人生とは何かを問う「Jポップで考える哲学」と併読がお勧め
2017/01/17 21:57
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投稿者:ごみ - この投稿者のレビュー一覧を見る
特に人間関係には困ってはいないけど、副題の発達心理学に興味があって手に取った。
コンサルタントと悩める課長の対話を通じて、発達心理学の理解を深める形式で書かれているため、読みやすい。
ストーリー自体は、手前味噌的な内容ですが、成人以降の意識発達理論、及び実践方法は示唆に富む。
成人以降の意識発達は段階2〜段階5までの4段階。段階1は成人前の段階。
人生とは何かを問う「Jポップで考える哲学」と併読がお勧め。
【学んだこと】
○成人以降の意識発達理論 ロバート・キーガン
・知識やスキルを発動させる根幹部分の知性や意識そのものは、一生かけて成長・発達を遂げるという考え方
・一つの発達段階で生きているわけではなく、複数の発達段階にまたがる発達範囲を持っているので、置かれている状況や文脈によってダイナミックに変化する
・意識の重心のようなものがあって、状況や感情状態がかわれば、重心を中心としながら揺れ動く
・成長と発達は「含んで超える」という原則に基づき、以前の段階の特性を受け継ぎながら新しい段階に到達していく
・成長・発達は、以前の段階を乗り越えて次の段階に到達するためのプロセスの連続「死と再生のプロセス」
・意識の成長が進めば進むほど、自分という人間は、宇宙における一粒の砂のような存在に過ぎないという明確な認識を獲得していく
⇒「自分は何ものか」「人生とは何か」という実存的な問いと対峙することになる
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理屈だけでは部下との人間関係は成立しない。
相互コミュニケーション、相手の特徴を掴む事が部下と自分の成長を促進させる。
その為に発達心理学の知識は必要になると思う。
この本で意識レベルという「人の器に近いもの」の存在を知った。
5段階あるらしく、上の成長させるには垂直型成長が必要になるとの事。
垂直型(思考、仕事の視野など)の成長を促す事ができるのは
自分より意識レベルの高い人だけ。
意識レベルの低い人は教育を任されても水平型(業務知識、専門知識など)成長しか促す事しかできない。
優秀と言われてる社員の下に新人を配属させる企業が多い
のは主に垂直型成長を促す事が目的だと思った。
任されない人は、意識レベルが低いと思われてるのかも
しれない。
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これまで心理学系の本は1冊も読んでこなかったのですが、ちょっと勉強しておかないといけないかなと思い手に取りました。
「発達心理学の最初の一冊としては、一番よい」と上司が言っていましたが、非常に分かり易く、心理学未経験者の私でも「なるほど~」と思いながら読むことができました。
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・キーガンの「人間は意味を構築することを宿命づけられた存在である」という素晴らしい指摘は、実は、キーガンの師匠であるウィリアム・ペリーという発達論者の考え方に基づいているのです。
ウィリアム・ペリーもハーバード大学教育大学院に在籍していた教授で、彼は「人間を人間たらしめているのおは、意味を構築することである」という言葉を残しています。
…意識構造には、「意味を付与する機能」が備わっているのです。
・自我の発達に関して多大な功績を遺した研究者、ジェーン・ロヴィンジャーは、「人間の意識の発達とは、曖昧さに対する耐久性の増加である」と述べています。
・発達段階3の人は自分の意見がないわけではないのです。発達段階3の人は、「自分の内なる声」に気付けていないのです。つまり、自分の意見を全く持っていないということではなく、自分自身の中に芽生える自分独自の考え方や思いなどにまだ気づいていないのです。
・例えば、日本社会は、国民を発達段階3に引き上げていくような仕組みと文化を兼ね備えていると思います。しかしながら、段階3にとどめるような力も強く働いているのは間違いありません。こうした構図は、日本の大企業においても見られるのではないでしょうか?
・段階3は「権威主義的」であり、段階4は「権威超越的」とでも言えるでしょうか?
