、移動時間中ずっとゲームをしていて旅行に来てる意味あるのかな?って思った
ゲーム上で友達や彼氏とやりとりしてて、ちょっと寂しかった
遠くに来たのに普段と変わらないゲームを普段と同じ人としてるのが怖かった
隣にいる僕は?って思った
僕もゲームをしたら解決する問題じゃない気がした
僕は一人旅が好きで一人旅でも携帯はあまり使わない
現地でゲットした地図や情報で自力で探しあてるのが楽しい
旅先で同じく観光に来てるだろう青年が、ガイドブックやスマホばかり見て、せっかくの路面電車や路面電車から見える景色を見ていないのは勿体無い気がした
僕もスマホを持ってしまったらそういう人になってしまいそうなのが一番恐い
だからと言ってネットやゲームが悪いとも思ってない
そうやってネットやゲームで知り合って、友達を増やしたり、遠距離恋愛したりと言う例も見てきたから
ただ、僕の手にはあまるし、うまく付き合える自身がないからスマホを持たないだけ
将来的には持つことになるだろうけど今は無理
オリジナルが無くなって行く社会は怖いけど、薫ちゃんの言う通り、その上で新しい文化もできるんだと思う
でもどの文化を楽しむのか、どんな生活をするのかは個人が決めることだと思う
不便でもマイノリティでも自分が選択したほうが楽しく生きられると思う