・自分の内側にある声は、それを発見しようとしなければ、一生みつかるものではないと思うのです。自分の声を探す努力なしに、段階4に到達することは不可能だと思います。
・実存心理学の始祖とも呼ばれる、ロロ・メイは、「探求的な問いを自らに投げかけられるようになることが真の意味での自己構築の始まりなのである」と述べています。
・私たちが、既存の価値観を乗り越えていくために必要なことは、「異質なものに触れる」ことです。心理学者のロジャー・ウォルシュは、「人間の成長とは、既知なるものから未知なるものへと至る運動である」と述べています。
段階1:子ども
段階2:「利己的段階」or「道具主義的段階」(他人は欲求を満たす道具)
自他を二つに分けて、自分に関係することにしか興味を向けない。
↓
段階3:「他者依存段階」or「慣習的段階」
相手の立場には立てるが、自分の意見が曖昧。
↓
段階4:「自己主導段階」or「自己著述段階」
欲求よりも価値観に従って、自律的に行動できる。
↓
段階5:「自分は絶え間ない変化の中で生きており、自らも絶えず変化している」という認識を持っている。
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「なぜ部下とうまくいかないのか」加藤洋平
人間は、知識やスキルを獲得するだけではなく、質的な成長を継続的に実現しうる。
発達理論の世界では、各意識段階は固有の価値を持っている事を尊重する。
人は自分よりも上の意識段階を理解する事ができない。建物のそれぞれの階から見える景色は多様。
人間の意識の発達とは、曖昧さに対する耐久性の増加。
意識が成長することによって、人としての器の容量そのものが拡大していく。それに伴って人は多様な知識や経験をそこに蓄えていけるようになる。
意識段階の違いによって世界の見え方が異なっており、知識や経験の取り入れ方も違えば、各人固有の容器によって加工されたアウトプットも質的に異なるものになる。
意識の成長発達は一概に年齢によって決定されるわけではない。
人間を人間たらしめているのは、意味を構築する事。
人間の意識の成長発達は、主体から客体へ移行する連続的なプロセス。
ある意識段階から次の意識段階へ移行していくほど、客体化できる範囲が広がり、世界の捉え方が変化していく。
段階2の人は自分中心的な発想で動いているだけでなく、白黒はっきりさせるような二分法的な世界観を持っている。なので自分中心の視点から一歩離れた視点を取ってもらうような問いを投げること。
成人は一つの段階を少なくとも5-10年、あるいはそれ以上かけて成長していく。
適切な課題と支援を与えながら自らの力で成長してもらうこと。
強引な早期英才教育は、植物を育てる際に化学肥料を大量に与える事に等しい。
人には発達範囲があり、状況や文脈、体調、感情状態が変わると発達段階が上下動する。
段階2の人とのコミュニケーションで最も避けなければならない事は、相手が感情的になった時、それに対して感情的な反応をしてしまう事。相手が感情的な態度を示したら、自分の意識を下に下にさげる。
発達理論には様々な段階モデルがあり、マズローは人間の欲求に焦点を当て、キーガンは人間の世界認識方法に焦点を当てた。
大企業には、組織階層の上の者が知らず知らずのうちに、階層の下の者に対して抑圧するような見えないメカニズムが生み出されていたり、階層の下の者が上の者に意見をしにくいメカニズムが生み出されている。
社会は段階3の人たちが大量に生み出される事を望んでいるので、段階3から逸脱するような人たちを抑圧する傾向にある。その為、段階3を乗り越えていくのは相当過酷なプロセスになる。
人間の成長は曖昧なものを受け入れいていくことによって初めて成し遂げられる。
段階3は権威主義的段階。段階4は権威超越的段階。
段階4は、既存の情報を鵜呑みにするのではなく、自分の頭でそれらを咀嚼し、自分なりに意味を再構築していくという、これまでとは異なった新たな意味を生み出していけるような知性が求められる。
既存の物の見方や権威の主張に対して疑いの目を持って、それらを超克していけるだけの意識の器が必要。
段階4の振る舞いは、単なる欲求に従った利己的なものというよりも、心の内側にあるより高度な規範に基づいている。
社会や組織の声に盲従するのではなく、内発的な問いを自ら発せられる事が、自律的な自己を確立する事に不可欠。
段階4は自分の価値体系に縛られるという限界を持つ。
プロフェッショナル人財とは、単になにかの専門家を意味するのではなく、主体的自律的に行動できる個人のこと。
水平的な成長とは、知識やスキルの獲得、垂直的な成長とは、意識の器の拡大、認識の枠組みの変化を表す。
段階5の要素が芽生えてくると、他者の存在は自分の成長に不可欠であるという認識が生まれてくる。
水平的な成長とはPCのソフトを増やす行為、垂直的な成長とは、PCのOSそのものを変えていくこと。
他者の成長に関わる者自身の発達段階は、支援の質と効果に極めて大きな影響を与える。
垂直的な成長は意識段階の低いコーチからでは起こらない。
既存の価値観を乗り越えていく為に必要な事は、異質なものに触れる事。
人間の成長発達は葛藤を乗り越えていくプロセス。
段階5に近づきつつある人は、自分の性格や個性、さらには自分の歴史までも客観的に捉えることができ、それらが自分を超えた世界の中で脈々と形成されていったことを的確に認識できる。
驚きが小さな自己の殻を破っていくきっかけになる。
生涯続く学びそのものが自分の人生になる。
段階5の人は、他者との共同は異なる認識の枠組みを理解する素晴らしい機会であると認識する。他者との協同を通じて自分自身と他者をより良く理解する為に、自分の価値体系や認識の枠組みの限界を頻繁に曝け出そうとする。
段階5に到達してはじめて人と組織の永続的な成長を促し、人と組織を導いてくれる真のリーダーになる。
段階5の人は優れたシステム思考を持つ。相反する事から逃げずに対極にあるものを統合させるような働きかけができる。
段階5の人は、他者の発達段階を見極める直感力が研ぎ澄まされているだけでなく、他者がどれくらい発達可能性を秘めているのかもわかってしまうような感性を持っている。
発達段階が高度になっていくにつれ、必ずしも生きる事が楽になったり人生が良くなったりするとは言えない。どの段階でも必ず固有の課題を乗り越える事が要求される。
意識の成長が進めば進むほど、自分が保持する過去の成功や社会的な地位名誉などはちっぽけなもに過ぎず、自分という人間は宇宙における一粒の砂のような存在にすぎないという明確な認識を獲得していく。
自律的な人材が増え、組織が活性化する事によって、新たな価値を創出する土壌が生まれてくる事を「組織の生産性の向上」と呼ぶ。
キーガンの5つの発達段階
段階1:具体的思考段階
具体的な事物を頭に思い浮かべて思考する事はできるが、形のない抽象的な概念は扱えない。幼少期。
段階2:道具主義的段階(利己的段階)成人人口の10%
極めて自己中心的な認識��枠組みを持つ。自分の欲求を満たす事に焦点が当てられており、他者をその達成の道具とみなす。他者の感情や思考を理解する事が困難。他者の視点も考慮し始めると段階3への移行サイン。
段階3:他者依存段階(慣習的段階)成人人口の70%
組織や集団の従属し、自らの意思決定基準を持たず他者に依存する形で意思決定する。
段階4:自己主導段階 成人人口の約20%
自分なりの価値観や意思決定基準を設け、自律的に行動する。自己成長に強い関心があったり、自分の意見を明確に主張する。
段階5:自己変容・相互発達段階 成人人口の1%未満。
自分の価値観や意見にとらわれる事なく、多様な価値観・意見などを汲み取りながら的確に意思決定ができる。他者の成長にベクトルが向かう。他者が成長する事により、自らも成長するという認識を持ち、他者と価値観や意見を共有しあいながらコミュニケーションを図る。
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何となく認識していた「目線の高さ」を発達心理学の観点から体系的に述べている本書。
主人公とメンターとのやりとりも示唆に富んでおり、スラスラ読めました。
これは何度でも読み返したくなる良書。
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発達心理学の本はちょっと読みにくい(学術的な感じ)本が多いが、本書は小説仕立てなので、とても読みやすい。
本書での発達段階は以下のような表記だった。
●段階1 子供
●段階2 利己的段階・道具主義的段階
●段階3 他者依存段階・習慣的段階・(権威主義的段階)(組織や集団に従属し、他者に依存する形で意思決定をする)
●段階4 自己主導段階・自己著述段階(権威超越的段階)
●段階5 自己変容段階・相互発達段階
低段階の時より、段階3から4になることが自分、周囲共に難しそう。
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・「室積さん」と「私」の対話形式。室積さんが聞き上手なのは分かるけど、反復や言い換えによる要約は読んでてちょっとしつこいな…と思ってしまうけど、それも部下との接し方のひとつなのだな。「〜〜に関して、どう思いますか?」と問いかけて、その答えを次に説明することに繋がるよう促す話し方。分かっちゃいるけど、意識してないと出来ないし、説明されて理解したことと問いかけられ答える(自分で考えてみる)というプロセスを経て理解したことと、納得させやすさが違うのだろうな。
・「人間は意味を構築することを宿命づけられた存在である」というよりは寧ろ、『人間は意味を構築できないものを認識することができない』のではないかな?と思う。この文脈ではどちらでも良いけど。
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・いきなり本家のキーガンを読むのではなく、こちらをざっと読むと発達心理学の概要がつかめてよい。ポイントが太字になっているので、太字を目で追うだけでも発達心理学のアウトラインが理解できるのがいい。キーガンを理解するよりもケン・ウィルバーの「インテグラル理論」を理解するのに良いかもしれない。
・認識できる範囲が広くなり深くなっていくと、ある時から自己が溶け出して他者と融和していくということなんでしょうね。この自他の溶解・融和の境地はまさに「広くなる」ということ。広くなるというのは宇宙的になるということ。人は成長して地球にいながら宇宙の一部になっていく。だから成長は必ずしも幸福ばかりではなく、孤独や苦悩も伴うという指摘も合点がいく。
・5つに分けた発達段階の整理はわかりやすく、伝えやすい。
■発達段階1 具体的思考段階
・言葉を獲得したての子供。すべての成人はこの段階を越えている
・形のない抽象概念はあつかえない
■発達段階2 道具主義的段階(利己的段階)
・成人人口の10%
・自分の関心事項や欲求を満たすことに焦点が当てられている。
・他者の感情・思考の理解が難しい
・例)自分に関係することにしか関係を寄せない部下
■発達段階3 他者依存段階(慣習的段階)
・成人人口の70%
・自らの意思決定基準を持っていないので、他者の基準によって行動が規定されている。組織や社会の決まり事を従順に守る。
・例)上司には従順だが自分の意見は言わない部下
■発達段階4 自己主導段階
・成人人口の20%
・自分なりの価値観・意思決定基準を設定でき、自律的に行動できる。
・自己成長に強い関心があり、自分の意見を明確に主張する。
・例)自律性が強すぎて他者の意見を無視する部下
■発達段階5 自己変容・相互発達段階
・成人人口の1%
・自分の価値観・意見にとらわれず、深い内省によって自分の行動を制限していた思い込みに自分で気づき、新しい自己を作り上げていける。
・自分(性格・個性・歴史など)を客観的にとらえる。個性・地位・お金・名誉といった価値体系を構成する対象に対して、強く自分自身を同一化させることはない。自分が認識できているすべてが世界の限られた側面しか映し出していないと知っているので、自分を構成する諸々のものは虚構の産物であるとの認識がある。
・自分の価値体系に囚われず、価値体系をオープンにし、多様な価値観・意見をくみ取りながら的確に意思決定ができる。
・他者との関わりあいによってお互いの成長・発達を促す触媒の役割を担う。他者の成長を支援するが、それによって当の自分自身が支えられているとの認識にいたる。
・人生は一生にわたる「学びの場」であると深いレベルで理解しているので生涯続く学びそのものが自分の人生であると捉えることが出来る。
・例)多様な部下とのかかわりから他者の成長に目覚める上司
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組織も人も変わることができる! なぜ部下とうまくいかないのか 「自他変革」の発達心理学。加藤洋平先生の著書。権力を振りかざして偉そうな言動で指示命令したところで、その場限りで言うことは聞くかもしれないけれど、結局は良い結果にはつながらない。無意味な思い込みやプライド、傲岸不遜な態度を捨てて、冷静に対話をすれば、人の心は動かせる。
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大人になっても成長はし続ける。スキルの成長ではなく、知性、人としてのうつわの成長。そのステップは5段回になっており、それぞれの段階の特徴とその段階の人とどう接すればよいか書いてある。
もう少し部下と実際どう話してるかわかるといいのにと思った。
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せっかくなので、5つの発達段階の要約を最後ではなく、話の途中に持ってきた方が、話が追いやすいと思いました。
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発達心理学、成人発達理論の入門。コーチングによる対話形式で理解が深まり、振り返りもあって要点を押さえやすい。また、自身や周囲の人を思い浮かべながら読み進めるとさらに納得感があった。今考えている事にかなりヒントを得られそうなので、より詳しい次書を読んでみたい。
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成人発達理論を勉強しようと手に取った一冊。
部下のマネジメントに難を抱える上司が、バーで出会ったコンサルタントから発達理論の指南を受けコーチングのセッションを重ねることで人間として成長していくというストーリー仕立て。さくっと読めたが、本当に上澄み程度しか触れられていなかったので若干物足りない。
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人の成長を「意識の段階」でフォーカスを当てた本でした。各段階毎の特徴が細かく書かれていたので、過去の自分や周囲の活躍している人を思い浮かべることが出来、理解しやすかったです。ただ、もう少し各段階の部下をどのようにマネジメントするのか、詳細に書かれていると良いなと思いました。